eスポーツトップランナー: Sengoku Gaming CEO 岩元氏に聞く、大型スポンサー獲得の経緯と先行投資数千万円の理由

eスポーツトップランナー: Sengoku Gaming CEO 岩元氏に聞く、大型スポンサー獲得の経緯と先行投資数千万円の理由

日本の e スポーツシーンで活躍をみせる、e スポーツチーム「戦国ゲーミング」の代表を務める岩元氏にインタビューを行いました。誰もが知る大手スポンサー獲得までの経緯や選手の待遇、マネージメント方法などをお話ししていただきました。

岩元氏に聞く、e スポーツの現状とスポンサー事情

まずは自己紹介とチーム紹介をお願いします。

岩元氏:戦国ゲーミングの代表をしている岩元 良祐と申します。本業は水産業を行っており、今は e スポーツ事業も並行して行ってます。チームは『Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)』と『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS(以下 PUBG)』、今期から 『リーグ・オブ・レジェンド(以下LoL)』などで構成されており、来年度を含めると計 8 部門作らせて頂いております。

LoL は今期の春リーグで一度挑戦したのですが、3 位に終わってしまって、夏は休止して 1 年かけて再編成。ようやくメンバーが決まったので、来期 League of Legends Japan League の出場枠を狙って挑戦したいなと思ってます。メンバー構成はかなり自信があります。これで落ちたら泣きます(※ 2018/12/26 League of Legends Japan League 2019 への出場が決定)。

スポンサー獲得の経緯と支援内容

チームに大企業のスポンサーがついていると思いますが、獲得への経緯について教えてくれませんか?

岩元氏コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社様に関しては、戦国ゲーミングのコンセプトと福岡での活動、また SG. LANというネットカフェがあり、そこでのイベント実施や遊びに来たユーザーに対して製品を販売するという形で契約に至りました。元々コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社様も e スポーツに興味があり、戦国ゲーミングと共に e スポーツにという経緯で入っていただきました。

チーム運営を始めたことを相談すると「うちの本社に来てみませんか」と言っていただき、結果として契約に至りました。チームを結成してまだ 2 か月ほどで、その当時できるプレゼンといえば、チームの広告効果、ネットカフェ事業、そして水産関係の仕事くらいでした。会社を所有し、しっかりした母体があるという信用もあり、1 年間での契約が決まりました。

思い返すとよくスポンサーが付いたなという感じです。また、株式会社ニューエラ様の最初の e スポーツ スポンサード チームは戦国ゲーミングでした。格闘ゲームのコラボレーション企画など行っていましたが、誰もアプローチはしていませんでした。私のチームは株式会社ニューエラ様とのコラボレーショングッズを作っていきたいというところで、スポンサーではなくパートナーという形で契約していただきました。

私のチームとの契約が決まると、他チームもコラボ企画を始めたりして、少しは業界に貢献できたかなと感じております。私が現在 29 歳なので、ちょうど「New Era(ニューエラ)」世代でした。そういうこともあり、アパレルだと e スポーツはストリート系というイメージがあり「New Era」しかないという形で本社に行き、プレゼンさせていただきました。コネクションはありませんでしたが、直接行きました。パートナー契約するにあたって決算書などを提出しないといけないのですが、法人化しているチームは当時数チームしかありませんでした。どこまでいけるかわからないけど行ってみようという気持ちでアプローチしました。

エムエスアイコンピュータージャパン株式会社様との関係は、アマチュア支援プロジェクトから始まってます。ドラゴンサポートというプログラムからスタートしました。それが今期で終わり、来期は正式スポンサーという形になります。

むさし鍼灸整骨院様は、先方からアプローチがあり代表様と面談をさせていただきました。株式会社 ONE FOR ALL 様が経営する「むさし鍼灸整骨院」は、相撲・アメフト・野球界など、今あるスポーツの多くに専属トレーナーとして契約をしています。彼らのノウハウがスポーツ選手に対して非常に重要な知識であることが分かりました。代表者様からの説明で共感する部分が多くあり、これは e スポーツでも行く行く取り入れないといけないなと思いました。

例えば集中する時は酸素を多く吸うので、体の姿勢や生活習慣のバランスが崩れると集中力に影響が出る。長時間集中するには体のケアが大事ということ。福岡にいる選手はすべて無料で診察していただいて、国内外の大会すべてに同行していただいております。九州だけでなく関東にも展開しており、どこでも無料で診察を受けられて、医師の診断など 1 から 10 まで徹底的にやっていただけるので本当に驚きました。また、「e スポーツの選手を応援したい」と代表の方から仰って頂いたのがとても嬉しかったです。

スポンサーから受けている支援の内容について、お答えできる範囲で教えてくれませんか?

岩元氏:コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社様からは、店舗のドリンクのサポートを頂いているほか、経済面でのサポートもあります。エムエスアイコンピュータージャパン株式会社様はドラゴンサポートからですので、機材のサポートから。今期が 1 年目ですのでようやくスタートラインに立てたかなという感じです。先行投資という形で選手の給与、ネットカフェ含め数千万円投資しました。来年はしっかり取り戻せるような計画は出来たので、頑張りたいと思っています。

優秀な選手が沢山いると思うのですが、選手の紹介をお願いします。

岩元氏:戦国ゲーミングの看板選手は『レインボーシックス シージ』部門です。プロ立ち上げ前の 4 か月前から声を掛け、付いてきてくれたのが今の選手たちです。部門の立ち上げと同時に、戦国ゲーミングを立ち上げたという形です。

