Ubisoftの『Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)』では、日本時間2月21日に今年の競技シーンに関する全情報が一挙に公開されました。EAA!!ではシージeスポーツを統括するスタッフの方々にインタビューを行い、今回の発表の気になる点について、さまざまな話を聞かせていただきました。
シージeスポーツ「イヤー7インタビュー」
世界大会「シックスインビテーショナル2022」の配信の中で、シージ競技シーンに関する2022年シーズンの全体図や、ゲーム内でのカスタムゲームの新機能など、多くの新情報が発表されました。
- ゲーム内のeスポーツ関連機能アップデート
- 「観戦枠」の拡張
- フリーカメラ機能の導入
- リプレイモードの性能向上
- 2022年のeスポーツ競技シーン
- メジャーとインビテーショナルの開催地について
- シージワールドカップについて
- R6 SHEREについて
- プロチームの「ティア分け」ルール変更
EAA!!ではこれらの発表に合わせて、Ubisoftでシージeスポーツ部門を統括するスタッフのお二人にインタビューをさせていただきました。
(※このインタビューは、アラブ首長国連邦でのシックスメジャー開催が中止になる前に行われたものです)
シージeスポーツスタッフ紹介
- インタビューに応じていただいたスタッフの方々:
- Wei Yue:『レインボーシックス シージ』eスポーツディレクター
- Nelson Garcia:アソシエイトディレクター、グローバルライブイベント&ブロードキャスト担当
EAA!!:今回はよろしくお願い致します。まずお二人の自己紹介をお願いします。
Yue:『レインボーシックス シージ(以下、シージ)』でeスポーツ・ディレクターを担当しているWei Yueです。3年前にモントリオールにあるUbisoftの開発スタジオに加わり、シージにおける競技サーキットの複数年単位でのビジョンと、グローバル戦略の策定をしています。
現在の職務は、シージのゲームプロダクションや、グローバルリーグの運営、そしてシージeスポーツの収益分配戦略を担当することで、つまり開発チームと直接仕事をしながら、「R6 SHARE」プログラムや、グローバルでの競技戦略についてその一貫性と整合性を監督しています。
Garcia:Ubisoftでeスポーツのアソシエイト・ディレクターと、グローバルライブイベント&ブロードキャストを担当しているNelson Garciaです。ライブと配信イベントに心から情熱を持っていまして、日本のアーケードゲームや格闘ゲームを愛好するフランスのファンのために eスポーツイベントを開催することからキャリアをスタートしました。
4年前にUbisoftに入社してからは、シックスインビテーショナル2021や、パリメジャー、スウェーデンメジャー、そして今後の多くのイベントも含めて、シージにおける最大、かつ国際的なeスポーツイベントを開催する機会に恵まれています。また、パリやサンパウロ、ラスベガス、そしてメキシコにあるUbisoftの4つのeスポーツ配信スタジオを、チームと共に運営するのも私の役割です。
イヤー7競技シーンに向けたゲームアップデート
EAA!!:最初の質問はイヤー7のゲーム内機能のアップデートについてです。観戦枠が増えるのは、カスタムゲームをよく使う者としてはとても嬉しいアップデート内容です。他には、技術的にすぐには実現できなさそうなものも含めて、将来的にどのような点をさらに強化させたいですか。
Yue:イヤー7では、ご指摘のように観戦枠の追加や、オペレーターからカメラを離してマップのどこにでも設置できるようにするなど、eスポーツを観戦する人たちの体験を向上させる新しいゲーム機能を導入する予定です。
概して私たちは常にコミュニティからのフィードバックに注目しており、シージのプレイヤーや、視聴者の体験を向上させる新たな方法を継続的に議論しています。今のところは、観戦枠の増加や、オペレーターから離れるカメラ機能、リプレイモードの改善など、専らイヤー7アップデートを提供することに力を入れています。
EAA!!:ゲーム内では昨今、オペレーターカードや3Dスキン、アニメーション付き武器スキンなど新しい種類のアイテムが追加されています。これらはプロチームのアイテムとしても登場する予定はありますか?
Yue:新しい2ティア制のおかげもあって、 「R6 SHARE」プログラムでは、このプログラムに参加しているプロチームのブランドアイテムをさらに幅広い選択肢で提供できるようになりました。これらのアイテムの詳細は、3月にその最初のものがリリースされたときに明らかになりますので、どうぞご期待ください。
EAA!!:リプレイモードは学習に素晴らしい機能ですが、一方では勉強熱心ではないプレイヤーの方が多数派だと思います。リプレイをより活用してもらうためのインセンティブ(ゲーム内報酬など)の導入は検討していますか?
