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『サイバーパンク 2077』開発者インタビュー:キアヌ起用の理由 / Witcher 3から学んだこと / 日本の要素 / ストーリーこそ王 / マルチエンディング / マルチプレイヤーなど

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『攻殻機動隊』に代表されるサイバーパンクの世界を舞台に、緻密なストーリー描写と高いゲーム性で2013年から2016年までの様々な賞を獲得した『The Witcher 3』の開発が贈る、2020年4月にリリース予定の新作FPS『Cyberpunk 2077(サイバーパンク2077)』。

あの小島秀夫監督もTGSのブースに遊びに行くなど、各方面から大きい期待を寄せられている本作ですが、今回はそのレベルデザイナーであるMax Pears(マックス・ピアーズ)氏に様々なお話を伺いました。

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『サイバーパンク 2077』 開発者インタビュー

EAA!!:本日はよろしくおねがいします。

マックス:よろしくおねがいします。

EAA!!:先日、日本語吹き替え版実機プレイデモを拝見しましたが、「映画のようなゲーム」という概念を高い次元で融合させたらこうなるのかと感動しました。ブレードランナーや攻殻機動隊、マルドゥック・スクランブルなどのサイバーパンク作品を愛好するゲームファンにとっても間違いなくマストバイになると期待しています。

サイバーパンク2077 — 日本語吹替版シネマティックトレーラー

マックス:ありがとうございます。心を込めて作ったので、期待していただけると私達も嬉しいです。

▲屈託のない笑顔が素敵なマックス氏。ゲームを語るのが何より楽しそう

『The Witcher 3』を超える選択肢、プレイヤーを取り込む重厚なストーリー

EAA!!:CD PROJEKT REDの代表作といえば、膨大なストーリーと世界観で沢山のプレイヤーを魅了したファンタジーRPGの『The Witcher 3』が挙げられますが、それら過去作品から学んで『Cyberpunk 2077』に活かした要素は?

マックス:『The Witcher 3』からは、私達も多くの事を学びました。その中でも最も大きな教訓はやはり「ストーリーが至上にして、ゲームを構成するキングである」ということです。例えば先程話題に出された様々なSF作品も、その全てが説得力のある強いストーリーに支えられていますよね? 80年代から、もしくは更に以前から世界中の人達を重厚なストーリーで魅了し続けている作品もあります。

なので「第1にストーリー」でした。プレイヤーの心を強く動かしうる、そんなストーリーを最重視する。あとは「選択肢」ですね、例えば、リヴィアのゲラルトは冒険の最中に様々な選択肢と直面しました、しかもその多くが倫理的にグレーな選択肢でもありましたね。そのように、奥深いストーリーや選択肢をプレイヤーに見せることが、私達が一番『The Witcher 3』から学んだ事です。

EAA!!:素晴らしい。私が『The Witcher 3』を初めて遊んだときに感銘を受けたのがまさしく選択肢周りの奥深さなんですよ。最近のRPGですと、殆どの作品で選択肢ってどれを選んでもあまり意味が無いじゃないですか。世界観の説明が入ったりするだけで、大筋や他の会話内容がそれで変わることってとても少ないのに、『The Witcher 3』は選択肢によってサブクエストなどのストーリーの行く末やダイアログ(会話内容)が頻繁に変わりますよね。『Cyberpunk 2077』もそうなるという認識でいいんです?

▲『ウィッチャー3』のプレイヤーは、作中で様々な選択に直面することとなる

マックス:ええ。その点に関しては『Cyberpunk』も「ウィッチャー・トリートメント」を受ける事になります、マルチエンディングのストーリーですね。何個あるかは今の段階では明かせないのですが、ほら、ネタバレもしたくないですしね?(笑)

エンディングはプレイヤーの皆様に自ら体験してもらうとして、選択肢に関してはなるべくゲームに影響を及ぼしうるように気をつけました。その点においては『The Witcher 3』を超えたとも思っていて、例えばデモでもお見せしましたが、バックストーリーが3つ有ったじゃないですか。それぞれがプレイヤーキャラに大きいインパクトを与え、キャラクターカスタマイズを奥深くしてくれます。

▲キャラクリ時に選択できる「出身」、ストーリー中の選択肢にも関わってくるらしい

『Cyberpunk 2077』はプレイヤーそれぞれに委ねられるストーリーで、私達が準備した数々の選択肢はそれを体現するものだと思っています。例えばプレイヤーがどんなCyberを装備するのか、どのようなプレイスタイルを選ぶのか、どのように世界を追っていくのか。選択を通してプレイヤーという主人公をゲーム内に投影できるように気をつけました。

EAA!!:ストーリーの奥深さといえば、やはり欠かせないのはローカライズですよね。世界観を壊さないために特に気を付けたこととかはなんでしょう?

