EPOS より、7月7日に国内で発売されたUSBサウンドデバイス「EPOS | SENNHEISER GSX 300 – Snow Edition」を提供して頂きました。
その特色は7.1chサラウンド対応に、24bit/96kHzの高音質「ハイレゾ」対応。これだけの性能が約10,000円で手に入るという、エントリー向けサウンドデバイス市場が崩壊する価格設定のUSBサウンドデバイスです。
ガチゲーマーが鑑賞用途からゲーム用途まで1週間以上使いこんだレビューをお届けします。
EPOS | SENNHEISER GSX 300 レビュー
EPOS | SENNHEISER GSX 300
- どんな製品?:エントリー向け、PC/PS4/Nintendo Switch(TVモード時のみ)/Android に対応
- どんな人に向いている?立ち位置は?:手ごろな価格で高品質、初めてのサウンドデバイスに最適
- 価格は?:10,980円(税込)
- 良いとこは?:マイクの拡張機能追加、7.1chサラウンド、ハイレゾ対応、安い
- いまいちとこは?:PC以外の用途は全機能が使えない
パッケージ中身は「GSX 300本体、説明書、接続用ケーブル(MicroUSB)」となっています。
実際に使ってみた感想
「GSX 300」の性能を最大限に発揮させるため、2018年3月より発売されているハイエンドの密封型ヘッドセット「EPOS | Sennheiser GSP 600」も一緒に提供して頂きました。手元にあったAstro GamingのUSBサウンドデバイス「MixAmp Pro TR」と比較して、音質などの検証を行ってみました。
良いところ
- 接続するだけでスグ使える手順の簡易化(高度な設定は「EPOS Gaming Suite」のインストールが必要)
- ハイレゾ対応の 24bit/96kHz オーディオ品質
- ヘッドセットのマイク性能を大幅に強化
- サラウンドの定位は優秀で敵の位置が手に取るように分かる
- 細かいイコライザー調整でゲームにも鑑賞にも対応
- スマートボタンでプリセットを瞬時に切替可能
- ボリュームダイヤルは回しやすくクリック感がある
- 軽くて持ち運びしやすい
- 足のゴムが強力で全く滑らない
- 高性能なヘッドセットを合わせて使えば、潜在能力を最大限に引き出せる
- これだけの性能でわずか10,890円
PCから出力される音質はマザーボードの内部パーツである「オンボードサウンド」によって左右されます。PCによっては再生できるサンプリング周波数が限られていたり、パソコン内のノイズの影響を受けてしまい、製作者が伝えたい音を使用者に全て伝えられない場合があります。サウンドデバイスがあればPCから出力される音質が向上します。さらにメーカー独自の「チューニング」が施されているので、音を増幅も可能。結論を言うと「GSX 300」は、エントリー向けUSBサウンドデバイス市場を根本から粉砕する、強気な価格設定と性能です。その理由について順に説明いたします。
まず、「GSX 300」はUSBケーブルでPCと接続するだけで使用可能になることです。ドライバーのインストールが必要だと思ったのですが、そんな手順を挟まずに接続すればスグに使えます。Windows側で「GSX 300」を認識しているので、あとはヘッドセットを接続すれば音を聞くことができます。背面の接続インターフェースは「USBケーブル、ヘッドフォン、マイク」の3つだけなので難しい配線もなく、初心者の方でも簡単に使用できるのは良い点です。
続いてオーディオ音質ですが「24bit/96kHz」でハイレゾ対応とあって、鑑賞用途でも文句なしの高音質を届けてくれます。ノイズの様な雑音は一切感じませんでした。PC専用ソフトウエア「EOPS Gaming Suite(元:Sennheiser Gaming Suite)」よりステレオ(2.0ch)をサラウンド(7.1ch)に切替えることができ、性能面は前回レビューした「GSP 370」と同じ体感で非常に優秀です。3.5mmステレオミニプラグに対応する全てのオーディオ機器が「GSX 300」に接続できるので、手元にあるヘッドセットを生まれ変わらせることができます。
マイク音質は非常に素晴らしいクオリティ。「MixAmp Pro TR」とマイク音質を比較したのですが、「GSX 300」は明らかにクリアで自然に近いマイク音質に感じました。コンデンサーマイクには一歩届きませんが、YAMAHA「AG06」にヘッドセットマイクを繫げて録音した時と同等かもしれないほどのマイク音質だと思います。他にもマイクの拡張機能として「音声強化機能、ゲイン、サイドトーン、ノイズゲート、ノイズキャンセリング」が備わっています。
ソフトウエアのアップデートによりイコライザー機能が強化され、従来の5バンドから9バンドになりました。「 64 / 125 / 250 / 500 / 1,000 / 2,000 / 4,000 / 8,000 / 16,000 」の9バンドから調整可能になったので、他社のイコライザーアプリと同じ複雑な調整が可能になりました。前回レビューした「GSP 370」でも同じイコライザー調整が可能です。
GSX 300には大型のボリュームダイヤルを回すことで音量調整ができ、音のないクリック感があって調整しやすいです。スマートボタンを押すと「EOPS Gaming Suite」で登録したイコライザーのプリセットを登録順に変更できます。ボタンを押すと「青→赤→青→…」の順にツマミの光が変化して、デスクトップ画面にプリセット名が通知されます。
それと地味かもしれませんが、本体が160gと軽く、背面の滑り止め用ゴムが強力でケーブルを引っ張って机から落とすといった事故が起きづらいです。LANパーティなどにも持ち運びやすいですね。
これだけのクオリティが税込価格10,890円で手に入るのが恐ろしい。ハイレゾ対応で音楽鑑賞も良し。マイクの設定からイコライザー調整といったゲーミング面でもカバー。低価格でエントリー向けUSBサウンドデバイスの候補として挙げるのであれば間違いなく選択肢に入れて良いと思います。
いまいちなところ
- 外観に高級感は感じない
- PC以外の用途に向いていない
- スマートボタンを使いこなすのが難しい
- スマートボタンが硬く、強く押す必要がある(個体差?)
