MicrosoftによるActivision買収、日本の公正取引委員会は容認「競争を制限するとはいえない」

Microsoftは『コール オブ デューティ』シリーズを手がけるActivisionの買収をめぐって、米国などの規制当局から調査を受けているところです。

先日は英国のCMAから「合併はコンソールゲームサービスにおける競争の著しい後退には至らない」と暫定的な判断を得られたことがMicrosoftにとっての追い風となりましたが、続いて3月28日には、日本の公正取引委員会でも「競争を実質的に制限することとなるとはいえない」という報道発表がなされ、日本市場では買収が容認されることとなりました。

Microsoft、Activision買収について日本からの容認得る

2022年1月に発表された、MicrosoftによるActivision Blizzardおよびその傘下スタジオの買収ですが、争点となっていたのは世界的ゲームシリーズ『コール オブ デューティ』がMicrosoftのXbox事業に組み込まれることが、ゲーム業界の競争を阻害する可能性です。

現時点でも先進国の規制当局を中心に合併の可否について調査が続いているところですが、Microsoftにとって良いニュースとして、暫定的なものながら、イギリスの規制当局からは前向きなコメントを得ることができています。

これに続いて3月28日には、日本の公正取引委員会が本件について報道発表を行いました。

公正取引委員会は、本件行為が一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるとはいえないと判断した。

これは、争点となっている市場の競争制限への懸念を払拭するものとなります。民間企業で買収に反対しているのは長らくActivisionとパートナー関係にあったソニーですが、日本の規制当局から、今回このように肯定的な結論が得られたことは、Microsoftにとって大きな進展と言えるでしょう。

日本ではActivisionの存在感がイマイチ

一方で公正取引委員会が公開したpdfファイルには、今回の結論に関する詳細が記載されています。この文書の中では、日本全国におけるMicrosoftおよびActivisionのゲームタイトルの、令和3年時点のシェアを見ることができます。

表にある通り、PC、コンソール、モバイルそれぞれのプラットフォームにおいて、MicrosoftのゲームとActivisionのゲームは、日本での市場シェア率はわずか0～5％。モバイルに至っては順位不明なほどシェアが無いことが明かされています。

関連してpdfの31ページには「アクティビジョングループの世界的に人気の高いゲームソフトであるコール オブ デューティシリーズについても、国内ではより人気の高いゲームソフトが多数存在する状況にある」とあります。

日本の『CoD』ファンにとっては遺憾な話ですが、このように日本のゲーム市場では両社の存在が大きくはない、少なくとも日本側からは買収に何の問題もないことは明らかです。

日本の公正取引委員会の結論が、欧米側にどこまで影響を与えるかは不透明ながら、どんな形におさまるにせよ、すべてのゲーマーにとっての利益となる結末に至ることを引き続き期待したいところです。

MicrosoftによるActivision買収の流れ

• 2022年
  • 1月：MicrosoftがActivision Blizzard買収を発表
  • 1月：CoDシリーズの行方をめぐってコミュニティで物議
  • 7月：英競争・市場庁による調査が開始
  • 9月：SIEのジム・ライアンCEOがMicrosoft批判
  • 11月：CoDシリーズをPSへ今後10年間提供し続ける契約提案
  • 12月：米連邦取引委員会が買収阻止に乗り出す
  • 12月：CoDシリーズ任天堂でもリリースへ、10年の契約締結
• 2023年
  • 1月：GoogleとNVIDIAが買収に懸念
  • 2月：MicrosoftがNVIDIAとの新たな契約
  • 3月：ソニーに対し、10年間のCoDライセンス契約を提案
  • 3月：MicrosoftがBoosteroidと10年間の契約
  • 3月：英国CMAが暫定判断、「競争を著しく後退させない」
  • 3月：日本の公正取引委員会が買収を容認（現在）
  • 3月末：欧州委員会による結論（予定）
  • 4月末：英国CMAによる最終判断（予定）
  • 8月：米国FTCによるヒアリング（予定）

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Source: Fair Trade Commission