本日2024年7月10日、Blizzard Entertainmentは『Overwatch 2(オーバーウォッチ2 )』に対し、シーズン11のミッドシーズンアップデートを実施。
予告されていたタンクヒーローに対する大胆なバランス調整に加え、キャスディなどの一部強力すぎたヒーローに対する弱体化が行われている。
ヒーロー全般のアップデート
- 全般
- 投射物ごとのアーマーのダメージ一律減少量が5から10に増加
以前のアップデートで環境に大きな影響を与えたアーマーの仕様変更だが、今回さらにアーマーを強化する調整が行われている。この狙いについてパッチノートでは「アーマーの影響を受けやすい特定のヒーローとダメージ・タイプにポジティブな変化が見られました」と記載されており、今回アーマーの効果を引き上げることで、さらにアーマーの有無でパフォーマンスが変化するヒーローを増やしたいという考えがあるようだ。
アーマーが強化されることでパフォーマンスが向上するヒーローはジャンクラットやファラのような「単発高火力系」のメイン攻撃を持つヒーロー。逆にパフォーマンスが低下するヒーローには、トレーサーやリーパーのような「連発低火力系」のヒーロー達が該当する。
実際に前回の仕様変更を受けて、ピック率最下位付近が定位置であったジャンクラットは大きくピック率を伸ばし、ピック率上位帯常連のトレーサーは中間以下のポジションに移動している。
タンク全般のアップデート
- タンクのロール・パッシブ
- アルティメット・チャージの減少率が30%から40%に増加
- ノックバックの減少率を50%から40%に減少
タンクを攻撃・回復した際のアルティメット・チャージの獲得量が70%から60%に低下。タンクを攻撃し続けて溜めたアルティメット・アビリティで展開を作る動きが、若干スローペースになる。
また、同時にダメージのロール・パッシブにも対タンク関連の調整が行われており、あわせて「タンク以外のヒーローを狙った動き(+それを阻害するタンクの動き)」を軸とした環境作りが狙いと考えられる。
ノックバックに関しては、タンクの役割である「位置取り」が強調される良い変更であったものの、ノックバックさせたのかが判断できないレベルになっていたため若干の変更が行われている。
D.Va(強化)
- “ディフェンス・マトリックス”
- 持続時間が3秒から3.5秒に増加
- “マイクロ・ミサイル”
- 爆発ダメージが4から5.5に増加
- 全弾が直撃した際の最大ダメージ量は126から153に増加
- 爆発ダメージが4から5.5に増加
“ディフェンス・マトリックス”の時間延長は、総リソース量の増加ではなく、リソースの消費量の減少によって生じる強化。そのため、実質的にリソース回復速度の向上にも繋がっている。
“マイクロ・ミサイル”のダメージ量増加は、昨今の一律的な耐久性向上に対応するためのもの。最近徐々にピック率を上げているD.Vaだが、今回のアーマー強化の調整も追い風調整。本人のアーマー含有量が高く、対アーマー性能の高い「単発高火力系」の攻撃に強い“ディフェンス・マトリックス”の強化により、どこまで活躍の幅を広げるか注目したい。
ドゥームフィスト(強化)
- “攻撃は最大の防御なり”
- 追加ライフ獲得量がターゲット1人につき35から40に増加
- 追加ライフが減少し始めるまでの時間が1秒から3秒に延長
アビリティヒット時に獲得できる追加ライフの獲得量(1ヒットあたり)が増加し、獲得した追加ライフの「持ち」が良くなっている。ただし、追加ライフの獲得上限は+200で据え置きである点には注意。
追加ライフの減少スピードの速さから「やるか、やられるか」といった印象の強いドゥームフィスト。“ロケット・パンチ”のクールタイム(4秒)を賄える程度の遅延を獲得したため、今後は一度引いてから追加ライフを持った状態で再突入する、安定重視の動きも取り入れやすくなるだろう。
ジャンカー・クイーン(強化)
- “コマンディング・シャウト”
- 追加ライフが150から175に増加
- “アドレナリンラッシュ”
- 傷ダメージから得られる自己回復の倍率が2から2.5に増加
ジャンカー・クイーンにも耐久面を補強する調整が行われているが、他のタンクヒーローに多く見られる「シンプルに固くしました」といった調整ではなく、アビリティを上手く扱った際に強化が際立つ調整となっている。
