Ubisoftは『Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)』に導入している2種類のアンチチート、「マウストラップ」と「QB」について、その現状や今後の開発に関するレポートを公開しました。
マウストラップはコンシューマー版におけるいわゆる「マウサー」の激減に貢献し、アンチチートQBも1万人のチーターBANに役立っているとのことで、良好な成果が見られます。一方、チート以外の迷惑行為に対応した「プレイヤー評価機能」についても、最新状況と今後の新機能が解説されています。
マウストラップの成果を発表!
コンシューマー版シージに導入されているアンチチート「マウストラップ」とは、コンバーターを介するなどしてマウスやキーボードで対戦するプレイヤーを制限するシステムで、イヤー8シーズン1のミッドシーズンに実装されました。
「マウストラップ」には、不正なハードウェアを検出してその操作にラグをかけ、まともに対戦ができない状態にする機能があると説明されています。
一方で、実装後の効果についてはこれまで不透明でした。Redditのシージサブレではコンバーター業者が実質的な敗北宣言をしたことなどが話題になったり、一方では「マウストラップが回避されている」というプレイヤー経由の噂を報告している方もおり(CoreRoss氏の動画より)、Ubisoft公式からの発表が待たれる状態でした。
マウサー78%減少!
しかし日本時間7月16日、マウストラップ実装から3ヵ月時点での、コンバーター対策に関する進捗がシージ公式サイトにて報告されました。
後述のアンチチート「QB」と共に、マウストラップは既にゲームの健全性に大きくポジティブな影響を与えているようです。実装前は「30%から50%くらいマウサーが減少する」と予測していたものの、実際にはこの3ヵ月の比較で、キーボードとマウスの使用者数が78%も減少。ランクマに限定しても、同様に73%も減少したとのことで、多大な成果が見てとれます。
一方でマウストラップは、不正なプレイヤーを即座にBANするのではなく、改心を認めています。たとえばマウサーとして検出された後も、コントローラーに再接続することで徐々にラグが緩和されていく、という仕組みです。コントローラーとマウスでは操作感が異なるとはいえ、それでも向上意欲のあるプレイヤーに応えるものとなっています。
プレイヤーの行動に良い変化
Ubisoftによると、マウストラップによって検出された不正なプレイヤーの多くは、コントローラー操作に戻したりPC版シージに移ったりするなど、普通のプレイに戻っていくという行動の変化が起きました。
実際のところ、マウストラップによるペナルティを受けたプレイヤーのうち43%は、さらなるペナルティを受けるような行為はしない形でゲームプレイを続けているとのこと。
「コンソール版でのランクマッチを避けていた方や、久しぶりにシージに戻ろうかと考えている方には、今が最高のタイミングです」と、開発スタッフはマウストラップへの自信を語っています。マウストラップはこれで完成版ではなく、開発とアップデートは続きます。
アンチチート「QB」とは?
シージには、2022年11月8日から稼働しているアンチチート「QB」があります。セキュリティ的な都合からか、その詳細情報は共有できないとあらかじめ説明されているため、存在自体を知らないというプレイヤーも少なくないでしょう。
「QB」について分かっているのは、「チーターの発生を低減させつつ、シージ用チートの開発にかかるコストを上げるというコンセプトを有する、競技用FPS業界では初となるソリューション」であることのみですが、実際にQBは、これまで10,000以上のチーターのBANに貢献。さらに、いくつかのチート業者も、QB導入後にシージ用ツールの開発を中止したことも今回発表されました。
とはいえ開発スタッフは、「これはまだ序の口にすぎない」としています。どんなゲームでもチーター対策は「いたちごっこ」、つまり開発側がアンチチートをアップデートすれば、チート業者も対応してツールをアップデートし…といったことが延々と続くため、マウストラップと同様に、QBについても引き続き不正の監視とシステムの改善に取り組んでいくとしています。
プレイヤー評価機能とペナルティ
シージには、アンチチートと並ぶプレイヤー保護機能の1つとして「プレイヤー評価機能」が導入されています。
これは、チャットでの暴言や嫌がらせ行為など、チートツール以外の迷惑行為に警告を発するための機能です。警告されてもなお迷惑行為を続けたプレイヤーには、「ボイスチャットやテキストチャットが、次の30試合はデフォルトでミュートになる」というペナルティが課されます。
