ロシアがハッキング、開発スタジオが流出した『S.T.A.L.K.E.R. 2』データを拡散しないよう求める

ウクライナのゲームスタジオGSC Game Worldは、サバイバルホラーFPS『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズの最新作となる『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl（以下S.T.A.L.K.E.R. 2）』のリリースを2023年内に予定しています。

しかしGSCは先日、ロシアのSNSコミュニティからハッキング被害を受け、『S.T.A.L.K.E.R. 2』のデータを盗み取られたことを報告。同時に、もし他のSNSに流出したこれらのデータを目にしても、拡散しないよう求めています。

『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズ開発スタジオがハッキング被害

日本時間3月13日、『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズの開発を手がけるGSCのTwitterより、ハッキング被害を報告するメッセージが掲載されました。

GSCで共同作業に使っているアプリ用の従業員アカウントが奪われたことで、何十ギガバイト分かの開発中ゲームデータが盗み取られたそうです。この件について、ロシアのSNSフコンタクテ内のコミュニティが犯行声明を出すとともに、入手したデータを使ってGSCを脅迫をしているところです。

GSCスタジオは過去1年、同様のサイバー攻撃を受け続けているそうで、外部からの脅迫やファンコミュニティを傷つける言動によって、ゲームの開発プロセスや評判が損なわれるよう仕向けられています。

GSCは、今なおロシアによる事実上の侵略状態が続いているウクライナのゲームスタジオとして、自らの国に可能な限りあらゆる支援をしていく旨を発表していますが、ロシアから続くサイバー攻撃はスタジオのこうした政治的スタンスと関連していると見られます。

『S.T.A.L.K.E.R. 2』のリークを拡散しないように

GSCが開発中のシリーズ最新作『S.T.A.L.K.E.R. 2』は、2023年発売予定のPCゲームの中でもとりわけ注目されている作品の1つです。

2010年に発表されてから既に10年以上が経過しており、その間スタジオの財政難や、新型コロナウイルス感染症による世界的混乱、さらにはロシアによる侵攻といった数多の苦難に見舞われ続けています。

GSCは今回のハッキングを受け、『S.T.A.L.K.E.R. 2』の完成版への印象を損なう可能性があるとして、もし製作中のデータが流れてきても、閲覧を控え、リーク情報を拡散しないようプレイヤーに求めています。

否応なく巻き込まれるゲームコミュニティ

ロシアとウクライナの戦争による影響について、欧州圏外のゲームコミュニティのプレイヤーからは「ゲームに政治を持ち込むな」という批判も見られます。

一方で、『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズ開発者の1人ヴォロディミル・イェジョフ氏の死が報じられたり（ウクライナメディア・フロマドスケより）、異世界のソ連が舞台のアクションRPG『Atomic Heart（アトミックハート）』の販売禁止をウクライナ政府が求めているなど、否応なく巻き込まれているのが現状です。

何より今回の脅迫を仕掛けているロシアSNSのコミュニティが、スタジオに「ロシアとベラルーシのプレイヤーへの不相応な態度を謝罪するとともに、ロシア語ローカライズを復活させろ」と要求していることもあり、むしろロシアのゲーマーの方から、国家間の政治に他国のゲーマーを巻き込む形になっています。要求の期限は現地時間3月15日まで。

なおPC GAMERによると、このロシアSNSのコミュニティでは、皮肉にも「違法なコンテンツ」や「政治や政治的ニュアンスを含む話」を禁じるルールになっているそうです。

『S.T.A.L.K.E.R. 2』には日本語インターフェースおよび日本語字幕もあるため、楽しみにしているプレイヤーも多いはず。Twitterのタイムラインの仕組み上、うっかりそれを目にしてしまう恐れは常にあるので、日本のプレイヤーの方々も、拡散される情報にはくれぐれもお気を付けください。

『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』関連リンク

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Source: Twitter, Game Rant, PC Gamer