Embark Studiosが手がけるPvPvEエクストラクション・アドベンチャーTPS『ARC Raiders(アークレイダーズ)』は10月30日リリース予定。プラットフォームはPlayStation 5、Xbox Series X|S、PC(Steam、Epic)。NVIDIA GeForce Nowのクラウドストリーミングにも対応している。
「エクストラクション(脱出)シューター」と聞くと、ハードコアな印象を受けるプレイヤーもいるだろう。しかし『ARC Raiders』には、この手のゲームに初挑戦するカジュアルなプレイヤーも、他のタイトルでならしてきたハードコア層も、どちらも楽しめるさまざまなシステムが導入されている。テスト版のプレイ動画とともに、『ARC Raiders』の魅力をチェックしていこう。
いよいよ発売!『ARC Raiders』の基本システムをチェック
『ARC Raiders』におけるゲームプレイのサイクルは、「準備」→「探索」→「帰還」→「次の準備」という流れだ。特に要素が膨大な「探索」の楽しさや緊迫感については、テストプレイ時の動画の方を参考にしてほしい。
- 準備
- トレーダーからクエストを受注、または自分でやることを決める
- 「カスタムロードアウト」に持ち物を組み込む
- マップを選んで出発



- 探索
- 探索して必要なアイテムを集める
- 他のプレイヤーや、NPCロボット(ARC)と交戦
- デスすると所持品は基本的にすべて失う
- 用事が済んだら脱出ポイントから帰還する(マップに書いてある)


- 帰還後
- リザルトの確認。経験値の計算
- 持ち帰ったアイテムでクラフト
- 獲得したスキルポイントでプレイヤー強化
- 次の探索の準備をする

このように、拠点である地下都市「スペランザ」と、ラストベルトの荒廃した地上世界を行き来して、貴重な物資を集めていくのが「レイダー」たちの主な仕事だ。
脱出系初心者&カジュアル勢も安心の機能

「探索中にデスすると所持品をすべて失う」という脱出系の過酷なルールからは、ストレスを感じる人もいるだろう。運良くレアなアイテムを見つけても、他のプレイヤーや敵ロボットに倒されたら消えてしまう。PlayStation 5などで初めてこのタイプのゲームに触れる方は、特に面食らうかもしれない。
しかし実際にプレイしてみると、『ARC Raiders』では、こうしたハードコアな点にも念入りにバランスがとられていることに気づく。
便利な「無料ロードアウト」
生還に失敗したら所持品を失うということは、たとえば保管庫に予備のアイテムが残っていても、失敗を繰り返していると最後は詰みエンドになるかもしれないと思うだろう。
『ARC Raiders』には、そうした「詰み」を防止するシステムが用意されている。一つは「無料ロードアウト」だ。

探索の出発時に、カスタムロードアウトの代わりにこの無料ロードアウトを選ぶことができる。中身はランダムだが、探索に最低限必要な武器とアイテムだけは何度でももらえるようになっている。
後述する「安全ポケット」のスロットはなく、武器も弱いので、じっくり探索するのには向いていない。とはいえ、資源だけを集めてすぐに帰るなど、リスクをかけるつもりの無い気楽な探索時に活用できる。
また、この「無料ロードアウト」のおかげで、デスする度にいちいち装備を編成し直す手間も省けて便利だ。
リスクを回避する「安全ポケット」

こちらは他社タイトルにも見られる要素だが、『ARC Raiders』にも死亡保険のような「安全ポケット」がある。ロードアウトメニュー右下に表示されているスロットがそれだ。
このスロットに入れたアイテムは、デスしても失われない。幸運にも貴重なアイテムを見つけたら、安全ポケットに入れておけば心理的な負担が大きく緩和されるだろう。
なお、安全ポケットのスロット数は「オーグメント」という装備品の種類による。テスト版では最大で3スロットを確認できている。
優秀でかわいいニワトリ「スクラッピー」