特に“アドレナリンラッシュ”は、傷ダメージを付与した相手をキルした場合に「残りの傷ダメージ」分の回復をまとめて獲得できるため、恩恵が腐りにくい点も大きな魅力。強化近接攻撃などの直接キルに繋がらない傷ダメージも、恩恵を受けられるため細かいダメージを気にする必要が減る、短期決戦向きのジャンカー・クイーンにマッチした調整と言える。
マウガ(バランス調整)
- “オーバーラン”
- ノックバックのダメージが25から30に増加
- 踏みつけダメージが60から75に増加
- “カーディアック・オーバードライブ”
- 持続時間が5秒から3秒に短縮
- ライフ吸収量が60%から100%に増加
- ダメージ軽減が30%から40%に増加
- 味方のライフ吸収量とダメージ軽減率が半減
“オーバーラン”の強化はわかりやすいダメージアップ。これはQ&Aで語られていた「タンクヒーロー以外へのダイブにも意義が感じられる性能にしたい」という考えに基づいたものだろう。
“カーディアック・オーバードライブ”は「シンプルに固くしました」系調整。これまでも“バイオティック・グレネード”や“不和のオーブ”といった小細工なしでの突破は困難であったが、発動中にマウガが受けられる恩恵が大幅に増加し、さらに突破が難化した。
一方で、効果時間は2秒短縮されており、味方に与える恩恵は「吸収量:60%→50%」「ダメージ軽減:30%→20%」と僅かに減少している。これにより、発動中はマウガ以外の敵を狙ったり、交戦自体を行わないという選択が取りやすくなるだろう。
オリーサ(強化)
- “フォーティファイ”
- 持続時間が3.5秒から4秒に延長
シーズン10の序~中盤に猛威を振るったオリーサは、ミッドシーズンアップデートを前に“フォーティファイ”と“ジャベリン・スピン”という2つの防御アビリティが弱体化された。結果、以降の戦績は大きく低下し、今回のパッチノートでも「必要以上の弱体化」と評されている。
前回のアップデートでは“ジャベリン・スピン”のクールタイムが過去の弱体化から緩和されたが、今回は“フォーティファイ”の弱体化が緩和。“ジャベリンスピン”と同じく、シーズン10序盤程の数値(4.5秒)ではないが、アーマーの強化と合わせてどこまで復権できるか要注目。
ラマットラ(強化)
- “ネメシス・フォーム”
- ボーナスとして得られるアーマーが225から300に増加
- “パメル”
- ダメージが60から65に増加
変形時に獲得するボーナスアーマーが大幅に増加。アーマーの強化と相まって、数値以上の体力増加に期待できるだろう。同じく変形中に使用可能な“パメル”は体力の一律増加以降、キルに必要なヒット数が増加してしまい決定力を欠いていた点が改善。一般的な体力帯である250族のキルに必要なヒット数が「5発から4発」に減少する。
“パメル”×3+近接攻撃で200族をキルできていた一律体力増加以前と比べてしまうと、もう一声欲しかったところだが、自身も体力増加や“ヴォイド・アクセラレーター”の判定強化などの恩恵を受けているため贅沢は言えないか。
ラインハルト(強化)
- “バリア・フィールド”
- 最大ライフが1400から1600に増加
- バリアの再生レートが毎秒140から160に増加
- “チャージ”
- 壁に叩きつけた際のダメージが275から300に増加
OW2リリースからこれまでの調整について、パッチノートでは以下のように記載されている。
「これまでは、本作のハイテンポなゲームプレイとの整合性をとるべく、ラインハルトの攻撃力を増やしてシールドのライフを大幅に減らす方針をとっていましたが、この方針が行きすぎていたことも否めません」
今回の調整では“バリア・フィールド”の取り回しを改善する強化調整が複数採用され、ラインハルトの核となるコンセプトの1つ「シールドで味方を守る」という要素が再注目されている。戦場でパワフルにハンマーを振り回すラインハルトも魅力的だが、この要素が好きでラインハルトを使用するプレイヤーも多く、そういったプレイヤーには久しぶりの朗報。
ただし、シールドの利便性やヒーローの個性を維持するため環境の変化を注視すると同時に、今後もバリアアビリティが必須となるバランス調整は避けていきたいと記載されている。
“チャージ”の強化は、予告されていた通りのもの。メイやリーパーなどの300族に対し確1キル、タンク対面でも決定打になり得る一撃を叩き込むことが再度可能に。多大なリスクを背負うスキルだけに、この程度の恩恵はあっても良いだろう。
