Microsoftは『Call of Duty(コール オブ デューティ)』シリーズを手がけるActivisionの買収を完了させようとしているものの、ソニーや各国の規制当局からゲーム業界独占の可能性が指摘され、難航しているのが現状です。
そんな中でMicrosoftは先日、クラウドゲーミングプラットフォーム「Boosteroid」と新たな10年契約を締結しました。Xboxのゲームをより広いプレイヤーに提供するもので、Activision買収完了の際には『コール オブ デューティ』シリーズもプレイ可能になります。
XboxのゲームタイトルがBoosteroidでもプレイ可能に
MicrosoftのXbox事業を統括するPhill Spencer氏は3月14日のツイートを通して、Boosteroidとの新たな10年契約を発表しました。
これはXboxのゲームタイトルがBoosteroidでプレイ可能になるという内容で、2023年の期待作の1つ『スターフィールド』のリリースを控えたベセスダのゲームや、『コール オブ デューティ』シリーズを含む、買収予定のActivisionグループのゲームタイトルも含まれる予定です。
Boosteroidは2017年に設立された、ウクライナのクラウドゲーミングプラットフォーマー、および同社の提供するアプリで、現在はアメリカ、イギリス、ヨーロッパ諸国でサービスを展開中です。世界のユーザー数は400万人を突破しており、独立系のクラウドゲーミングサービスとしては世界最大規模のものとなっています。
PCのみならずスマートフォンでもゲームのクラウド体験が可能な本アプリの強みを活かし、Microsoftの手がけるゲームタイトルが、さらに多様なデバイスからアクセス可能になることが期待されます。
Microsoftのゲーム人口1.5億人増を見込む
Microsoftのリリースによると、Boosteroidのクラウドサービスを通じて、Microsoftが手がける(予定の)『コール オブ デューティ』シリーズなどのゲームタイトルにアクセスできるプレイヤー数は、1億5,000万人の増加を見込んでいるそうです。この契約により、世界中のプレイヤーはより多くのゲーム体験をすることができ、世界中のゲーム市場に新しい可能性が生まれることが期待できるとしています。
- 新たな契約で実現するもの
- MicrosoftによるActivision Blizzardの買収完了後、Activision BlizzardのPCタイトルをBoosteroidの顧客がストリーミング配信できるようになる
- 『コール オブ デューティ』などの人気フランチャイズに、1億5000万人以上の追加プレイヤーを見込む
- Xbox Game Studios、ベセスダ、Activision Blizzardが製作したゲームが、複数のクラウドゲームサービスやサブスクリプションでプレイできるようになる
- Microsoftは昨今、Xboxコンソールのダッシュボード、PC、モバイルアプリでウクライナ語のサポートを追加したが、2023年春にはウクライナでもPC Game Passを開始する予定
- Boosteroidについて
- Boosteroidは2017年より運営開始。ウクライナに研究開発拠点を置き、主な拠点はキエフとハリコフ
- Windows、Linux、Android、Android TV、macOS向けなど、ブラウザベースと専用アプリケーションの両方を通じて、クラウドゲームストリーミングを提供中
- 現在は、ウクライナ国内に加え、米国、英国、欧州連合(EU)諸国のゲーマーにサービスを提供中
- ハリコフの2つのオフィスがロシアのミサイル攻撃で被害を受けた。しかし過去13カ月間の戦争の間も、革新と成長を続ける
BoosteroidのCEOであるIvan Shvaichenko氏は、「Microsoftのウクライナへの継続的なコミットメントに感謝し、地元のゲーム開発コミュニティを支援するイニシアチブに協力し、国の経済回復にさらに投資していくと」述べています。
Microsoftの副会長兼社長であるBrad Smith氏も、「このパートナーシップは、ロシアの不法侵攻以来、当社がウクライナに提供してきた4億3000万ドルの技術および資金援助に基づいており、ウクライナの16万人のソフトウェア開発者を支援するために当社が引き続き取るべき手段を例証しています」としています。
Activision買収の実現性を高める意図も?
Microsoftは昨今、任天堂やNVIDIAとも新たな契約を締結しており、各企業が提供するゲームハードおよびクラウドサービスでも、『コール オブ デューティ』シリーズをプレイ可能にしていく見込みです。これには最新作だけでなく過去作も含まれる可能性があり、Phill Spencer氏によると、いわゆるプラットフォーム限定コンテンツは作らず、すべてのプラットフォームで、同じタイミングで、かつ同じコンテンツをプレイ可能にするそうです。
一連の動きは、MicrosoftによるActivisionの買収が、市場独占の懸念を指摘されて難航している件とも関連しているようです。今回の契約により、これまでよりもさらに多くのデバイスで『コール オブ デューティ』がプレイ可能になり、市場独占の懸念は不要というメッセージが、規制当局に対してより明確に示されたことになります。
買収が完了すれば『コール オブ デューティ』にアクセスできるプレイヤーの増加が見込まれ、世界のゲーマーにとってはプラスに機能するでしょうが、果たしてソニーや規制当局が最終的に首を縦に振ることはあるのでしょうか。Activisionの買収には引き続き注目していきたいところです。
MicrosoftによるActivision買収の流れ
- 2022年
- 2023年
- 1月:GoogleとNVIDIAが買収に懸念
- 2月:MicrosoftがNVIDIAとの新たな契約
- 3月:ソニーに対し、10年間のCoDライセンス契約を提案
- 3月:MicrosoftがクラウドゲーミングプラットフォームBoosteroidと10年間の契約(現在)
- 3月末:欧州委員会による結論(予定)
- 4月末:英国CMAによる結論(予定)
- 8月:米国FTCによるヒアリング(予定)
- タイトル:Call of Duty: Modern Warfare ll(コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア Ⅱ)
- 発売日:2022年10月28日
- 対象機種:PS5/PS4, Xbox X|S/Xbox One, PC(Battle.net / Steam)
Source: Microsoft
コメント
コメント一覧 (3件)
2020年のインタビューでフィル・スペンサーやティム・スチュワートは
ZeniMaxの買収でBethesdaのタイトルをXbox独占として展開する考えはないって言ったけど
https://news.denfaminicogamer.jp/news/201117o
https://www.gamesindustry.biz/are-xbox-series-x-developers-being-held-back-by-xbox-one
5月に発売されるRedfallのクリエイティブディレクターが
MicrosoftによるZeniMaxの買収で開発中だったPS5版が中止になったことをバラしちゃった
https://fr.ign.com/redfall/64224/news/oui-redfall-etait-initialement-prevu-sur-ps5
Microsoftのことなんて信用すべきではない
結局MSがやりたいのはPSからCODを取り上げるか
マイクラみたくソフトは提供するけどPS版は劣化版でロイヤリティ吸う事だから
何処と提携しようが、任天堂ハードで出そうが全部茶番なんだよな
ただあんだけ昔人気凄かったHALO&Gearsを腐らせてる今のMSだと
IP信仰だけが凄くて、中身のクオリティを全く考慮せずに形骸化するのが目に見えてて
結局、CODもIPごと腐らせるだけで終わるんじゃないか
少なくとも、日本ではとどめ刺す結果になるだけだなー
クラウドで安物PCでCODできたとしても撃ち合いで不利だし結局CS機でやればいいじゃないかってなるんじゃないの
スマホでクラウド版やって敵見えんの?WZは特に無理ゲーだと思うけど、それとWZモバイルでるのとCODモバイルもあるのにモバイルのCOD人口分散させたら下手したらCODのモバイル事業が失敗しそう
Switch版といいこんなCODプレイしたい人いるのか?今の段階で不安しかないんだけど