『Battlefield V(バトルフィールド 5)』チャプター6「ジャングルの中へ」で実装された新武器・新ガジェットの中でも、十一年式軽機関銃はひときわ目立ったギミックが実装されています。ランク3の専門技能「トップアップ」を取ると、残弾数が5の倍数の時には素早いリロードが可能。
どうして十一年式軽機関銃にだけこのようなユニークな特徴が実装されているのか、なんでこちらをデフォルトのリロードにしなかったのか。そのような疑問にDICEゲームプレイアニメーターのOskar Wetterbrandt氏がプライベートのTwitterで解説を行いました。早速見ていきましょう。
十一年式軽機関銃のクリップリロード
十一年式軽機関銃・リロード動画
Oskar氏「個性と戦術の幅を広めるため」
1/10 I've read several comments regarding the way Nambu Type 11 reloads in Battlefield V, that it's weird the Top Up specialization ain't the default way of reloading and that changing the hopper magazine should be the upgraded version. Here is the reasoning behind this:
— Oskar Wetterbrandt (@Wetter1992) February 5, 2020
11ツイートに渡る長文解説を行ったOskar氏ですが、以下に要約します:
- 十一年式軽機関銃のリロード構造はとても「変」
- マガジンの底にベルトの様な構造がついており、弾薬をレシーバーに引っ張り込んでいる
- 5発撃ち終わったら、空になったストリッパークリップを下に排出する
- クリップ補充をデフォルトリロードにするには、ゲームプレイ上の問題があった
- プレイヤーがリロードボタンを押したら、必ず30発まで装填しなくてはいけない
- クリップの残弾数が1~4の場合、プレイヤーはマガジンを開いて、残ったクリップをすべて取り出して、最底部のクリップを取り外してから装填することになる
- 時間がかかりすぎるし、現実の兵士がそうするとは絶対に思えない
- なのでデフォルトはマガジン取り換えにした
- クリップ補充という元銃のデザインは尊重したい
- 専門技能を選択したら、素早くリロードできるように設定
- 銃の個性を際立たせ、戦術上の選択肢を増やせることに期待
ツイートの最後には、EA DICEも参考にしている海外の銃器研究サイトForgotten Weaponsから十一年式軽機関銃のページより、一枚の画像が引用されました。
Forgotten Weaponsの記事(英文)末尾には他にも旧陸軍歩兵学校校長、三宅俊雄氏による『十一年式軽機関銃取扱上ノ参考』も掲載されています。これら資料がEA DICEの開発の一助となったことは想像に難くないでしょう。
現実の十一年式軽機関銃は使いづらい
十一年式軽機関銃の装填架(マガジン)に用いられた実包は三十年式実包を5つに束ねた挿弾子(クリップ)で、これは当時旧日本軍の制式装備であった三八式歩兵銃と統一されている形。本国が少資源ながらも各地に戦線を展開している日本にとって、既存の兵站をそのまま流用できるというのはとても大きな利点だったに間違いありません。
歩兵操典では十一年式軽機関銃の運用チームは二人一組、副射撃手は射撃手の左側に待機。装填の際は射撃手が装填架のふたを開け、副射撃手が親指で下から、中指と人差し指で上から挟むように挿弾子を2~3本つまみ、横幅と位置を合わせて装填することになっています。このリロード動作は『BFV』でも再現されていますね。
ただし十一年式軽機関銃はこの性能を実現するために装填架底部の構造が複雑になってしまい、風塵に極端に弱くなってしまいます。Meyer著の『Rise and Fall of Imperial Japan』によると、多少の泥や砂塵で射撃不良となったため、前線の日本軍兵士からは評価が悪かったそうです。
『十一年式軽機関銃取扱上ノ参考』にも取り扱いに及ぶ注意点として「風塵季にありては大気の乾燥と土質の関係とにより砂塵飛翔し...保存及使用に影響する処尠からず故に手入及取扱上左の諸点に注意するを要す」と、数ページに渡り砂塵に関する注意事項が記されているので、兵士にとっての苦労も押して測るべしでしょう。
またForgotten Weaponsの研究によると、三十年式実包の装薬は十一年式軽機関銃の短銃身にとって大きすぎるため、銃身過熱や整備上の問題につながったので、結局は専用の減装弾を使うことになり、兵站上のメリットも喪失することになりました。
さらに本銃の問題点に関しては、大戦期に本銃と対峙し、さらに鹵獲を通して日本軍に負けないほど使用していた中国軍からも指摘されています、以下は中国の資料より抜粋:
- 装填工程が機銃にしては複雑
- 夜間や緊急な状況下、突撃時や被砲撃時での装填に深刻な支障を来す
- 万が一副射撃手が脱落した際は、射撃手単独の戦闘能率が大幅に落ちてしまう
- 立ち射撃を行う際は副射撃手が邪魔になりがちで、ますます装填工程の不便さが目立った
- 三脚の高さが機銃にしては高く、400mmもある
- 俯角への射撃時に射線を合わせるため射手が身を乗り出す必要があり、敵方の反撃を容易にした
- 銃声が三八式歩兵銃よりも響くため、判別が容易
- 前線指揮官にとっては駐留している日本軍の戦力状況などを推測する判断材料に使われた
- 銃把(ストック)の特徴的な形状のため、反動が左に傾いた(『BFV』では逆に右反動が左より強くなっている)
- 重心のバランスが悪いため、移動時は銃を担ぎづらく、射撃手の疲労にもつながった
実用上は多くの問題点を抱えた本銃ですが、実射や研究を行った須川薫雄氏の記事によると、一般的な機関銃を上回る集弾率と命中率の良さを持っているとされ、中国の資料にも狙撃武器としての運用が可能との記述があります。
十一年式軽機関銃は、戦場での実用時特有のさまざまなトラブルに見舞われたせいで、実用性は低かったものの、性能自体は優秀な銃器だったと言えるでしょう。
『BFV』でも元銃の性能を重視してか、射撃レートは遅いものの精度がとても高いLMGとして設定されています。惑星BFではジャミングや砂塵とも無縁、現実では扱いづらいとの烙印を押された銃器にとっては理想的な環境です。これを機に使ってみるのはいかがでしょうか?
十一年式軽機関銃の『BFV』内での性能についてはこちらの記事もご参照ください。
『Battlefield V(バトルフィールド 5)』の発売日は11月20日で、対象機種はPlayStation 4、Xbox One、PC。
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Source: Twitter
コメント
コメント一覧 (8件)
トップアップが高速リロードの代わりでクリップ装填で早くなる
これだけでいいじゃん
なんで「現実の兵士がそうしたとは思えない」とか無理にリアルに寄せようとするんだよ
だったら最初から義手女兵士とかハロウィンコスプレ兵士なんか設定に入れんなっての
兵站の弱い日本兵がマガジンリロードなんてしないと思うんですがそれは
5の倍数以外でもクリップリロードにしてほしかったなぁ
レートで押す武器じゃないし装填早いメリット考えたらリロード後26発とかでも問題ないし
そもそも撃ちきったときマガジンリロードになるのはなぜだ...?
これが神ゲーだったら細かいところにも気を配ってる高評価なんだけどね
残念ながら他に気にするところ無いんですか?としか
ゲームとしての方向性を決める人と銃器の担当は違うだろ
彼は自分の仕事をしっかりしているだけ
ペリノ式のリロードでいいじゃん
意外とDICEって反日企業じゃないんだな、それでも女兵士は血が煮えたぎるほど苛つくが
プラネットバトルフィールド設定すき