マックス:私自身日本語がとても下手なので(笑)ローカライズを直接管理しているのは別の日本人スタッフなのですが、とにかく絶対に問題ないなと信頼できる翻訳スタッフを探すことにはこだわりました。おっしゃるとおり、ニュアンスや文化的な雰囲気を同じ目線から体験するのはとても難しいのですけど、私達にとってはまさにそれこそがプレイヤーに一番味わってもらいたい部分ですから。

どんな国のプレイヤーにも、全くおなじゲーム体験を提供したいので、翻訳スタッフは必ず信頼できる人たちに任せるようにしています。実際今までの作品でもローカライズはかなり好評でしたし、『The Witcher 3』でも素晴らしい仕事が出来たと思います。それも『The Witcher 3』から学んだ事の一つですね。

EAA!!:素晴らしいですね!日本でも『The Witcher 3』は数ある海外RPGゲームの中でも最もローカライズが成功している作品で、日本製のゲームだと言われても違和感が無いレベルでした。それと同じローカライズ水準を期待できるのは、最高のニュースです。

マックス:ありがとうございます。

EAA!!:ところで、キアヌ・リーブス演じるジョニーはデジタルゴーストだということですが、やはり「攻殻機動隊」の影響を色濃く感じます。インスパイアされた部分もあるのでしょうか?

マックス:そうですね、本作への影響で言うなら、まずこのジャンルそのものに膨大なタイトルがありますから、参考にした部分もかなりあります。何がサイバーパンクをサイバーパンク足らしめているのか、このジャンルに皆が寄せる思いや、この界隈だからこそ通じるネタなどもリサーチし、より完成度の高い世界を提供するためにも様々な作品を参考にしました。

ですが私達独自の世界観でジャンルに新たな風を吹かせることも忘れていません、むしろそれが一番の楽しみでしたね。例えばトレーラーでお見せしましたが、『Cyberpunk 2077』では日中の活動がとても多いんです。これは今までのサイバーパンクジャンルからすると非常に珍しいんですよ、殆どの作品は夜が主役ですから。そんな感じに、様々な名作から学びつつも、それに私達独自のひねりが加わったユニークな味わいにできたと思います。

▲「自分たちが組み上げたサイバーパンク世界をお届けしたい」と語るマックス氏

気になるゲームコンテンツ。武器装備の種類や、ミニゲームにロマンスも!

EAA!!:本作には銃とマンティスブレード、刀(サイバー忍者)など多数の武器が登場するとすでに公開されていますが、種類はどのくらいになりますか? とくに刀が出るという情報が出た瞬間、「購入する」と決めた日本人もいるんです(笑)。

マックス:本当ですか! やはり特別なのですね。武器の具体数に関しては、実は私達も把握はしていないんです。未決定だというところもあって、現在も順次開発中ですし、調整等も残っていますから、コレだ!と言える決定情報はないんです。ただ、豊富な種類を用意したという点だけは保証できます。

▲ショットガンで敵ロボットの弱点を近距離から撃ち抜く、ハイリスク・ハイリターン戦法は病みつきになる

それに武器の種類だけではなくて、その使い方にも気を遣いました。例えば、一部のプレイヤーは特定のプレイスタイルを愛するが故に、大半の武器には最後まで一度も触れないかもしれません。そしてそのようなプレイヤー達でも奥深いシステムを味わえるように、サイバーウェアのアップグレードを通して様々な選択肢を用意しました。ですから、プレイヤーの皆様にはかなりの「探索要素」を準備できたと思います。

▲持ち運べる銃器なんて弱すぎる。真のターミネーターは固定砲台をもぎ取って戦う、これに限る

EAA!!:おお、私も近接系のプレイスタイルに特化しがちなので、それは楽しみですね!ただ、ゲーム開発としてはやはりプレイヤーには様々な武器を触ってもらいたいんものですか?