プレイヤーはデフォルトで、ニワトリのペット「スクラッピー」を飼っている。スクラッピーはどこからともなく資源を集めてくれる、優秀なニワトリだ。
たとえ自分は手ぶらで帰っても、スクラッピーからもらえる無料物資で包帯などの基本アイテムは作れるようになっている。
スクラッピーは「トレーニング」機能でレベルアップもできる。レベルアップには指定されたアイテムが必要で、たとえばレベル1→2には「犬の首輪」というアイテムを1つ要求される。これは地上探索中に見つけることができる。これでクエストを達成する他にも、スクラッピーのためにお土産を探しに行くという遊び方もできる。
実は攻略本?「コーデックス」を活用

『ARC Raiders』の特徴として、NPCエネミーのロボット「ARC」が非常に強力である点が挙げられる。雑魚敵に分類される小型ドローン「ワスプ」にすら、複数機に同時に絡まれると生存が危ぶまれる。
PvPvEといえば、「PvP」がメインで、「E(Environment=環境要素)」はオマケというイメージだが、『ARC Raiders』では大違いだ。敵ロボットがプレイヤーたちの戦いに割り込んで、いわゆる「漁夫」を狙ってくることさえある。
ARCの強さは先日のサーバースラムテストでもよく議論になっていたので、もしかしたら今後調整があるかも...というくらいには厄介だということを覚えておきたい。

一方で、メニュー画面には「コーデックス」という、『ARC Raiders』の世界の用語解説をしてくれる機能が搭載されている。
最初はファン向けのオマケ資料かと思ったが、よく読んでみると攻略情報が書いてあることに気づくだろう。
本記事では伏せたが、同じARCと何度も交戦したり、機体にピンを立てたりすることでページの情報が徐々に増加。これまで気づかなかった、その機体の仕様について学ぶことができる。「そういうギミックだったのか」と納得する瞬間もあるだろう。
つまり、ARCの強さ自体は変わらないが、知識をつけることで体感の難易度を下げられるというしくみだ。
もちろん「読書をしに来たわけではない」というゲーマーもいるはずだが、息抜きにちょっとコーデックスを開いてみると、次の探索に向けて良いアイデアをひらめくかもしれない点は覚えておこう。
ソロでも安心、公平なマッチメイキング
ラストベルトの探索は、ソロか、最大3人でチームを組んで行う。フレンドがいないときは、野良プレイヤー同士でのマッチメイキングもできる(2人で組んで、3人目を入れないというのも可能)。
ゲームの性質上、ソロよりチームの方が絶対的に有利なので、ソロ派のプレイヤーは尻込みするかもしれない。
一方で『ARC Raiders』のマッチメイキングシステムは、ソロプレイヤーとチームを組んでいるプレイヤーたちを分けるようにしているとのこと。公式Discordで、スタッフが情報を共有している。

(※話の流れ:『ARC Raiders』のマッチメイキングは、プレイヤーの持ち物(ギア)をスコア化して計算するシステムではないか、という議論が盛り上がった際の公式回答)
「開発チームが過去に、戦利品/ギアをもとにマッチメイキングする方式や、その他の方式を検討していたのは事実です。しかし、現時点ではソロとスクワッドを分けることに重点を置いており、可能な限り公平な条件でプレイできるようにしています」
補足すると、プレイヤーには「エモート機能」があり、周囲に「撃つな」と呼びかけることもできる。うっかり正対した相手に戦闘の意思がないなら、向こうも「撃つな」と返してきたり、銃をしまってくれたりすることもある。
(プレイヤーキル自体が目標として要求されるクエストの有無は不明。サーバースラム時点ではナシ)
脱出ガチ勢&ハードコア向けシステム

以上のように、『ARC Raiders』はカジュアルシューターとしてもある程度はリラックスして楽しめる機能が満載だ。
それだけでなく、時間をかけてやり込み、他のプレイヤーと競い合いたいプレイヤーの要望に応える機能も備わっている。
レイダーをリセットする「遠征」

プレイヤーレベル20でアンロックされる「遠征」とは、これまで育ててきたレイダーを敢えてリセットしてしまう代わりに、報酬を受け取れるシステムだ。
(簡単に言うと、他社のFPSでいう「プレステージ」と「ワイプ」を合体させたようなシステムだ)

『ARC Raiders』には全プレイヤー共有のゲーム内スケジュールがあり、約8週間のサイクルで1回の「遠征」が行われる。
新しい遠征のサイクルが始まったら、プレイヤーは60日以内に必要な素材やアイテムを集めて「キャラバン」を組み立てることができる。このキャラバンの組み立てには、膨大の量のアイテムが求められる。
キャラバンの組み立てが終わったら、次の7日間が「旅立ち期間」に。ここでプレイヤーは、自分の育てたレイダーと永遠にお別れすることができる。

