Ubisoft(ユービーアイソフト)は『Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)』の次回大型アップデート「オペレーション・デッドリーオーメン」に向け、テストサーバーへの変更内容を記載したデザイナーノートを公開。
イヤー9の公開パネルと合わせると、今年度は開発側の調整方針がかつてなく明確。「チームデスマッチメタ」を止めさせ、攻撃側の補強をしたいという思惑が、最新のデザイナーノートにも反映されている。
『R6S』Y9S1デザイナーノート公開
新オペレーターDeimos(デイモス)が登場するイヤー9シーズン1「オペレーション・デッドリーオーメン」のPC版テストサーバーがスタート。詳細な変更点を記載したデザイナーノートが公開された。
イヤー9の情報公開前、シージ公式Xアカウントからは「ADSについてのアップデートもお楽しみに!」と発表されていた。その中身は「1.5倍」という拡大倍率の削除や、アイアンサイト(サイトなし)の仕様変更など。一見するとシージのゲーム体験をフレッシュにするものだ。
しかし先日のイヤー9パネルや、今回のデザイナーノートの内容を見てみると、「チームデスマッチメタへの対処」が開発側の大きな目標であると分かる。Y9S1ではその手段の1つとして、まず「エイム速度の弱体化」と「ピークの弱体化」が図られた。
イヤー9は「チームデスマッチメタ」解消へ
「シックスインビテーショナル2024」のグランドファイナル前に行なわれたイヤー9パネル。ここで開発者の1人でゲームディレクターであるJoshua Mills氏が、イヤー9全体の方針を探るうえで非常に重要な発言をした。
「この点は明確にする必要があります。チームデスマッチメタは、私たちの意図したシージのプレイ方法ではありません。ラン&ガンを変え、この(インビテーショナルの)ステージのように、タクティカルかつストラテジー性のある、順序立てられたゲームプレイをランクマッチの全プレイヤーの中心に据えたいのです」
「バランス調整におけるもう1つの大きな焦点は、攻撃側の補強です。攻撃側と防衛側の間にある差を、もっと近づけるようにします。ステラテジー、チームワーク、頭脳プレイによってラウンド勝利を得るべきであり、自分1人だけの戦いで勝つものではありません」
並行して、Azami(アザミ)、Fenrir(フェンリル)、Solis(ソリス)の弱体化が発表された。しかしこうした弱体化で、間接的に攻撃側を強化するだけではないようだ。
「攻撃側の補強について触れましたが、これは攻撃側に必要な武装、必要なツールを与え、戦いを仕掛けられるようにすることを意味します」
Y9S1ではまず、攻撃側にDeimosが加わる。彼自身の強さは今まさにコミュニティで評価中だが、新オペレーターが合計2人しかいない中、どのような形で攻撃側にさらなるテコ入れをし、メタを変えていくのかは気になる。
エイム速度を下げ、ピークを弱体化
ステラテジー、チームワーク、頭脳プレイで勝つべきというMills氏の発言に呼応するように、Y9S1デザイナーノートでは早速、全武器のエイム速度低下が判明した。ラン&ガンがしにくくなると思われる。
- 立ち状態と歩き状態でのエイム速度を低下:
- ハンドガン:240ms(以前は200)
- リボルバー:240ms(以前は200)
- マシンピストル:380ms(以前は280)
- サブマシンガン:460ms(以前は300)
- アサルトライフル:520ms(以前は400)
- ライトマシンガン:560ms(以前は450)
- マークスマンライフル:520ms(以前は400)
- スナイパーライフル:520ms(以前は400)
- ショットガン:340ms(以前は250)
- スラグショットガン:520ms(以前は400)
- ハンドキャノン:240ms(以前は200)
- ダッシュ後のエイム速度減少(割合は以前と同じ)
- ランチャー系も影響を受ける。エイム速度はサイトの種類に依存
さらにデザイナーノートの開発者コメントには、このような記載もある。
「現在のスピードは、角からのピークを極めて有利なものにしています。危険に飛び込む行為は正しく審判され、リスクを負うべきです。したがって、全武器のエイム速度を低下させました。新しい時間設定の目的は、素早いピークの強さを減少させ、射線のロックや位置変更にいくらかの優位性を取り戻させることです」
