オープンワールドFPS『GZW』プレイ映像

CoD:WWII: 日本プロチームRush Gamingが世界へ、国内eスポーツが大きく動いた"CWL Pro League”参加への軌跡

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闘会議2018にて開催された『Call of Duty: WWII(コール オブ デューティ ワールドウォー 2)』の「プロ対抗戦」ですがDay.1の予選開始前に、優勝チームへの副賞として世界大会「Call of Duty World League Anahaim」への出場切符が授与されることが突如発表されました。このサプライズの背景を探るとともに、世界大会出場にかける想いやこれまでの軌跡を本大会の優勝チームである「Rush Gaming」のオーナー うらら氏へ伺いました。

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CWLへ日本チーム参戦

誰もが非常に驚いたこのビッグサプライズ。「CWL」に日本の出場枠はないはずで、「MLGゲームバトル」からポイントを稼ぐこともできません。この発表以降も特にCWLから「日本が参加できるようになった」といった公式発表も見当たりません。

SIEJAの尽力か闘会議2018「PlayStation® presents コール オブ デューティ ワールドウォーII プロ対抗戦」Day.1 screenshot (1)

そのため、この豪華なサプライズは、恐らくソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア(SIEJA)が「日本のプレイヤーのためになんとかねじ込んだ」というのが本当のところだと予想されます。なおこの豪華な副賞は、選手たちでさえ我々と同じく予選開始の直前に知ったとのことで、誰にとっても驚きのサプライズだったようです。

PlayStation CoDWW2 プロ対抗戦

◯✕△□のデザインの紙吹雪

Rush、CWL Anaheimへ

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見事優勝を果たしたRush Gamingは、2018年6月15日-17日にかけてカリフォルニア州アナハイムで開催される「CWL Anaheim Open」へOpen Bracket枠で参戦。160以上のチームとともに、世界最強を目指して激戦を繰り広げることになります。

なおAnaheim Openの賞金総額は200,000ドル(約2,200万円)で、優勝賞金は80,000ドル(約870万円)となっています。日本代表となったRush Gamingの活躍に期待しましょう。

CoD:WW2 プロ対抗戦 トーナメト

プロ対抗戦 全試合結果

Rush Gamingオーナーうらら氏 ロングインタビュー

先日、激戦を終えた直後のプロチームメンバーへのインタビューをお届けしましたが、見事優勝を果たしたRush Gamingのオーナー「うらら」氏(@ularatter)へ、今回の大会にかける思い、苦労、今後の目標などを聞いてみました。(敬称略)

うらら Rush Gaming

うらら氏とRush Gamingメンバー。闘会議2018にて

EAA: まずはうららさんの自己紹介をお願いいたします。

うらら: 株式会社ウィキッズ代表取締役の西谷麗(にしたにうらら)です。よろしくお願いいたします。小学生時代からアニメや漫画、同人誌などが好きで、永遠に絵を描いたりパソコンで加工したりウェブサイト作ったりしてるようなオタクでした。

あるキッカケで中学時代に1人で英国に2年程留学、帰国後に渋谷教育学園渋谷高校に編入しました。正直偏差値的には入れるわけが無かったのですが、自分の意志で留学したことや短期のわりに英語の習得率が高いのを評価されて入学できました。大学は人生初の一般受験で、慶應義塾大学経済学部に入学、ギリギリ卒業しました。卒業後は、今メルカリの創業者で有名な山田進太郎さんの前身となるウノウ株式会社に入社しました。

なんですが、ある時大ファンだったイギリスのゲーム会社Playfish(2009年にElectronic Artsに買収合併)のCEO(現Vainglory開発会社Evil Mega CorpのCEO)に日本で出会う機会があり、「あ、私以外に日本でこの会社をやるべき人間はいない」と完全に思い込んで退職。Playfish Japanという日本支社の第一号社員として4年間、ゲーム開発から運営、データ分析など主にゲームを「作る・売る」側、メーカー側で働いていました。

その時の仲間と一緒に起業して、現在創業4年目、社員や契約さん含めると大体25名くらいのWekidsの代表取締役をつとめています。

EAA: 闘会議以前の、世界大会参加への苦労や想いをお聞かせください。

うらら: そもそもGreedZz(@iGreedZz)へスポンサーすることを決めた時に、「お前は錦織圭にならないとダメ」っていうことを何度も言っていました。世界チャンピオンになれ、という意味よりも、「多くの日本国民が知り」、「類まれなる才能を持って、世界に挑戦し」、「その姿で人に夢や希望を与える存在になる」という意味での“錦織圭”でした。

本人も初めから「世界は挑戦したいですね」と言ってはいたものの、人に言われたのは初めてだったのか最初は戸惑ってましたね。というのも、私は当時知らなかったのですが、日本は世界大会に出れないと。んなわけないだろ、こんなの話せばなんとかなるでしょう、と思って、まずはMLGに直接問い合わせました。もちろんテンプレで断られるんですが、当時考えうるあらゆるロジックを組み立てて何度も食い下がりました。

埒が明かなかったので今度は、あらゆる知人や知り合いのネットワークを駆使して、Activisionさん、MLGさん、などの関係する会社・組織の知り合いを紹介してもらうため奮闘しました。

EAA: 行動力が桁外れですね

うらら: 結果、奇跡的にESLのアジア側のコールオブデューティー責任者と繋がることができたんです。その方が凄いいい人で、今でも仲がいいのですが、本当に初めて知り合ったのに快くSkypeコールに何度ものってくれました。

事情は既に分かっていて、私が渡航費など自費でいいから海外大会に出たい旨を伝えたところ、色々情報を教えてくれました。一時は、ワンチャン出れそうなものもありそうだったのですが、結果はNGで...。「向こうに住所があればいいって解釈するなら、もう留学すればいいんじゃないか」と。真剣にWekidsが負担して、GreedZzオーストラリアorアメリカ留学案が浮上しました。

Rush Gaming

EAA: GreedZzさんの単身海外留学計画!?

