Ubisoftの『Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)』では、現地時間3月4日より新シーズン「オペレーション・プレップフェーズ」がスタート。2月28日にはPC版テストサーバーが開放され、新オペレーターRauora(ラウオラ)を試用できる。
並行して、開発スタッフによる「デザイナーノート」最新版も公開された。新シーズンではオペレーターのバランス調整が通例だが、超大型アップデート『シージX』の準備もあり、今回はバランス調整は「ナシ」と発表された。
『R6S』新シーズンY10S1テストサーバースタート
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テストサーバーでは、RauoraとD.O.M.パネルランチャー。そして新武器「リーパーMK2」を試用できる。彼女の背景に興味がある方は「略歴」もチェックしてみよう。
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Rauoraの初日評価は?
防衛側の射線を最大4つ(スモグレも合わせると6つ)ブロックしてしまうその性能で、デモ映像では話題になったRauora。テストサーバーでは、まだ初日ということもあってか慎重な意見が多く見られる。
コンテンツクリエーターのMacieJayは、Rauoraについて「彼女のガジェットを使えるシナリオを見つけられなかった」と率直に述べている。「プロではないけど」とことわりつつも「自分のスキルレベル(※チャンピオン帯)ではかなり状況次第だったよ」
状況次第(situational)なオペレーターとは、Amaru(アマル)のように、マップや爆弾拠点に強く依存することを意味する。どのオペレーターも状況次第と言えばその通りだが、その中でも特に、刺さる状況が限られているオペレーターだ。
クリエーターのGiDはこれに反応し、「高ランク帯ではもっと便利に使えるだろう」と所感を述べている。高ランク帯プレイヤーなら予想の範囲内の行動をしてくる可能性が高く、逆に低ランク帯ほど状況次第になっていくという。
リプ欄では他にも、「セットプレーと設置後のプレイに寄った、非常にニッチなオペレーター」、「フルパなら最強」などの指摘も見られる。実際にプレイして確かめてみよう。
オペレーターバランス調整はナシ
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テストサーバーの開放にあわせて、恒例の「デザイナーノート」も公開。オペレーターバランス調整については、今回は「ナシ」と明記された。
背景にあるのは、発表されたばかりの『レインボーシックス シージ エックス』への準備だ。この『シージX』に向けて、現在のオペレーターバランスのまま、しばらくデータを収集していく。
『シージX』は、シージのコアを保ちつつ、グラフィック、オーディオ、機能などの改善を実施する「超大型アップデート」。詳細はまだまだ不明だが、日本時間3月14日午前2時より「ショーケース」イベントが公式Twitchチャンネルで開催されるので忘れずにチェックしよう。
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なおゲーム内では現在、『シージX』を宣伝する装飾がいろいろなマップに出現している。
防衛勝率は55%でOK
バランス調整はないものの、この機会に開発スタッフから「バランス調整の考え方」について詳しく語られている。
昔からコミュニティで指摘されていることだが、シージは防衛の方がやや有利なゲームだ。防衛側はマップを要塞化でき、攻撃側はそれに対応していくゲーム性であるためだ。開発スタッフも「攻撃側が勝利するチャンスを、防衛側と同等にするのは現実的ではありません」と認めている。
「シージのようなゲームでは、防衛側は戦場を毎ラウンド改変します。一方で攻撃側には、それを分析し、集めた情報をもとに新たな作戦を実行していく時間が180秒しかありません。そしてこの作戦の信頼性も、短期間しか保たれない可能性があるのです」
「だからこそ私たちは防衛側の勝率として55%を目標にし、5%分は許容しています」
イヤー9の最初に開発スタッフも述べていたとおり、今年度は「攻撃側の強化」に力が入れられた一年だった。強力な新オペレーターDeimos(デイモス)にはじまり、新兵Striker(ストライカー)が一人で補強壁を破壊できたり、Blackbeard(ブラックビアード)が盾オペにリワークされたり、Sens(センズ)のガジェットにオン・オフ機能が追加されたりと、さまざまなテコ入れが見られた。
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FaZeの優勝で完結した「シックスインビテーショナル2025」で、その成果をチェックできる(SiegeGGより)。最も「攻撃マップ」だったのは「クラブハウス」だが、それでも防衛勝率は50%だった。一方、最も「防衛マップ」だったのは「領事館」で、防衛勝率は60%。
