ファークライ5:「シングルプレイ」徹底レビュー、プレイヤーもクリエイティブであれ

Far Cry5 ファークライ5 アイキャッチ
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※ 僅かながらネタバレが含まれます

高い自由度を誇るオープンワールドFPS『Far Cry5(ファークライ5)』が3月29日に発売された。ファークライシリーズの実に3年ぶりとなる新作ということで、ファンのみならずシューターファンから高い関心を持たれている今作。発売日に購入して、20時間ほどプレイした時点でのレビューを書いていきたいと思う。

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ファークライ5 シングルレビュー

『ファークライ5』ローンチトレーラー

ゲーム概要:アメリカの田舎町「ホープカウンティ」で繰り広げられる喜劇のような悲劇

まず、『ファークライ5』のゲーム概要についてお話しよう。ゲームの舞台は架空の街「ホープカウンティ」。風光明媚というには少し地味だが、自然が豊かな街だ。大きなショッピングモールなんてものはなく、少々の人家がある以外は畑と川と手付かずの山々。のどかという言葉がピッタリくる穏やかな田舎町だ。

Farcry5 ファークライ5 自然風景

だが、その内情は景観とは似ても似つかない。ホープカウンティには狂信的なカルト教団「エデンズ・ゲート」が蔓延っており、人々を誘拐し洗脳、時には殺害することにより凄まじい勢いで勢力を伸ばしつつある。そんなアンバランスな街で、プレイヤーは1人の保安官として現地のレジスタンスと協力しながらエデンズ・ゲートに立ち向かっていくことになる。

Far Cry5 ファークライ5 ジョセフ・シード

高い自由度

…というストーリーはあるものの、別に立ち向かわないなら立ち向かわなくても良いのが良いところ。『ファークライ5』はオープンワールドFPSで、その進行は全てプレイヤーに委ねられている。日がな一日釣りをしながら暮らすのもプレイヤーの自由だ。もちろんエデンズ・ゲートの構成員や野生動物に見つかれば襲ってくるので、かかる火の粉を振り払う必要には迫られるだろうが。

Farcry5 ファークライ5 釣り
Farcry5 ファークライ5 魚

Farcry5 ファークライ5 毛皮

正直な話、人間より野生の動物のほうが怖い。熊なんかは見た目通りにタフだし、なんなら七面鳥ですら10発近くの銃弾に耐える。

その自由度の高さを象徴するのが、ゲームをプレイし始めてしばらくすると行うことになる「キャラクターメイク」だ。これはしっかりとキャラクターのバックグラウンドが定められている前作『Far Cry4(ファークライ4)』にはなかった要素で、プレイヤーは自分が好きな見た目のキャラクターでプレイすることが出来る。なにぶんFPSなので普段は自分の姿は見えないのだが、それは他のFPS同様気持ちの問題だ。

Farcry5 ファークライ5 キャラクター クリエイション

キャラクターメイクはあらかじめ用意されたいくつかのテンプレートを組み合わせて行う。顔が8種類、髪型が色違いも含めて10種類を超える程度なので、自由度抜群のキャラメイクとは言えないが、それでも自分で見た目を設定していくのは何度やっても心が踊る。ベタながら素晴らしいゲームの導入だ。

Far Cry5 ファークライ5 コスチューム 

容姿に留まらず服装を自由に設定することもできる。ゲーム開始時点ではアンロックされていないものも多いが、ゲームが進行するにつれて装備できるものも増えていく。性能の違いは無いので好みで選ぶとよいだろう。

PERKシステムと仲間がもたす多様性

PERKシステム

一方で、前作からそのまま引き継いでいる要素も多い。PERKと呼ばれる様々な効果をもたらすスキルシステムは前作そっくりだ。ストーリーやサブクエスト、様々なアクティビティをクリアすることでポイントが溜まる。前提条件となるスキルが減っているので、スキルポイントさえ溜まっていればわりと好きな順に習得できるのも地味ながら大きい変更点だ。

PERKは釣りに関するものから武器の携行弾数に関わるものまで様々だが、個人的なオススメはリーダーシップとスニーキーダッシュだ。前者は後述のガンフォーハイヤーを2人同時に連れていけるようになり、火力と生存力が著しく上がる。後者はしゃがんでいる時の移動速度が大幅にアップするため、ステルスのやり易さが段違いになる。使っていて便利だと感じる場面が多いので、特に拘りがなければ早めに解除しておくといいかもしれない。