マックス:個人的にはそちらのほうがもっと楽しめると思っています。それに加えるなら、開発としての一番の楽しみは作っている最中には想像もつかなかったような使い方をプレイヤーに発見される事ですから。

開発内のプレイテストも結構楽しいんですよ。自分で作った装備をテスターにプレイさせたら、たちまち私が全然考えてなかったような使い方を何個も発見されて。それを呆然と横で見ながら「あっ…そんな使い方も有ったの?」という反応しかできなくなるのですが。「そういう組み合わせもアリなのか!」みたいな驚きもあったり、そしてプレイヤーの皆様の手に渡ったらもっと面白い物を見れるんじゃないかという期待もあるので、欲を言うならば色々と試して欲しいですね。

▲単純な撃ち合いだけではなく、ハッキングなどのサイバーパンクならではの戦い方も用意されている

EAA!!:発売後はやっぱりTwitchなどでプレイ実況を視聴する予定なのでしょうか?

マックス:ええ、私自身は放送するつもりはないのですが、開発内では…どうでしたっけ?なにかそういう話も有った気がしますが…とりあえず放送はさておき、視聴はします。もうTwitchでいろんな放送チャンネルに入り浸りますよ(笑)

EAA!!:楽しみですね(笑)。話を一旦『The Witcher 3』に戻すことになるのですが、あのゲームでは皆がやり込んだ要素がありましたね、「グウェント」という…

マックス:あああー(笑)。そうですね、グウェント単体のスタンドアローンのゲームまでできました。

▲人気すぎて一本のゲームとして独立してしまった『Gwent』

EAA!!:どれもとても面白かったです。ところで、『Cyberpunk』にもそのようなミニゲームコンテンツはあるのでしょうか?

マックス:それに関してはあまり詳しく話すことは出来ないのですが、ゲームそのものが「ナイト・シティ」という夜遊びの街を舞台としているので、プレイヤーが手を出せる様々なアクティビティも充実させています。例えば、射撃練習場ですね。デモやプレイヤーに映っていた物を上げるなら、ボクシングもプレイヤーが参加できるコンテンツの一つです。

そしてここからが面白い部分なのですが、今作ではそういうコンテンツを遊ぶと、実際にプレイヤーのアビリティが向上するんですよ。例えば射撃練習場でハンドガンを撃っていれば、ハンドガンの熟練度がどんどん上がっていきます。なのでプレイヤーがどんな風にこのようなコンテンツに触れていくのか、それを通してどのようなキャラクターが出来上がっていくのかは、私達も楽しみにしているところです。

▲トレーラーにも出てきた筋トレやボクシングは、プレイヤーも遊ぶことが出来るという。

EAA!!:なるほど。ロマンスもそのようなコンテンツの一種だと言えますよね。キアヌ・リーブスとキスはできないという残念なお知らせがありましたが、同性同士のロマンスオプションはあるとか…?

マックス:まぁ、そうですね。ゲーム内で様々なロマンスオプションを準備したのと、それとは別にプレイヤー自身が様々なカスタマイズのキャラクターを使用できるので。そしてロマンスの種類も様々な物を用意しました。去年のデモでお見せしたワン・ナイト・スタンドなロマンスや、より長期的な関係を築けるものまで。なのでプレイヤーの自由にしていただきたいなと。

▲義体が高度に発達した世界に果たして性別の意味はあるのか、サイバーパンク共通のテーマの一つだ。

EAA!!:ありがとうございます。ところで今作は発売後にマルチプレイの実装を予定しているとのことですが、それはなんらかのエンドコンテンツに相当するような物なのでしょうか?

マックス:マルチプレイに関しては、現状公開できる情報はあまりないんです。まだ開発段階ですので、とりあえずプレイヤーにはシングルプレイコンテンツを心ゆくまで楽しんでほしいなと。

ただ、『The Witcher 3』でもそうでしたが、発売後もコンスタントにアップデートを続けていきますので、『Cyberpunk 2077』も同じく様々なコンテンツが続々と追加されていくことになります。

▲『The Witcher 3』は発売後16個もの無料DLCと、2つの有料大型DLCが実装された。

世界観や雰囲気、「ナイト・シティ」を作るにあたって気をつけた点

EAA!!:作中には日本のメーカーが多数登場します。代表的なのがYAIBA社のバイク「KUSANAGI」です。こういったものの制作過程では、CD PROJEKT REDに在籍する日本人スタッフの意見を参考にしましたか?