Yue:これまでマッチリプレイ機能について学んできた重要な点の1つは、リプレイファイルの保存期間を延長する必要があるということです。マッチリプレイはこのゲームを学ぶのには素晴らしいツールですが、今のところそのファイルは、次のゲームパッチや小さな修正パッチがリリースされるまでの数週間しかアクセスできないため、プレイヤーが使える時間も限られています。この点を解決するために、ゲームの1シーズン全体を通して、このコンテンツにアクセスできるように取り組んでいます。
また、プレイヤーはリプレイを使ってチーターの発見や報告を行っていることにも気づきました。チーターを発見するために、リプレイを見ながら不審なプレイヤーを直接選択して報告できる機能を追加する予定です。私たちの目標は、プレイヤーのニーズに応えたスムーズな体験を提供し、コミュニティのニーズに沿ってリプレイ機能を進化させるべく、この機能を全体的に改善していくことです。
EAA!!:ゲームとしてのシージは好きでも、eスポーツ競技シーンには興味が無いというプレイヤーもいます。こうした方々に対しては、今後どのように橋渡しをしていきますか?
Yue:eスポーツの公式戦では、シージでも最高レベルのプレイやスキルが披露されます。オフラインイベントや各地域のオンラインリーグの期間内には、eスポーツの試合が始まるたびにゲーム内に通知が出るだけでなく、プロチームや選手のベストシーン、その戦略をファンが分析できるようなコンテンツをどんどん作っています。また、特定のストリーマーやコンテンツクリエイターが、ファンのためにオンラインでシックスインビテーショナル2022のウォッチパーティーを開催する機会を設け、各コミュニティがeスポーツに出会い、夢中になるための新しい方法も作っています。
これに加えて、Twitch Dropsの戦略をアップデートし、アイテムの重複が生じないようにしました。重複の代わりに、視聴者にはシーズンごとのバトルパスの進行に役立つバトルポイントが与えられます。これは、私たちが開発してきた堅実なeスポーツプログラムを、新規のプレイヤーに知ってもらうのに魅力的な方法だと考えています。
開発スタッフとeスポーツスタッフの連携
EAA!!:新オペレーターの登場やオペレーターのバランスアップデートは、同時に競技シーンにも影響を与えます。この手のアップデートでは、シージの開発チームとeスポーツ担当部署との間で調整し合うことはあるのでしょうか。
Yue:ゲームとeスポーツシーンは両方とも互いに影響し合っているので、eスポーツ部門はゲームの開発において、制作チームと密接に連携しています。ゲームのメタを変えるとすぐに、プロ選手やチームのプレイング、各マップへの取り組み方に影響が出るので、連携は不可欠なんです。
このゲームの進化の仕方はとてもエキサイティングで、逆にシージのeスポーツ側が、このゲームの発展をある方向にプッシュしていくこともあります。プロチームはユニークな組み合わせでオペレーターを使って戦略を立てるので、それが制作チームに新オペレーターのインスピレーションを与えることもあるんですよ!
それだけではありません。eスポーツ競技シーンは、バランス調整やテストをするうえで制作チームが注視しているチャンネルの一つです。プロ選手たちは決断が早くて技術に優れており、対戦相手のピックに潜んでいる弱点を素早く見抜きます。これは素晴らしいことで、コミュニティ全体にとっても、ゲームのバランスを取るのに非常に役に立つんです。
EAA!!:Twitchのチャンネルポイントを使った勝敗予想が好きなのですが、シージの名声ポイントを使ってゲーム内で投票予想ができるような機能は追加されませんか?
Yue:名声ポイントは、プレイヤーがゲーム内で新しいオペレーターやオペレーターバンドルを購入するために使うものなので、Twitchのチャンネルポイントと同じようには使えません。もしゲーム内に試合予想機能を実装するにしても、その技術仕様や詳細を調べる必要があるでしょう。とはいえまだそこには至っていません。
EAA!!:EAA!!でもシージのカジュアル層向けシージイベントを開催しています。初心者でもより参加しやすくするために、ゲーム内にトーナメント機能やクラン機能などを実装する予定はありますか?
Yue:6年前に始まったときから、『レインボーシックス シージ』のeスポーツ競技シーンはUbisoftのDNAに従って発展してきました。つまり、地域のコミュニティや草の根活動に密着してきたのです。シージeスポーツのエコシステムの中でローカルトーナメントが誕生するのは喜ばしいことですし、ゲームの新機能を通じて、そうしたオーガナイザーを支援する方法を常に考えています。
例えば、今年は観戦枠を追加導入し、サードパーティ主催のものも含め、オンライン配信の体験をオフラインイベントと同じ品質で提供できるよう支援する予定です。現在は、発表したばかりのイヤー7の新機能の提供に集中しており、現段階ではゲーム内でトーナメント表を作成する機能の追加は予定していませんが、サードパーティのイベント主催者からのフィードバックは歓迎し、可能な限り将来的には新たな機能を追加していきたいと考えています。
コメント
コメント一覧 (1件)
ポートレートとか背景とかも今後チームのデザインで出てくるのかなあ ちょっと気になるな