うらら: ちなみに予算も考えてうえでの大真面目な計画ですよ。どうせいつか国際的に活躍するなら、英語は大事ですし、それで活躍してくれる人間に育つなら良い投資だなと思ったんです。GreedZzは大学生なので、実際受けるならいつから準備しないといけないのか、とか色々調べさせたり、教授と話させたりしました。

ほかにも、向こうで面倒みてもらうホームステイ先を友人づてに探したり、実際話したり、当然向こうで一緒に活動するチームも必要なので、海外サイトで何度も何度も、英語でチーム募集をかけました。ただある日、GreedZzが私に「うららさん。ぼくだけでもオーストラリアにもアメリカにも行きたいけど、このRushっていうチームで一緒に行かないとダメなんです」って言ってきたんです。

私とGreedZzは率直すぎるくらいに意見を言い合うので、年に2回くらい大衝突するんですが、この時は何故かすっと理解できたような気がして、一ヶ月以上も準備していた留学計画を断念しました。

EAA: そんなドラマが。そして方向性を変えたのでしょうか。

うらら: この間、あらゆる業界の先輩方に相談に乗っていただいたり、法律や『コール オブ デューティー』の置かれている状況を調べました。何か調べたり出来そうなことをしないと諦めがつかない性格なんです(笑)。結果、もう今私たちに出来ることはない、と。ただ逆にいうと、「日本には世界で闘うべき素晴らしいチーム・選手がいる」ただこれだけを目指そうと思いました。

EAA: 昨年は2回、CWLに行ってますよね。

うらら: はい。じゃぁせめて見に行こうと。行けば向こうにコネクションも出来るし、関係者にも直接お話できるはずだと。それでGreedZzと2人でオーストラリアに1回、アメリカに1回一緒に世界大会を観に行っています。これをキッカケに、向こうのプロチームオーナーや選手達、大会関係者さんたちと繋がりができて、今でもGreedZzが所属するMindfreakとは頻繁に情報交換や、今後の展開について話し合っています。

「CoD Champ」といういわゆる世界大会の最終戦で一番の大舞台に行ったのですが、多分誰よりもGreedZzが、毎日ストリーマーとして撮影や編集をしながら、「あぁ、ここでプレイしたいな」と思っていたと思います。ただ「Rushとして活躍するんだ」と腹が決まってからは、CyAC2017での優勝、TGS2017勝利、と皆さんの知っての通りです。

これはあくまでGreedZzと私の視点です。他のメンバーの世界大会への想いと、Rush Gamingとして活動しはじめてからの苦労話は違う機会に・・!

EAA 海外への想いと言えばRush Gaming、この間海外選手とやりとりしていました。

うらら: そうですね。元々世界志向だったので、Twitter等のプロフィールなどは発足当初から全て英語です。PR用の画像制作や、選手の魅せ方なども、海外チームを最初から参考にしました。TGS(東京ゲームショウ)の後に発足したばかりですが、初めから一流の、世界レベルで闘うチームとして運営してきました。創業してたてでも社長が社長らしく振る舞うのと同じで、世界に道が開かれていなくても、俺たちは世界で闘うチームなんだ、という意識で活動してきました。実際、海外のプレイヤーの中には複数名、GreedZzやWinRed(@RushWinRed)を認知していた方も昔からいたんです。

Youtubeだけじゃなく、Twitchでの配信活動を頑張っていたことが積み重なり、これらの結果に結びついてると思います。Twitchは私も出来るだけ配信を観に行っていて、外人さんが見ていたら英語コメント対応をかなり丁寧にしてきました。海外の有名なキャスターさんが来てくれたこともあるんですよ。特にWinRedは、学校の勉強は得意じゃないにも関わらず、英語だけはすごく頑張って調べて交流しようとしていて、実はTwitchの登録者数はGreedZzよりもずっと多いんです。

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EAA: 最後に、世界大会CWLへの意気込みをお聞かせください。

うらら: 正直、Anaheim行きの話を聞いた時は、あまりにも自分たちが頑張ってもどうしようもない問題で阻まれていた世界への道で、あまりの感動でどうにかなりそうでした。オーナーへの説明会で、涙が既にこみ上げてきたくらいです。本当に、その切符を手にできた喜びは筆舌に尽くしがたいです。この切符を無駄にしないよう、今大会前のアクションプランを練り直したり、諸々色々既に準備が始まっています。まだ詳細はお話できませんが、海を渡ることも含めて、出来る限りのサポートをしたいと思っています。

これからもRush Gamingの応援、よろしくおねがいします!

2018年に入り国内のeスポーツ界隈は、プロチーム認定制度や世界デビューと、これまでは考えられなかった急激かつ大きな変化が起こっています。FPSの更なる隆盛と、プロチームの世界を舞台にした活躍に期待しましょう!

余談ながら日本国内で『Destiny 2』の課金要素が解禁されたのも、SIEJAが影で長らく法律などと戦ってきた結果だと思われます。

『CoD:WWII』の発売日は2017年11月3日で、対象機種はPlayStation 4、Xbox One、PC。

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