Bungieの新作脱出シューター『Marathon』は日本時間9月24日正式リリース。対応プラットフォームはPC(Steam)、PlayStation 5、Xbox Series X|S向け。クロスセーブとクロスプレイに完全対応している。
現地時間4月23日からはいよいよ北米限定のアルファテストが始まるが、その直前、Bungieから秘密保持契約(NDA)の破棄が発表された。これで配信プレイさえ可能になった。アルファの時点からゲームの情報が広く共有されるのはやや意外だが、そこにはどんな事情があるのだろうか。
『Marathon』アルファテストはNDAもなし
4月13日にゲームプレイ映像が初公開された『Marathon』では、いよいよ現地時間4月23日よりクローズド・アルファテストが開催される。公式Discordを拠点に、先週から参加者を募集していた。一方で、珍しい出来事も起きている。参加者の秘密保持契約(NDA)がなくなったのだ。
もともとアルファの参加者には、NDAへのサインが義務づけられていた。NDAは大抵のテストプレイで交わされる契約で、テストで体験したことへの感想や、ゲーム内の情報を外部に共有することを禁止するためのものだ。
NDAには、新作ゲームとしての『Marathon』を楽しみにしているプレイヤーをネタバレから守るだけでなく、まだ最終決定していない部分を仕様であるかのように言いふらされることを避ける目的もある。
しかし4月19日、開発側はこのNDAの破棄を発表した。つまりアルファの感想や、改善の提案、スクリーンショットなどを自由にXやRedditなどに掲載可能で、配信さえもできる。

『Marathon』アルファのコンテンツ
このアルファ版テストの目的は2点に大別される。1つは技術面での可用範囲をテストすること。もう1つは場面ごとのゲームプレイ・ループをテストすること。プレイヤーは以下のものを体験できる。
- アルファに含まれるもの
- 武器とガンプレイ
- マップとサバイバル・ゲームプレイ
- ランナー(キットとビルド編成)
- 序盤のゲーム進行(勢力、契約、勢力のアップグレード)
- 他のランナーとのPvP戦闘
- AI戦闘要員とのPvE戦闘
- アルファに含まれないもの
- 最終決定版のビジュアルとグラフィック(アニメーションとライティング含む)
- 最終決定版のユーザーインターフェースおよびその洗練
- ランナー全種
- ゾーン全種(Marathon Ship含む)
- 最上位コンテンツとエンドゲームコンテンツ
- 全種類の武器、アイテム、消耗品、インプラト、コア、MOD
- すべての勢力とそのアップグレード
- 長期的な進行状況と進行システム
- 最後までのナラティブとストーリーシステム、およびその最終決定版
- ランクプレイ
- バランスの最終決定版
日本からはテスト参加できる?
なおこのアルファ版だが、公式FAQによると「北米在住の18歳以上のプレイヤー」に限ったものであり、日本からの参加は想定されていない。
しかし、やはり北米以外の地域のプレイヤーから多数の要望が送られているようで、開発側もそれに応える予定だ。
Marathon Intelが紹介している公式Discordからの抜粋によると、今後の大規模なテストに向けて世界中でデータセンター・ネットワークを立ち上げている最中とのこと。クローズド・アルファ以降からリリースまでに、さらなるテストが想定されている。Forbesによると、8月にオープンベータが行われるという。
なぜNDAナシ? 前評判に不安?
NDAの破棄について、リプ欄では総じて「すばらしい決断」と賞賛されている。特にクリエイター陣は、自分の配信スケジュールとアルファのプレイ時間を分ける必要がなくなったことを喜んでいる。
とはいえ、公式からNDAを破棄するのはやや意外な展開だ。
NDAがなくなった背景については、不穏な話も聞こえてくる。Forbesが報じた内容よると、アルファのゲームプレイ映像を見た視聴者からの反応が思わしいものではなかったため、Bungieの経営陣はナーバスになっているという。
簡単に言うと「コケるかも」と不安になっていた。そこでNDAを外すことで、話の流れが良い方向に変わることを見込んだのだとか。
Bungieに限らず、自分たちの作っているゲームの評判について開発スタッフが神経質になるのは普通のことだ。どんなに規模が大きく、実績のあるスタジオだろうと、開発者たちは同じ人間だからだ。
よみがえる『Concord』の失敗
『Marathon』については、ゲームとしての可能性以外に基本プレイ無料ではない点も争点になった。Game Postによると40ドル(約5,700円)くらいとのことだが、正式な価格は発表されていない。
「基本プレイ無料ではない」という発表に、多くのゲーマーは『Concord(コンコード)』のことを思い出したようだ。『Concord』は2024年8月にリリースされたSony Interactive Entertainment(SIE)のヒーローシューター。プレイヤーがあまりにも少なく、2週間でサービスを終了するという「歴史的失敗」を起こした。
確かに2つの作品には、「SIE系列」の「有料」の「オンライン対戦型ゲーム」で、「シングルプレイヤーモードなし」という共通点を見出すことはできる。つまり「Concord事件の二の舞いなのではないか」とささやかれている空気を変えるため、BungieはNDAを外し、自由な議論を可能にしたというわけだ。果たして嘘か真か…。
補足すると、『Concord』はリリース前にオープンベータを開催しており、リリース前の感想はRedditなどに共有されていた。つまり「実際に買うまでどんなゲームかまったく分からなかった」という状況ではない点はおさえておきたい。
『Concord』がプレイされなかった原因については諸説あるものの、基本無料ではなかった点以外にも、キャラクターデザインなど、ゲームプレイの外側の部分に落ち度があった可能性もある。

『Marathon』の尖ったキャラデザは受け入れられる?
Bungieのこれまでの成功と知名度を踏まえると『Concord』との比較はやや安易に感じるが、『Marathon』も万人向けではない尖ったデザインであることは間違いない。『Destiny 2』のハイレベルな王道デザインを捨て、これでもかという強烈なインパクトを世間に与えた。





プレイシーンは随所に『Destiny 2』感があり実家のような安心感はある。一方でプレイヤーの分身となるキャラクターは、ビビットなカラーリングとデザインで、まるでパリコレの一部やアートの域まで達している。これらが「魅力的に感じられるか」が大きな要因ともなりそうだ。
いずれにせよ『Marathon』は、ライバルとなる他のPvPvE脱出シューターとの比較も避けられないはずだ。ゲーム自体の面白さだけでなく、「現行の人気作からプレイヤーをどう奪うか」という点も重要なポイントになる。
『Marathon』は脱出シューターの新たな定番となれるだろうか。日本からはまだ参加できないが、アルファが始まったら海外クリエイターの配信などをチェックして、そのポテンシャルを自分の目で確かめてみよう。
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Source: X, Forbes
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