『レインボーシックス モバイル』は、Ubisoftのタクティカルシューター『Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)』をベースにした、基本プレイ無料のモバイルタイトル。現在は一部地域でテクニカルテストが行われているが、日本を含めた世界でのリリース時期は未定となっている。
12月1日に東京・新宿で開催されたUbisoftのオフラインイベント「FPS Day 2024」では、そんな“虹モバ”の最新ビルドを試遊する機会があった。本作のその後の進化をチェックしていこう。
『レインボーシックス モバイル』の最新ビルドを体験
「FPS Day 2024」で試遊できた『レインボーシックス モバイル』は、一部地域でテストされている最新ビルドと同じもの。会場では、参加者による5v5でのカスタムゲームが開催された。なお「FPS Day」全体の様子はこちらの記事でレポートしている。
『虹モバ』のコアは、PC・コンソール版『シージ』と同じものだ。プレイヤーは攻撃チームと防衛チームに分かれ、個性的なガジェットを持つオペレーターを選択。5v5による戦略的な屋内戦を繰り広げる。とはいえ『虹モバ』では、ゲームとしての「分かりやすさ」と「プレイしやすさ」をより重視している印象だ。
まず、モバイルらしく全体的に画面が明るくなっており、敵のキャラモデルが見えやすい。さらに攻撃側の準備フェーズでは、前もって爆弾地点の候補エリアがマーキング。モバイル版独自のガイド要素だ。ドローンで候補エリアに向かい、そこに爆弾がないと分かると「武器庫ロッカー/資料室に爆弾なし」とチーム全体に情報が共有される仕組み。
オーディオにも工夫が見られる。シージでは音情報が非常に重要だが、『虹モバ』の画面上部にあるコンパスには音の発生がアイコンで表示される。この機能のおかげで、ヘッドホンなどが使えない環境でもプレイしやすくなっている。
一方で、(シューター系モバイルゲームすべてに言える話だが)ゲームプレイには慣れが必要だ。先行体験でもやはり、初回ではイメージした通りのキャラコンは果たせなかった。
とはいえ、『虹モバ』はその点にも配慮が行き届いている。新規プレイヤーにも分かりやすいように、最新ビルドでは「チュートリアル」を刷新。自由にマップを歩き回れる「練習モード」などの補助機能も充実している。さらにHUDパーツのカスタマイズ幅も広く、念入りに調整することで自分が最もプレイしやすい環境を整えていける。
全体としては、PC・コンシューマー版と比較して、シージならではの「リスクとリターンの駆け引きが生む緊張感」の部分は軽めになった。裏を返せば、屋外を含めたさまざまな場所で、繰り返しプレイをするのに向いたカジュアルなゲームになっている。もちろん真剣勝負がしたいプレイヤーにはランクマッチもある。
『虹モバ』は他にも、多くの点でPC・コンシューマー版との差異化や独自化が図られている。開発スタッフから解説された、最新の変更点をさらに詳しくチェックしてみよう。
テクニカルテスト「Ice Storm」の大型アップデート
2024年3月ごろに一度テストが中断されていた『虹モバ』だが、この期間に開発していた新要素を携え、11月にソフトローンチを再開した。
日本ではまだプレイできないが、新たな機能や改善を多数加えた「Ice Storm(アイスストーム)」というシーズンアップデートが実施され、一部の対象地域でテストが行われているところだ。
グローバルリリースに向けては3段階のテストを予定しており、詳細は以下の記事で解説済み。要約としては、残念ながら「具体的なリリース日はまだ分からない」という点をおさえておこう。
現在のシーズン「Ice Storm」は、テストの第1段階である「テクニカルテスト」に該当する。虹モバ公式サイトで解説されているように、以下の膨大な新要素が実装された。
- ゲーム内通貨や進行リソースの見直し
- 「チケットパック」を廃止。新たに「名声ポイント」を導入。PC版などに似たアンロック方法に
- 「マスタートークン」を廃止。新たに「ブースト」を導入
- 「シルバーブレット」を導入。ランダムなアイテムが封入された「シルバーパック」を開封するのに使う
- 「黒曜石」を導入。これはパックアイテムが重複した時にもらえるアイテムで、「ダーククリスタル」など特別なスキンをアンロックするのに使える
- 追加コンテンツ
- 新オペレーター:Buck(バック)
- 新ガジェット:防弾カメラ
- 新マップ「ホームベース」と「レストラン」
- 新機能・改善機能・モバイル独自要素
- アートディレクションの刷新。タクティカル仕様に戻った
- バトルパスを刷新し、報酬のバラエティを豊かに
- 「イベント」タブを「ミッション」に変更し、情報整理
- ハイテンポにプレイできる「ボムラッシュ」モード
- デス後も操作ができる「デスドローン」
- PC版のような「スマートPING」の導入
- 便利機能
- プライベートマッチ
- 入門者向けブートキャンプと、オペレーターアンロックなどができる完了報酬
- チュートリアルの刷新
- 練習モード
- HUDカスタマイズ2.0
- マッチ検索中のメニュー操作
- 以前遊んだプレイヤーと組みやすくなる「イージーチームアップ」
モバイル版とPC・コンソール版の機能を比較すると、前述した「分かりやすさ」と「プレイしやすさ」のほかに、「やり込み要素」にも力を入れていることがうかがえる。
『虹モバ』ならではの「やり込み要素」
各オペレーターは基本的に、名声ポイントやプラチナ(課金通貨)でアンロックしていく点はPC・コンシューマー版と同様。新オペレーターも、バトルパスのプレミアムトラックで最初にアンロックするという形式だ。以前は「チケット」という独自のシステムがあったが廃止され、分かりやすくなった。