ロードホッグ(強化)
- “ピッグペン”
- 起動後の1秒あたりの範囲ダメージが30から45に増加
- リカバリー時間が0.55秒から0.4秒に短縮
- 発動後少し間を置いてクールダウンが始まる仕様を変更。今後は使用直後からクールダウンが開始。
リワークで追加されたアビリティ“ピッグペン”は、これまで“チェイン・フック”連係のコンボパーツとしてのみ存在感を放つアビリティであったため、単体での脅威度を上げる調整が行われた。
取り回し改善の調整が多く、(連携時に重要なのは起動ダメージであるため)“チェイン・フック”連係の強化には、大きく影響しない良調整。戦闘中に投げやすくなったことで、攻撃対象を一時的にずらしたり、敵の分断を狙った運用を行いやすくなるだろう。
シグマ(強化)
- “アクリーション”
- 直撃ダメージが40から80に増加(合計ダメージは120)
“キネティック・グラスプ”と“エクスペリメンタル・バリア”で形成されるサイクルにより、受けの幅が非常に広く「大勝しないが、大敗もしない安牌ヒーロー」として長らく安定した勝率とピック率を維持しているシグマ。
今回の調整は他に比べると控えめで、一律体力増加関連に合わせた“アクリーション”の強化に留まっている。
とはいえ、この強化で「“アクリーション”→“ハイパー・スフィア”(2ヒット)→近接攻撃」でアーマーを持たない250族をキル可能(合計270ダメージ)になり、175族であれば“アクリーション”と“ハイパー・スフィア”1ヒットでキル可能に。
開発コメントでは「アビリティの脅威度がある程度復活したほか、命中時の達成感も上がっています」と記載されているが、閉所の多いマップではある程度では済まないレベルの安定感と突破力を手に入れることになるだろう。
ウィンストン(強化)
- “テスラ・キャノン”
- サブ攻撃のチャージ時間が1秒から0.85秒に短縮
- “プライマル・レイジ”
- 最大ライフ増加量が500から700に増加
“テスラ・キャノン”のサブ射撃強化は、これを軸にウィンストンを運用する程ではないものの、あって損のない強化。特にダメ押しのシーンでは、この0.15秒の短縮が活きる場面も多々あるだろう。
“プライマル・レイジ”は、爆発的な耐久力の獲得と引き換えにヒット判定が大きくなってしまうため、一部のシチュエーションでは極端に信頼度が低下するアルティメット・アビリティであった。今回の耐久値増加は、そういった場面であっても最低限活躍させたいという狙いが感じられる。
レッキング・ボール(強化)
- “クアッド・キャノン”
- 変形中の自動リロード時間が2秒から1.6秒に短縮
- “アダプティブ・シールド”
- 味方に分け与える追加ライフが50%増加
- 今後は味方1人につき、自分の追加ライフ50と引き換えに追加ライフ75を付与できます
“ロール”モード中の自動リロード時間が、手動でのリロードと同じ1.6秒に。モード変更を行うと(自動・手動共に)リロードがキャンセルされてしまうという煩わしさが緩和される。
“アダプティブ・シールド”は、味方に与える追加ライフが増える純粋強化。自身が消費する追加ライフは、据え置きなので今まで通りの運用方法で問題ない。
ザリア(強化)
- “パーティクル・バリア”
- ライフが200から225に増加
- 持続時間が2秒から2.5秒に延長
- ”バリア・ショット”
- ライフが200から225に増加
- 持続時間が2秒から2.5秒に延長
記載内容はバリアの効果時間と耐久値増加のみだが、これらはパッシブ・アビリティの“エネルギー吸収”に繋がるため、実質的な攻撃面強化にもなっている。具体的にはバリア1枚で獲得できる最大エネルギー量が、40から45に増加する。
効果時間の延長は「無視」、耐久値の増加は「破壊」、という相反するそれぞれの選択に対し抑止力として機能する。上手く連携が取れない相手に対しては「エネルギーを与え、かつ本体にダメージを与えられない」という最悪の選択をさせることができるだろう。
コメント
コメント一覧 (3件)
いや、違う。ファラの弱体化はそうじゃない。それでファラブームが収まると思ってるのか。
せめて体力をトレーサー並みでもしないとゲームレベルが崩壊するぞ
やり過ぎじゃないか?
これサポつまんなくなりそう
コンカッシブのダメージ消されたか
遠距離広範囲の近接みたいなもんだったし流石に強すぎだったな