このプレイヤー評価機能も迷惑行為の削減には一定の成果が出ているそうで、ボイスチャットやテキストチャットを悪用して一度目の警告を受けたプレイヤーのうち、半分はそうした迷惑行為を思いとどまるようになりました。
別のシージ公式ブログでは、このプレイヤー評価機能のアップデート状況について補足されています。イヤー8シーズン1ではいくつか調整を行い、迷惑行為をする頻度やその深刻さが、相応にプレイヤー評価に反映されるようになりました。そしてイヤー8シーズン2では、ペナルティ対象となったプレイヤーがより理解しやすくなるように、画面表示のアップデートがなされたそうです。
イヤー8での新機能と「イヤー9」の予定
このプレイヤー評価システムは、イヤー9に向けて、さらなる進化を目指しています。なお「イヤー9」という言葉はシージ公式では今回初めて使われたため、それ自体も興味深いところです。
このイヤー9でのアップデート予定は明かされませんでしたが、現在進行中のイヤー8(シーズン3とシーズン4)で実装を予定している新機能について、改めてリストが公開されました。
- プレイヤー表彰システム(新機能)
- イヤー8シーズン3で実装予定
- 詳細は不明ながら、対戦終了時にプレイヤーがそれぞれの体験に基づいて互いを認め合えるようにすることで、コミュニティのポジティブな側面を補強し、励行する機能
- プレイヤー評価システムのアップデート
- イヤー8シーズン3およびシーズン4で実装予定
- 自分のゲーム内での評価をより良く理解できるようにするための新機能を実装。現在は画面上で自分の評価を確認したり、ペナルティを受けている場合はそれが表示されるだけのシステムだが、「システムにインタラクトするさらなる機会を持ち込んでいく」とのこと。
- コンシューマー版プライバシーモード(新機能)
- イヤー8期間内に実装予定
- ストリーマーやプレイヤーのプライバシーを保護する、コンシューマー版シージ向けの新機能(PC版では導入済み)
- ランクマッチの参加条件アップデート
- イヤー8とイヤー9にかけて実装予定
- 電話番号認証に続く、プレイヤー保護のさらなる基盤となる機能および施策。これは「スマーフへの対処」を目的としており、過去のシージプレイヤーへの復帰を促し、全プレイヤーにとってのランクマッチでの体験を向上させるものであるとのこと。詳細は不明ながら、年内に発表予定
イヤー8を迎えたシージの、さらなるプレイヤー保護機能の充実に期待したいところです。
一方、こうした保護機能の話は、ポリシーを守って普通にゲームをプレイしているだけの方々には無関係であるため、かえって話が複雑になり迷惑に感じるかもしれません。しかしコミュニティ全体の成長を目指すうえでは、いずれも欠かせない機能です。
今回は触れられませんでしたが、プレイヤー評価機能については、今後のシーズンで「評価が高いと特別な報酬や獲得物へのブーストがもらえる」という仕組みも実装予定です(ゲーム内にも少し説明がある)。ペナルティ関連の話には縁が無いというプレイヤーの方々は、こちらの続報を楽しみに待ちましょう。
- タイトル:Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)
- 発売日:2015年12月10日
- 対象機種:PS5, PS4, Xbox Series X|S, Xbox One, PC(Steam)
Source: R6S Official
コメント
コメント一覧 (6件)
検知されなくなっただけ!ってそれはチーター問題とも一緒だから、UBIが継続的に続けるしかない。
プレイヤーのモラルの無さが引き起こしてる出来事に運営が対応してる時点で相当よくやってると思うがね。
このトラップの一番の問題は誤BAN率の高さよ
いろいろ仮説はでてるけど
PADにとっては縦感度とアナログとトリガーのデッドゾーンから検知してるとは
言われてる 逆に言うとedgeとかエイムリングどころか
純コンでも場合によっては引っ掛かる仕組みしてるから
一般プレイヤーが自分の環境と引き換えにコンバーターへのペナを望むかって所かな
「検知されなくなっただけ」とはいえ、運営がちゃんと動いてくれてるのはすごくありがたいことやぞ?
実際それ 検知されなくなっただけ
ただシージはマウスの有利性が他ゲーと比較にならないレベルで高いから
そう言う意味では他ゲーぐらいには平均にしたって所じゃないかね
たぶん一番多くなるのはクロノスゼンが突破するためのパッチを当てた後だろう
対策されてマウスとして検知されなくなっただけやぞ
マウストラップ、一時的なのかもしれないけどここまで減らせるのすげえな
評価システムも含めてこれからも頑張ってくれ