『虹モバ』には、アンロック後も「オペレーターマスター」や「オペレーターミッション」という独自の育成・攻略要素がついてくる。
「オペレーターマスター」は、ティア進行形式のやり込み要素だ。名声ポイントを使ってマスターのティアを1つずつ解放し、そのオペレーター用のアタッチメントなど、カスタマイズ要素をアンロックしていく。そして手に入れたアタッチメントで装備を更新し、改めて対戦に挑むという流れが成立している。
かつてのシージも名声でアタッチメントをアンロックする方式だったが、『虹モバ』でこれを再導入。ただし、「軽量フレーム」や「貫通弾」など、PC・コンソール版にないアタッチメントも多数追加されており、武器カスタマイズの幅が広がっている。
「オペレーターミッション」は、各オペレーターを使って特定のプレイをするやり込み要素。「Smokeで20ラウンドプレイする」などの条件が課されている。達成すると、XPのほか、以前のデフォルトスキン(後述)が報酬として受け取れる。
『虹モバ』の「プレイしやすさ」
「プレイしやすさ」を体現する気になるモードとして、虹モバには新たに「ボムラッシュ」が追加された。これはPC・コンソール版のクイックマッチよりも、さらにハイテンポに展開するゲームモードだ。以下のような特徴がある。
- オペレーターを対戦開始前に選択可能
- 準備フェーズの短縮
- 防衛拠点の事前補強
- 爆弾位置の事前公開
- アクションフェーズの短縮
- 攻撃オペレーター全員がディフューザーを持ってスポーン
このうち「オペレーターの事前選択」は、モバイルゲームらしい興味深い機能だ。マッチングを始める前に、自分が使いたいオペレーターを優先順に設定しておくことで、通常のゲームの流れである「対戦開始→出撃地点の選択→オペレーターの選択→準備フェーズ開始」を大幅に短縮。「対戦開始→準備フェーズ開始」ができる。
なお、複数のプレイヤーが同じオペレーターを第1優先に設定していた場合は、プレイヤー間の優先順がランダムで決定するしくみ。
「デスドローン」という独自機能にも注目だ。これは、デスした攻撃オペレーターが一時的にドローンを出撃させ、情報面で引き続きチームメイトに貢献できるというもの。バッテリーが切れると動かなくなり、ラウンドの最後の1分はスポーンしないという制限もあるため、防衛側への公平さも意識されている。
「デスした後も何かできるようにする(ゲームプレイ・アフターデス)」という試みはPC・コンソール版でも2021年にテストされていた。当時はバランスやフェアプレイの点から懐疑的に受け止められたアイデアだったが、『虹モバ』でならうまくフィットするだろう。
『虹モバ』の「独自要素」
本作は「対戦を通じてゲーム内リソースを獲得し、それを集めて新しいゲーム内要素をアンロックしていく」というプレイの流れが、PC・コンソール版以上に強調されている。
名声ポイントを集めてコスメティックアイテムをアンロックしていくだけでなく、独自のアイテムリソースも見られる。
- シルバーブレット:デイリーミッションを含む各種のチャレンジで獲得できるアイテム。ランダムなアイテムが封入された「シルバーパック」の開封に使える
- 黒曜石:パックを開封し、中身が重複したときに獲得できるアイテム。一定数稼いで「フォージ」機能で消費することで、「ダーククリスタル」のスキンなど、ショップの特別コレクションアイテムを獲得できる
また、HUDのカスタマイズがさらに拡張するなど、機能面でも進化が続く。
- HUDカスタマイズ2.0
- 「メインHUD」と、「ガジェットとドローンのHUD」が別々にカスタマイズ可能に。いくつかのプリセットHUDレイアウトも用意されている
- 体力バー、キルフィード、コンパスなどのHUD要素の位置、スケール、不透明度も変更可能に。不要な要素を非表示にすることも可能
今後のテスト・アップデートの注目ポイント
このように「モバイルゲームらしさ」が見られる現在の『虹モバ』だが、逆に「独自」ではなくなった部分として、アートへの変更もチェックしておきたい。
虹モバ発表時、オペレーターたちの外見は、PC・コンソール版よりもややカラフルなデザインをしていた。作品としての差異化を図る意味合いや、モバイルゲームとしての視認性を考えてもこれは妥当に思えたが、その後のフィードバックを受け、デフォルトスキンはPC・コンソール版に寄せたタクティカルな仕様に回帰した。
なお以前のデフォルトスキンも、オペレーターミッションを通じて報酬として入手できる。
改善とはいえ、ビジュアル面での独自性を1つ失ったのも事実だ。そこで次に注目したいポイントとしてはやはり、新規のプレイヤーはもちろん、PC・コンシューマー版のシージプレイヤーが、敢えてモバイル版を新拠点にしたくなるような独自の工夫をどれだけ盛り込めるかにあるだろう。
アートスタイルはタクティカルリアルに戻したものの、モバイル版でしか見られない大胆なデザインのアイテムや、驚きの機能を持つ新ガジェット、アタッチメントを組み入れていく余地はまだあるだろう。さらにモバイル限定オペレーターやイベントなど、PC・コンソール版とは異なる体験を得られるユニークな要素の増加に期待したい。
なおここまでの情報は、すべてテストビルドに基づくものである点は改めて留意しておきたい。ここからさらなる変更がなされる可能性は大いにある。
「FPS Day 2024」で体験した方も、ゲームのイメージを持っているだけという方も、現時点の『レインボーシックス モバイル』からどのような印象を抱いているだろうか。思うところがあれば、ぜひコメント欄に寄せてほしい。
Source: from the site, Ubisoft Official
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