- 音量調整はWindows側で行うため、アンプ内での調整ではない
- VC音声とゲーム音声を分けるミキサー機能なし
- スマートボタンによるステレオ/サラウンド変更がうまく機能しない(アプリ側のバグ)
- 動作アプリが終了すると、サイドトーンが消える(アプリ側のバグ)
- イコライザー設定を参考にできるコミュニティが少ない
ハイコストパフォーマンスを突き詰めた結果ですが、前世代である「GSX 1000」と比べてしまうと高級感はありません。PC以外のゲーム機にも使うことができますが、PS4の場合「EOPS Gaming Suite」が起動できないためスマートボタンは無効になり、イコライザーやマイクの機能など、高度な設定を使うことができません。
スマートボタンは便利な機能ではありますが、イコライザーの切替順は一方通行なので、間違えて通り過ぎるともう1週しなくてはいけません。また、プリセットが多く登録されるほどボタンを押す回数が増えて時間がかかります。プリセットの中からお気に入りを設定して、スマートボタンでお気に入りから切替できる設定があれば良いなと思いました。
もしかしたら私の個体だけかもしれませんがスマートボタンが硬いです。思っていたよりも強く押さないとスマートボタンが反応しなかったので、誤作動防止としては優秀ですが慣れが必要かもしれません。
ボリュームダイヤルで音量調整は簡単ですが、Windows側で調整されるため「GSX 300」内部での調整は行われません。そのためキーボードからボリューム調整をしているユーザーは使わない機能です。ただしPS4でボリュームダイヤルを回すと設定の「オーディオ機器」にあるボリューム調整とは別に「GSX 300」内部で音量調整が行うことができました。
「GSX 300」にはゲーム音声とボイスチャット音声を別に管理できる機能は備わっていません。例えば音声を「ゲーム用メインチャンネル」と「チャットチャンネル」を別々に分けられる場合、友人と通話しながらゲームを録画しても、動画ファイルはゲーム音だけを保存したりできます。前世代の「GSX 1000」には備わっていた機能ですが、残念ながら「GSX 300」ではオミットされていました。オンライン会議をしながらゲームプレイ映像を収録することが多いので、できれば省いてほしくはなかったです。ソフトウエアのアップデートで追加されたりはしないのでしょうか?
なおアプリ側のトラブルになってしまいますが、レビュー時点で判明しているバグは「スマートボタンでサラウンド切替ができない」と「マイクのサイドトーンがアプリによって機能しない」現象が発生しています。今は不便ですが今後のアップデートで改善するはずです。
前回レビューした「GSP 370」と同じですが、イコライザー設定を参考にできるコミュニティがまだ少ないので注意が必要です。
総括:ヘッドセットを進化させる、コスパに優れた高品質USBサウンドデバイス
「GSX 300」は前回レビューした「GSP 370」に引き続き、専用アプリに気になる点がありますが、アプリ側のトラブルは今後のアップデートで解決すると思うので時間の問題でしょう。やはり最大の特徴はオーディオ品質。ハイレゾ対応も素晴らしいですが、マイク音質が最も劇的に変化するので、実際に使ってみると驚くと思います。低予算で高品質なサウンドデバイスをお探しの方は購入を検討してみてください。「GSX 300」に接続したヘッドセットは間違いなく生まれ変わります。
良いヘッドセットを購入したのに、
友人と違って違いがわからない...?
それはサウンドカードを使っていないからかも??GSX 300はコストパフォーマンス抜群の外付けサウンドカードで、
高品質なオーディオを楽しめます。 pic.twitter.com/me6IT2wsJZ— EPOS Gaming JAPAN?? (@eposgamingJapan) July 24, 2020
USBサウンドデバイス「EPOS | SENNHEISER GSX 300」製品仕様
- 参考価格:10,890円(税込)
- 発売日:2020年7月7日
- サイズ: 91 mm x 81 mm x 41 mm
- 本体重量: 160 g
- ケーブルの長さ: 1200 mm
- カラー:ブラック&ホワイト
- 接続I/F:4極3.5mmヘッドセット端子×1、3極3.5mmミニピンマイク入力端子×1、USB Micro-B×1
- 電源:USBバスパワー 5V
- メインオーディオ(2.0ch ステレオ):24 bit 96 kHz
- メインオーディオ(7.1ch サラウンド):16 bit 48 kHz
- 保証:2年間 (世界共通)
公式ページ:GSX 300 - Snow Edition EPOS I SENNHEISER
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コメント
コメント一覧 (1件)
はじめまして。レビュー記事を興味深く拝見しました。
>>VC音声とゲーム音声を分けるミキサー機能なし
とのことですが、
・PC(サウンドカードなし、サウンドカードのソフトウェアインストール不可)
・USBヘッドセット(EPOS)をGSX300のUSBに接続
・SGX300のヘッドホン端子にICレコーダーの録音端子をケーブルで接続
した場合、PCの音とヘッドセットの音をミックスしてICレコーダーで録音可能でしょうか?
安い中華製をサウンドカードを購入して同じようにやってみたところ、マイク音の安定せず
相手には小さく聴こえたり音声が割れるように出使い物にならず、こちらの外付けサウンドカード
を検討してします。