一番人気のある選手は Gatorada 選手。ルックスも良いですし、彼 18 歳で本当に反応速度も速くて。コーチングなどであと 1,2 年ノウハウを叩きこめば、日本トップ選手になるとかなり期待しています。戦術面に関しては SuzuC 選手と YoshiNNGO 選手。2 人は昔からFPSをずっとプレイしているので、理解度がかなり高いです。

『レインボーシックス シージ』のシーズン 1 からずっとプレイしてるプレイヤーで、一番理解しているプレイヤーがこの 2 人だと思います。WAYOUMAN 選手はもちろん実力は素晴らしいのですが、ユーモアに溢れる選手です。チームのムードメーカーとして、チーム活動は彼が中心として雰囲気が和む。実力もあり、凄い選手です。コーチは Okamoto コーチで、現役の医大生です。プロリーグなどを観て研究していて、日本で『レインボーシックス シージ』の知識をかなり持っているのは彼だと思います。彼のおかげで、ずっと日本代表として春から 3 回連続で大会に出場しています。

そもそも IQ が純粋に高いです。純粋に日本人のゲームコーチの中で彼が一番優秀だと思っています。『PUBG』部門では、rorichan 選手。彼は最高のプロゲーマーでありエンターテイナーです。PUBG JAPAN SERIES が始まってから皆勤賞でずっと出場していますが、合計 6 回の降格を経験した貴重なプレイヤーです。ファンの人たちに愛されていて、ストリーミング配信の同時視聴者も 500 人を超えて本当にありがたく思っています。

人選される際に、やはり愛される選手など人間性も大切にされているのですか?

岩元氏:選手の選び方に関しては、私が元々コンソール機の『レインボーシックス シージ』のプレイヤーで選手をやっていて、どの選手が上手いかは大体把握していました。『PUBG』に関しては、 長年付き合いのあるゲーム友達を通じ集めました。Team Destroy として韓国の大会に出場していたこともあり、声を掛けさせていただいたのがきっかけです。

チームの満足度とモチベーション

選手からチームへの満足度を向上させて、モチベーションを維持するコツについてあれば教えてくれませんか?

岩元氏:オフラインで活動している『レインボーシックス シージ』部門で言えば、環境を整えてあげることです。ゲーミングハウスや、SG.LAN というファンからの直接的な応援を感じられる場所。そういう環境作りに関しては、他のチームには負けないくらいの環境は作っていると思います。どれくらいの人が応援してくれているか見て実感することで、SNS の使い方やファンの方々への応対といったところのプロ意識にも強く影響すると考えています。

そういう場を作ってあげると選手自身も「このチームで良かった」、「ここでもう少し頑張ってみようかな」と思ってもらえます。結果を出している部門に良い環境を用意している事を目の当たりにしている他の部門の選手たちにも、「結果を出せばこういう環境でプレイできるんだ」という目標にしてもらえてるのではないかと思います。

ゲーミングハウスについては、マンション(1 人 1 部屋のワンルーム)を契約しています。共同生活だと派閥が出来てしまったり、自分が真剣になって 1 人で考える時間を作れないので、スタートするときはそこがかなり心配でした。なので、そこは分けなくてはいけないと思いました。初めは色々と試しました。1 人 1 部屋にすると寝坊してくる選手が出てきたり、別のゲームを練習時間中にこっそりプレイする選手が出てきたのです。

そこで SG.LAN 内に練習環境を用意し、そこの場所で練習するようにするとうまく回るようになりました。オフシーズン中だけエムエスアイコンピュータージャパン株式会社様からお借りした PC「MSI Trident X」を部屋に持ち込めるようにしています。『レインボーシックス シージ』は性能を必要とするゲームですが、「GeForce GTX 1080 Ti」だとものすごく快適です。プロとして配信をしながらプレイしなくてはいけないですが、かなり負荷がかかる。それでも「GeForce GTX 1080 Ti」だと本当に快適にプレイできます。

フレームレートの数値が高ければ高いほど良いです。最近の FPS ゲームはマップ、キャラクター、リコイルなどが変わるアップデートが多いので、どんどん PC の性能が必要になっていく。最高のものを持っていると、ゲーム自体の環境の変化に大きく左右されずにパフォーマンスを維持できるというのが最高です。

副代表が元々 PC ショップの店長だったので、PC に詳しい人がチームにいるのも心強いです。彼は韓国語も喋れますし、e スポーツのノウハウや韓国の情報を教えてもらっています。彼の影響で SG.LAN を作ることができ、オープンして半年ですが、既に 50 社ほど見学に来られました。

e スポーツ エバンジェリストに期待することがあれば教えてくれませんか?

岩元氏:もっともっと講演してもらって欲しいと思っています。私の出身が鹿児島で、2020 年に鹿児島国体があります。そこで e スポーツをやるので、その年に向けて各地で協会が立ち上がっています。しかし、そういう人たちが講演するのもいいですが、実際に第一線で活動してきた方にこそ、リアルな e スポーツの説明をしてほしい。それが切実なお願いです。現在多くの企業さんが興味をもってらっしゃるので、正しい投資の仕方や文化の作り方というのを NVIDIA 様発信でやってほしいです。

最後に戦国ゲーミングからメッセージがあればお願いいたします。

岩元氏:2019 年 1 月に新スポンサーの発表、SG.LAN 新展開も含めて、福岡県民の方々には良いお知らせが出来ると思っているのご期待ください!


現在の e スポーツシーンで活躍されているチームの選手に対する考え方や待遇、大手スポンサー獲得までの経緯などを、非常に貴重なお話をお聞きすることが出来ました。長文インタビューありがとうございました。

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