9マップ平均の防衛勝率は55.5%であり、競技シーンに限っては、ほぼ開発側のもくろみに沿ったと言えるだろう。ランクでも同様だが、やはり攻撃スタートで0-3になっても平然としていることが重要だ。
ピック率はバラバラでもOK
今回はオペレーターのピック率とウィンデルタのデータは公開されなかったが、代わりにそれぞれのデータの見方も説明された。
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開発側の視点では、「特定のオペレーターたちのピック率だけが非常に高い」とは「対戦で目にするオペレーターのバリエーションが少ない」ことを意味する。同じオペレーターとばかり戦っていると退屈になるので、バランス調整が必要になる。
各オペレーターのピック率(グラフの横軸)は、理想的には13%になるのが望ましいという。上のグラフの、ちょうど太線が引かれているエリア周辺だ。現在はこの目標に反して、オペレーターのピック率はバラバラ。特にAsh(アッシュ)やAce(エース)が突出している。
しかし開発側は、厳密に全員を13%のラインにそろえることは目指していないという。
仮に全員がピック率13%のラインにそろったとすると、それは「全オペレーターがどんな状況でも有効」ということを意味する。これだと逆に、オペレーターを選択する意味がなくなってしまうという。すべてのオペレーターが、適切な状況では強力なピックになり、適切ではない状況では選択ミスになる。このような条件が保たれている限り、たとえピック率がバラバラでも、無理に強化や弱体化をする必要はないのだろう。
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しかし、「極めてピック率が低いオペレーター」は話が異なるという。防衛側で言うと、Clash(クラッシュ)やTachanka(タチャンカ)は、以前から低ピックの常連になっている。最新版だと新兵Senrty(セントリー)が最下位だ。
これは、そのオペレーターが「使っていて退屈」か、「十分な影響力を発揮できていない」。あるいは単純に「現在のメタに適応できていない」可能性があるという。強化が必要かどうかは、ピック率を低くしている原因によって変わってくる。つまりClashやTachankaも、単に今の環境に必要ないだけなら調整されないが、「退屈」だと判断されたら今後調整されるのだろう。
ウィンデルタの考え方
ウィンデルタ(グラフの縦軸)について。これはそのオペレーターをピックした対戦での勝率と敗北率の差分で、高いほどシンプルに「強い」ことを示唆する。
しかし注意が必要で、「今の環境では強い」と、「どんな環境になっても強い」は分けて考えなければならない。開発者によると、ほとんどの場合「ウィンデルタが高い=今の環境への適応度が高い」ことを意味するという。環境が変われば自然と下がる可能性があるので「ウィンデルタが高い=弱体化が必要」ということではないようだ。
たとえば、「Ashがドローンなしで走ってくる環境で、Kapkan(カプカン)は強すぎるので弱体化が必要」と言うのは無理があるという。単にプレイヤーが今のメタに対応しているだけ、と考えるべきだ。
バランス調整は、データだけでなく、プレイヤーからの意見も重要視している。さまざまな方法でフィードバックを分析し、開発側自身でも現在のメタを把握するようにしている。SNSの投稿をチェックするといった間接的な方法もあれば、テーマをしぼった調査という直接的な方法も実施している。
XやReddit、YouTubeのコメント欄など、さまざまなプラットフォームで意見を述べたり、アンケートの機会があれば積極的に参加してみよう。プレイだけでなく、意見表明でも、少しずつだが長期的にはゲームの改善につながるだろう。
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- タイトル:Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)
- 発売日:2015年12月10日
- 対象機種:PS5, PS4, Xbox Series X|S, Xbox One, PC(Steam)
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Source: R6S Official, In-Game
コメント
コメント一覧 (3件)
適材適所が上手く割かれてるよなこのゲーム
Y5辺りでアンスコしたけど、ここ数年で復帰した自分には大変楽しいゲームとなっております。
こうやって開発が現環境についてどう考えてるのかをはっきり言うのは大事だよな。その結果を受け入れるのかはプレイヤーそれぞれだけど、受け入れられない人は言わなくてもNOだっただろうし。
RAUORAはSENSと一緒で工夫のいるオペだから、まあこんなもんじゃないかな
シージはよくここまでバランス整ったよ
このグラフが出始めた時のオペレーターのばらけようといったらもうね