ただし、従来のエイム速度に近いものも再現できる。
まず、武器をアイアンサイトにすることでエイム速度に10%のボーナスがかかる。さらにレーザーサイトをつけても10%のボーナスがかかる。たとえばアサルトライフルなら、両方のボーナスを活用してエイム速度を416msにできる(ただしこれでも以前より16ms遅い)。
つまりY9S1からは、従来のガンファイトをしたいプレイヤーは、視認性の悪さや、敵にレーザーの赤点を先に見られてしまうリスクを負うことが要求される。
メイン武器の命中精度を見直し
腰だめ撃ち時とエイム時とでは発砲時の命中率が異なるが、今回そのルールが整理された点も覚えておきたい。
「腰だめ撃ちからエイムに移行する際の命中率の決まり方も、簡易なものにしました。以下の3タイプのみとします」
- エイムが高速の武器:移行の初期段階で命中精度の大部分が得られる(真数型)。エイムのアニメーション中でも、比較的良い精度で銃撃できる
- 中程度:命中精度は一定のペースで上昇していく(直線型)
- エイムが低速の武器:移行の最終段階で命中精度の大部分が得られる(対数型)。腰だめ撃ちからエイムに移行するのに長めの時間がかかるので、移行アニメーション中は、銃撃がターゲットにより命中しにくくなる
真数、対数とあるが、上のグラフでイメージすると分かりやすい(画像は理系ラボより引用)。
腰だめ撃ちからエイムに移行するまでの時間経過(x軸)によって、命中精度(y軸)は最大まで上昇していく。エイム速度の速い武器ほど命中精度の上がり方が早く(青い曲線)、エイムの遅い武器は上がり方が遅い(赤い曲線)。中程度のエイム速度は一直線で精度が上がる(黒い直線)。
なお、各武器のエイムの「高速」、「中」、「低速」はこのように分類されている。
- 高速:ハンドガン、リボルバー、ショットガン
- 中:マークスマン、スナイパー
- 低速:マシンピストル、サブマシンガン、アサルトライフル、ライトマシンガン、スラグショットガン
ほとんどの場合でメイン武器となるアサルトライフルとサブマシンガンは「低速」。つまり急に敵と出会ったとき、反射的にエイムをしながら撃ってもこれらの武器の命中精度は低い。ダッシュしていたら、エイム速度がさらに遅くなるのでなおさら弱い。
「相手はあらかじめエイムしていたが、運良く撃ち勝てた」というケースはこれで減るだろう。ここにも、チームデスマッチ的なゲームプレイを排除したい意図がありそうだ。
レティクルへの変更
一部のサイトのレティクルの大きさが、以下の通り更新された。
- ミドルドットサイズを拡大:
- ホロA
- ホロC
- レッドドットC
- 拡大A
- ミドルドットサイズを縮小:
- ホロB
- 拡大C
その意図については、「他のものよりも少し良い、2~3種のレティクルを発見したので、これらに再度バランスを取った」とのこと。等倍サイトの選択も、プレイヤーごとに多様になりそうだ。
アタッチメントへの変更
各アタッチメントへの変更点はこちらの記事でもまとめている。以下は要点のみ抜粋。
- レーザーサイト:
- 腰だめ撃ちの拡散度へのボーナスを削除
- エイム速度に10%のボーナス
- アングルグリップ:
- エイム速度へのボーナスを削除
- 武器リロード速度に20%のボーナス
- 水平グリップ:
- 「グリップなし」のオプションは、「水平グリップ」となる
- 移動速度に5%のボーナス
- バーティカルグリップ:
- 垂直反動制御ボーナスを、25%から20%に低下
「水平グリップ」とあるが、これは「グリップなし」の名称を変えて、移動速度ボーナスをつけたもの。実際には何もついていないのがゲーム内で確認できる。
オペレーターが出せる最速スピードはこれまでと変わらない。ただし、「スピード3+ハンドガン」のみがこれまでの最速だったが、今後は水平グリップと組み合わせることで、ハンドガン以外の武器でも同じ速度で走れるようになる。
アングルグリップはリワークされ、エイム速度ではなくリロード速度を補うアタッチメントとなった。
バーティカルグリップが弱体化されているが、これは拡張型バレルとサプレッサーが仕様変更されて人気が上がったため。バーティカルと組み合わせて使った際は、これらのバレルの操作難易度がやや上がる。