マックス:私自身あまり把握していないのですが、「ナイト・シティ」は様々な文化が混合されている都市なので、たとえばTGSで展示した映像ではハイチ人コミュニティを取り扱いましたね。世界中のいろんな国家から影響を受けている都市なので、現実世界の多文化都市もかなり参考にしました。

▲バイク『Kusanagi』。世界観もあってか、日系企業が数多く登場することになるそうだ

そしてそのような雰囲気は、多様な文化を雑に放り込むだけでは作れないものです。様々な文化を深く理解して、お互い個性を目立たせつつも共存させ、高いレベルで融合させる必要があります。その具体的な工程には関わらなかったので私は詳しくは知らないのですが、専門のスタッフ達が大分慎重に作り込んだという点は確かです。

EAA!!:なるほど。キアヌ・リーブスさんを起用したのも、その様に世界観や雰囲気を重視した結果なんです?彼がこれまで出演してきた映画のイメージもが作品にとても合っているので。

マックス:『Cyberpunk 2077』の世界観にドンピシャな人選を重視したのは確かです。その点において、キアヌ・リーブスさんの経歴はまさしく私達が求めていたものでした、完璧だったとも言えますね。ただの宣伝目的ではなく、やはり世界とキャラクターに合った方を探したかったので。現在コミュニティが彼に沸き立っているのもそのおかげだと思います。

▲主人公の相棒をつとめることとなるキアヌ・リーブス改め、ジョニー・シルバーハンド。

キアヌ・リーヴス『サイバーパンク2077』日本向けスペシャルメッセージビデオ

EAA!!:イベント中に唐突に小島監督がサプライズ乱入しましたが、やはり普段から仲が良いんです?

マックス:ええ、去年のE3にも来ていただいたのですが、とにかく素晴らしい方ですね。ここでも出会えてよかったですし、なにより嬉しいサプライズでした。いやー…本当にお元気そうでよかったです。

関連記事サイバーパンク2077:日本語吹替版トレーラー公開、TGS 2019にはキアヌ・リーブスや小島監督の姿も

EAA!!:先程は様々なサイバーパンク作品を参考にしたとおっしゃっていましたが、プライベートで見てみたい作品はありますか?

マックス:そうですね、さっき教えていただいた『マルドゥック・スクランブル』という作品は聞いたことがないので、早速チェックしてみたいと思います。あとは数年前からずっと見たいと思っていた作品がありまして…なんでしたっけ、比類なき名作とも言われててその筋ではとても有名な、日本のアニメ作品なのですが、たしか「L」から始まる…

EAA!!:その条件に当てはまる作品なら、『Lain』ですか? 『Serial Experiments Lain』。物理的なサイバネティックスよりも通信工学や心理学に大きく踏み込んでいますが。

マックス:そうです、それです!ずっと周りからも「見たほうが良い」、「世界観が完全に変わる」と勧められていて。内容が深すぎて、見終わったあとは必ず頭の中がぐちゃぐちゃになるとも聞いているので、いつか落ち着いたら絶対に見てみたいですね(笑)。

EAA!!:ありがとうございます。最後に、日本のファンに向けてなにかメッセージをお願いします。

マックス:もうご存知かもしれませんが、ここに来てからはひたすらプレイヤーの皆様の熱気に呑まれているんですよ。開発が未発売の新作についての話をするときは、いつもそれなりにビクビクするものなんです、反応が必ずしも良いものだとは限りませんから。ですがここ日本に来て、現地で皆様の心から楽しみにしている反応を見ると、ただただ息を飲むばかりです。皆様とお会いできてよかったですし、熱意とサポートをどうもありがとうございます。開発一同、本心から感謝しています。

▲笑顔が素敵なナイス・ガイのマックス氏。インタビューありがとうございます。

『Cyberpunk 2077』の発売日は2020年4月16日で、PC/Xbox One/PlayStation 4でリリース予定。

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Source: Stadia Connect, Press Release

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