CoD: ゴースト:「ChainSAW」は何故軍隊に採用されないのか調べてみた

CoD: ゴースト:「ChainSAW」は何故軍隊に採用されないのか調べてみた

吹き替えが発売されて早1ヶ月。多くのユーザーが『Call of Duty: Ghosts(コールオブデューティー:ゴースト)』を楽しんでいるかと思いますが、その中でも腰だめ運用限定という目新しい武器「ChainSAW」について、実銃の観点から”リアル”に調べてみました。

『Call of Duty: Ghosts』の「ChainSAW」

『CoD: Ghosts』をプレイ中には意外と使用者を見かけない「ChainSAW」ですが、かの有名なエンジョイ勢「VanossGaming」では結構な頻度で登場します。

COD Ghosts Funny Moments – Ninja Defuse, Funny Killcams, Guard Dog, Chainsaw (Multiplayer Gameplay)

「エンジョイするならいいけど実際に使えるの?」という方はこちらをどうぞ。

Crazy Chainsaw FFA (30-1) Best Free For All Perk in CoD: Ghosts!

ゲーム内では弾数が80発とライトマシンガンにしては心許ない数。しかし高い腰だめ精度を生かした制圧射撃、ラピッドファイアのデメリットがほぼ皆無といった利点により、SMGとLMGの間の高い水準でまとまっている武器と言えます。

実銃の「ChainSAW」

KAC chainSAW


射撃中はアドレナリンドバドバでとても楽しそう。

「ChainSAW」を取り巻く背景

エルゴノミック
チェーンソーのグリップをつけたLMG。それが「ChainSAW」ですが、この武器は2009年のショットショー(アメリカコロラド州で開催される世界最大の銃器展)で初公開されました。そう、初公開は2009年。これが最近だと捉えるか昔だと捉えるかは個人の感覚差がありますが、2009年のショットショーでは、上の写真のようなステアー社からMicrotech Knives 社に所有権が移り、各部を改良進化し、取り回しやすくなったAUGの新バージョンや、下のような最初から操作性を重視したカスタマイズを施したライフルなど
ちょうどこの時期は”人間工学”に基づいたデザインが流行した時代だと言えるでしょう。

「ChainSAW」のコンセプト

AUG
まさに”人間工学”という銃業界における1つのブームのなかで生まれた「ChainSAW」。
この銃はアメリカの職人と名高いナイツ・アーマメント社によってプロトタイプが作成され、新しい技術である人間工学に基づいた設計をテストするための技術的課題として開発されました。
従来の“肩付けで構えて撃つ”よりも、腰だめで撃ったほうが自然な射撃姿勢を取れる点に着目。主となる運用方法は、弾数に物を言わせて当たるまで撃つ、または制圧射撃となっています。
射手は、実際に木を伐るチェーンソーを使っているような感覚で「ChainSAW」を扱えるとコメントしています。

「ChainSAW」の信頼性

「ChainSAW」は特異な外見をしていますが、使用する弾薬は汎用的な5.56mm NATO弾。ガスブロックは既存のM249やM240Bと言った西側諸国の機関銃と同じシステムをそのまま流用しています。これはナイツ・アーマメント社が、NATO加盟国の各軍隊が「ChainSAW」へと分隊支援火器を刷新する際に、既存の弾薬と既存のシステムを利用している上で信頼性があるというアドバンテージを得るための設計だと思われます。

「ChainSAW」が軍隊で採用されないワケ

さて、スペックを見る限りそんなに悪いワケでもなく、流行りの人間工学に乗っ取り、アメリカの職人として信頼されているナイツ・アーマメント社が開発している「ChainSAW」は何故軍隊では採用されないのでしょうか?

理由1. 運用ドクトリンが違う

軍事用語でドクトリンという言葉がありますが、これは外交用語のドクトリンである”基本原則”とは違い、”戦闘教義”という意味。よく電撃戦などの戦術がドクトリンとして例示されますが、この「ChainSAW」は各国の軍隊の運用ドクトリンと大きく外れているのです。
前述したように”弾数に物を言わせて当たるまで打つ”という使用用途がありましたが、これは既存の分隊支援火器の”必要なところに必要な分だけ精密な制圧射撃を”という要求からまったく外れています。そもそも弾を垂れ流すだけでは軍事費を逼迫するだけというもの。さらには支援を受けられない状態に陥ることが考えられる海外遠征の場合などは、無駄玉はなおさら御法度だと思われます。

理由2. 強度不足

「ChainSAW」にはアンダーバレルに37mmグレネードランチャーが装着されていますが、実はこのグレネードランチャーを発射すると「ChainSAW」のフレームに異常が起こるというクレームが多発しています。一体開発者は何故ライトマシンガンにグレネードランチャーをつけようとしたのでしょうか…カッコよかったからでしょうか、やはり海外でも浪漫は大事なのでしょうか。

理由3. そもそもこれそういう用途(軍用)じゃないから!

忘れないでいただきたいのは、あくまでこの「ChainSAW」は2009年に”ライトマシンガンに人間工学を取り入れる”という実験的な取り組みをしたに過ぎないプロトタイプだということ。元々軍用などの過酷な状況を想定して作られていないため、強度不足も運用ドクトリンの違いも仕方のないことなのです。

総評

2009年にナイツ・アーマメント社が「今流行りの人間工学をライトマシンガンに取り入れてみたよ!」と発表した「ChainSAW」。
それから4年経ち『Call of Duty: Ghosts』と言う人気シリーズの最新作で様々な人に広まりました。
今現在ナイツ・アーマメント社がこの「ChainSAW」の開発や改良を続行しているか否かは不明ですが、もし開発を続行しているのならば、いつか完成版「ChainSAW」として完全な姿で発売され、運がよければ軍隊に採用されて分隊支援火器が「ChainSAW」だらけになり、ランボー撃ちが流行る世界が来るかもしれません。
来て欲しい気もしますが、お断りしたい気もしますね。

関連エントリ:
CoD:ゴースト:ゴースト屈指の謎銃。「Bulldog」について考える。