LMGへの変更
ライトマシンガン全種は、「移動速度が10%低下する」というペナルティ効果を受ける代わりに、反動制御がやや緩和された。具体的には以下。
- LMG-E
- 初弾ガンキックを低減
- 垂直反動を低減
- 継続して発砲している間の、反動の安定性維持が長めに
- 6P41、M249
- 初弾ガンキックを低減
- 垂直反動を低減
- 水平反動を低減
- 継続して発砲している間の、反動の安定性維持が長めに
- M249 SAW
- 初弾ガンキックを低減
- 水平反動を低減
- 継続して発砲している間の、反動の安定性維持が長めに
- G8A1
- 垂直反動を低減
- 継続して発砲している間の、反動の安定性維持が長めに
LMG-Eは「シージで最も制御が難しい反動をする武器の1つ」とのことだが、スピード低下と引き換えに難度がやや緩和された。しかし、LMGの中では反動制御が最も難しいという点は維持されている。
Finka(フィンカ)も持てる6P41は、弱体化によってパフォーマンスが平均以下になっていたという。こちらでもスピード低下と引き換えに、反動を緩和。
攻撃勝率アップとガンファイトメタ改善は両立するか
今が「防衛側に有利な対戦環境」であることは、先日完結した「シックスインビテーショナル2024」でも改めて確認された。SiegeGGが、各マップの攻防勝率データを掲載している。あくまでプロ競技シーンの出来事だが、ランクマッチ勢の参考にもなるだろう。
チームデスマッチメタの改善と、攻撃側の補強が方針として明言された点で、イヤー9の公開パネルは非常に興味深いものだった。しかし、果たして実現可能なのだろうか。それ以前に、プレイヤーが本当にそれを求めているかも気になる。
開発側は、プレイヤーからのフィードバックにもとづいて調整方針を決めていると説明。その一方、テストサーバーを早速試したプレイヤーたちからは、エイム速度について国内外を問わずさまざまな懸念や不満も目にする。
とはいえ、議論はまだ始まったばかりだ。今回の変更内容や開発者の方針について思うところがあれば、ぜひコメント欄に寄せて欲しい。最終的には、大半のプレイヤーが納得できる調整が得られることに期待しよう。
- タイトル:Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)
- 発売日:2015年12月10日
- 対象機種:PS5, PS4, Xbox Series X|S, Xbox One, PC(Steam)
Source: R6S Official
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コメント
コメント一覧 (13件)
ちょいちょい通報されてるけどすぐにゲージ回復してるし大丈夫そう
多分だけど、全部人力で対応するのは無理だから、通報回数とかに基づく機械的な調査で絞り込んでから人力対応するんでないかな
LOLだかOWで似たようなシステムを実験したら、誤判定が起きたのはストリーマーとプロ選手だけだったとか聞いた
結局、先に角待ちできる分防衛側有利になりそう
恐縮ですが、エイム速度の説明に使用しているグラフに関してx軸を時間、y軸を射撃精度としたとき、青と赤のグラフの意味が記事の説明と逆ではないかと思いました。
青いグラフは「最初(x=0付近)のyの値の増加は緩やかだが、次第に急激に上昇するようになる」指数関数のグラフなので「エイムアニメーション開始直後は精度があまり良くならず、後半良くなる」、エイム速度が遅い武器を表し、
赤いグラフは「最初(x=0付近)のyの値の増加幅は急激だが、次第に緩やかに上昇するようになる」対数関数のグラフのため、「エイムアニメーション開始から精度が急激に良くなり後半は少しづつ精度の最大値に近づいていく」エイム速度の早い武器を表していると考えました。
また、エイムが高速の武器の説明に"真数型"という言葉がありますが、真数とは、色々省略しますと、「対数関数y=logax(略)においてxがyの真数である」と使う言葉です。
まとめますと「真数の使い方が間違っていると思われますので、エイムが高速の武器を対数型、遅い武器を指数型としてはどうか」と提案いたします。
一度ご確認いただけたら幸いです。長文失礼いたしました。これからの記事の更新も楽しみにしております。