遠征は単なるデータリセットではない。遠征に出したレイダーから引き継がれるもの、引き継がれないものが明確に決まっている。あくまでテスト版時点の情報だが、以下を参考にしてほしい。
- リセットされるもの
- 保管庫アップグレードの進行度
- インベントリのアイテム
- 設計図(※探索で見つかる、武器やアタッチメントの作成用アイテム)
- コイン(※ゲーム内通貨。アイテムの売買に使う)
- プレイヤーレベル
- スキルポイント
- レイダーのアジト
- ワークショップ
- クエスト
- 受け継がれるもの
- アンロック済みのマップ
- アンロックしたワークショップステーション
- コーデックスの項目
- レイダートークン(※有料通貨。ストアアイテムの購入に使う)
- クレド(※探索で手に入る。レイダーデッキ=バトルパスの進行に使う)
- レイダーデッキの進行度
- 現行のランキング
- トライアル
- 装飾アイテム
- 個人イベントの進行度
- 遠征で獲得したボーナス・スキルポイント
- 遠征で獲得した追加の保管庫スロット
このようにレベルやスキル、クエストやアップグレードの進行はリセットされるが、マップやコーデックス情報、自分のプレイヤーランクには影響しない。

さらに、自分のレイダーをリセットすることで、次の遠征サイクルではバフ効果を得られる。XP獲得量の増加、スクラッピーが拾ってくる素材の増加、武器修理回数の増加、保管庫の拡張がこれに含まれる。
また、遠征に出すキャラバンには、保管庫に余っているアイテムを一緒に詰め込むことができる。ここで詰め込んだアイテムが多いほど、新しいレイダーが多くのボーナス・スキルポイントを獲得できる。
サイクルごとにレイダーを遠征に出すことで、バフをさらに増やしていける。また、遠征でしか手に入らないコスメティック報酬も用意されており、やりこみ勢であることを他のプレイヤーに証明できるようになっている。
強制ワイプはナシ
公式サイト(英語)でも解説されているが、『ARC Raiders』では強制ワイプは行わない方針だ。せっかく育ててきたレイダーを遠征に出したくなければ、出さなくてもOK。あくまでプレイヤーに決定権がある。
(※ワイプ=ゲーム側でプレイヤーたちの進行状況をリセットすること。主にプレイヤー間の格差を縮める目的で、全プレイヤーを対象に一斉に行われる。他社の脱出シューターで定番化している)
また、「遠征をしたいが、プレイする時間がなくてキャラバンを組み立てきれない」というプレイヤーも安心。遠征の進行状況は、次回の遠征サイクルにも引き継がれる。
ワイプなしでプレイ可能というアイデアには、リスクもあると感じるかもしれない。たとえばベテランはずっと強力な装備で活動し続けられ、初心者の障害になる可能性がある。
しかし開発側は、結局のところ全プレイヤーが納得できるような万能な解決策はないことを認めている。数ある選択肢の中でも、『ARC Raiders』に費やしてくれるプレイヤーの時間をリスペクトすることに決めたようだ。
トライアルリーグ

「遠征」の他にも、プレイヤー同士でランキングを競うやりこみ要素として、「トライアルリーグ」や「ウィークリー・レイド」というものがある。
先行プレイ時点では、当然ながらまだ始まっていないので盛り上がり具合は不明だったが、正式サービス開始後は、ラストベルトで最も優れたレイダーとして名を馳せるべく上位入りを目指してみよう。
なお、個人の戦績はコーデックスでも確認できる。
『ARC Raiders』10月30日リリース

アリーナシューター『The Finals(ザ・ファイナルズ)』で衝撃のスタジオデビューを果たしたEmbarkの最新作『ARC Raiders』は、いよいよ10月30日リリース。この記事を読んでいるタイミングによっては、既に購入可能になっているだろう。興味を持った方はさっそく、広大なラストベルトの探索に出発してみてはいかがだろうか。
- 『ARC Raiders』ストアページ
FPS POWER TUNE
Source: In-game







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