Farcry5 ファークライ5 リーダーシップ
Farcry5 ファークライ5 スニーキーダッシュ

ガンフォーハイヤー

このPERKシステムに加え、『ファークライ5』の戦闘にバリュエーションをもたらすのがガンフォーハイヤーだ。今作では雇った仲間をいつでもどこでも呼び出すことができる。一度倒されてしまっても10分前後のクールダウンを経て再度呼び出すことが出来るようになるので、味方をロストする恐怖に怯えることはないのも地味ながら重要な点だ。

ガンフォーハイヤーには傭兵とスペシャリストの2タイプが存在する。傭兵は救出したり占拠された場所を解放したりすると雇えるようになるいわゆる“モブ”的なキャラだ。アビリティを習得させるには敵を一定数キルさせる必要がある。一方でスペシャリストは特定の地点で起こるイベントをクリアすると味方になってくれる“ユニーク”キャラとでも言うべき存在だ。全部で9名存在し、それぞれが独自の能力を最初から使用することができる。

Far Cry5 ファークライ5 ガンフォーハイヤー リスト

スペシャリストの能力は非常に強力。例えばブーマーは近くに居る敵を片っ端からマーキングしてくれるし、ニック・ライは機関銃や爆撃で敵を吹き飛ばしてくれる。他にも長距離狙撃のプロや放火魔や爆弾魔も居るし、何なら熊やヒョウまで仲間に出来る。面子のバリュエーションと濃さには事欠かないラインナップだ。

Farcry5 ファークライ5 ブーマー

Farcry5 ファークライ5 ニック・ライ

余談だが、ニックを仲間にするミッションで飛行機を操作する場面でPS4版では○と×の表示が入れ替わっているという地味なバグがある

中でもかわいいブーマーは、よくわからないトレーラー(飼い犬と一緒に写真を撮ろうキャンペーン)まで作られている。

『ファークライ5』なりきりブーマートレーラー
https://www.youtube.com/watch?v=ogJDCneQM2M

ここで重要なのは、いつでもどこでもという点。例えばミッションの前半はステルスプレイのためにブーマーを連れていたが、後半ではドンパチに発展したのでニック・ライを呼び出す、といった感じで戦況に応じて即座に仲間を切り替えられる。倒されたのではなく解除したのであれば、また呼び出すためのクールダウンも一分ほどなので余り考える必要もない。

このPERKシステムとガンフォーハイヤー、そして前作から受け継がれた豊富な武器とカスタマイズ、さらに自由度の高い進行により、『ファークライ5』は非常に幅広いプレイヤーの好みに対応する懐の深さを備えたゲームとなっている。

自由度の高さによる犠牲

ただ、自由度が高いというのは良いことばかりでもない。プレイヤーに全ての選択を委ねているため、どうしてもストーリーラインがぼやける。無論メインストーリーだけ進めていけばそれなりに筋は通るだろうが、それにしたって進める順番はプレイヤーの自由だ。最初から最後までガッチリ通った一本のストーリーを通すのは難しいゲームの作りになっている。

Far Cry5 ファークライ5 マップ画像

多分、UBI側もその問題を認識しているのだろう。まだ1エリア目を攻略中なので他のエリアのことはわからないが、少なくとも私が攻略中のエリアでは「一定値までレジスタンスポイントを溜める」=「抵抗活動に精力的に取り組む」とイベントが発生する。具体的にはそのエリアの支配者に目を付けられて、捕獲部隊がこちらを捕まえるためにやってくる

この捕獲部隊がまたやたらめったら強い。防弾服を着込んでいるため異常に硬く、こちらは一発攻撃を受けると極端に視界が悪くなり動きが鈍くなる。結果、ロクに反撃もできないままやられてしまう。騒ぎを起こしていようがいまいが恐るべき精度でこちらの場所を探知してくるので、逃げるのも中々厳しい。実質強制イベントにかぎりなく近いものだと感じる。

Far Cry5 ファークライ5 カルト 施設

少々ネタバレになってしまうが、捕まってしまってもゲームオーバーになることはない。ちょっとしたイベントの後ゲームプレイに戻ることは出来る。だが、それまで自由にホープカウンティで過ごしていたのに…というストレスを感じてしまうのは否めない。やはり敵が理不尽レベルに強いせいだろう。

UBIがやりたいことは何となく察することができる。おそらく、カルトの脅威をわかりやすくプレイヤーに理解してもらいたいのだ。ただ戦っているだけでは他のゲームに登場する軍隊と大差ない。狂信的な信仰を他人に押し付ける存在がどれほど恐ろしいのか通常のゲームプレイだけではなかなか伝わってこない問題を解決するために、このようなイベントを導入したのだろう。完璧に作用しているとはちょっと言いづらいが、理解は充分にできる。

Far Cry5 ファークライ5 ジョン・シード

総括:プレイヤーにもクリエイティブさが求められるゲーム

ここまで主な特徴に絞って紹介してきた。その他、武器やビークルのカスタマイズも用意されている。総じて、安定のUBIクオリティと言っていい完成されたゲームだ。戦闘の自由度は高く、ステージは広大で、アクティビティは大量に用意してある。総じて高水準で卒なくまとめられている。

だが、その本質はあくまで「オープンワールド」。前作『ファークライ4』や『ゴーストリコン ワイルドランズ』、あるいは『ウォッチドッグス』などをプレイしたことがあるプレイヤーには伝わるだろうが、大事なのは「プレイヤーが提供された遊び場にどう向き合っていくか」なのだ。

たくさんの武器を使ってみるのもよし。それぞれに特徴があるため、違った感覚で楽しめるだろう。サブクエストを片っ端からクリアしていってもよし。得られた報酬がプレイヤーの戦いを有利に導くだろう。釣りや狩りで自給自足のハンター生活を送ってもよし。そう、全ては自由なのだ。

『ファークライ5』は自由だからこそ楽しいし、自由だからこそ難しい。その事さえしっかりと認識していれば、『ファークライ5』はきっと貴方の遊び心に答えてくれるだろう。

GOOD

  • PERKやガンフォーハイヤーによる自由度の高い戦闘
  • 山程のアクティビティ
  • 広大なフィールド

BAD

  • オープンワールドであるがゆえのぼやっとしたストーリーライン
  • 少々頻度が高い不意の遭遇戦
  • 何かと邪魔されがちなアクティビティ

関連リンク:ファークライ5 公式

『Far Cry5(ファークライ5)』は絶賛発売中。対象プラットフォームはPS4・Xbox One・PC

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Far Cry5 ファークライ5 アイキャッチ

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コメント

コメント一覧 (14件)

  • ファークライ4は個人的に微妙だったけど5は楽しいわ。3ほどではないけど充分楽しい
    その3もps4で復刻版が出るみたいだから楽しみ

    • これで4人協力プレイとか出来たら神&神なんだけどなぁ 2人までってのはフレンドとわいわいできなくてちょっと不便

      • ゴーストリコンが4人だったんでこっちも期待したんですけど2人でしたね、、
        スペック的に厳しいんでしょうか?ゴーストリコンがいけるなら行けそうな気もするんですけどねー

  • 遭遇戦多いし、スコープとかで遠くの方見てたら急にポンっと敵が現れるのが見えてしまうからもっと遠くから現れるようにしてほしいかな。

  • まぁいつものファークライですねー
    ファークライ自体にマンネリ感じてたら今作もマンネリな気がします
    進化してるんですけどワイルドランズやオリジンズのように大きな変化が必要だと思いました

  • その強制拉致が最後の最後まで続くからオープンワールドの自由度とやらがかなり打ち消されてるっていう

    • 身も蓋も無い事を言って失礼しました。ただ個人的にはプレイヤーを惹き込ませるストーリー性を保たせる試み自体は賞賛したいので、自由度と上手く両立したゲームを目指して欲しいです。決戦に行く手前で素材集めしたらクエスト破棄とか

  • ファークライ品切れで売ってないやん!どうしてくれんのこれ(憤怒)
    ファークライを欲しかったから買いに来たの!新作ゲーム売り場、この中の中で何でファークライだけないの?(関西クレーマー並感)

  • なんでファークライ5はPRAYみたいに武器のクロスヘアちょっと下にずれてんだよ、今まではちゃんと中心にあったのに

    • オプションで中心にできますよ。でもオフセットに慣れるとADSした時の視界が広いので快適です

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