Ubisoft(ユービーアイソフト)は『Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)』の2024年度にあたる「イヤー9」の全体像をロードマップとともに公開。
イヤー9では、新オペレーターの追加が「1年で2名」に減るという新しい試みが見られる。一方ではゲーム内トーメナント「シージカップ」など、各種の新機能の予定が同時に紹介された。
『R6S』のイヤー9ロードマップ公開
イヤー9のパネルには、クリエイティブディレクターAlexander Karpazis氏と、Joshua Mills氏が登壇。Mills氏は「プレイヤーフィードバックに基づきゲームプレイの品質改善を継続。『レインボーシックス シージ』を新鮮かつより良いものにし続けていく」と語った。
イヤー9でも膨大な新コンテンツや、既存システムの調整を実施予定。各シーズンで予定している内容を見ていこう。
多くは開発パネル動画からの引用だが、大会配信のパネルでのみ言及された細かな変更予告も以下にまとめている。
シーズン1
- 新オペレーターDeimos(デイモス)
- シーズンバトルパス
- シーズンイベント
- 主な新機能:
- シールドリワーク
- アタッチメントとエイムのアップデート
- インベントリ管理機能「ロッカー」
- プレイヤー保護機能:
- データBANの改善
- ランクマッチの参加条件改変
- プレイヤー評価システムのアップデート
- バランス調整:
- ライトマシンガンのアップデート
- Azami(アザミ)の弱体化
- ゲームプレイの快適性アップデート:
- ラペリングの改善
- ガジェット回収の改善
- 投げものの軌道を可視化
- 練習・新規プレイヤー向け機能:
- VS AIプレイリストにオペレーターとマップを追加
- マップ訓練にマップを追加
シーズン1については、既に詳細に発表されている。詳しくは以下の関連記事を確認。
- 新オペレーターDeimosと固有ガジェット「DEATHMARKトラッカー」解説
- Azami弱体化 / 盾オペレーターリワーク / 新機能"ロッカー" / ラペリング改善など
- 1.5倍削除 / レーザー効果変更 / 新たな「水平グリップ」などアタッチメント改変
新情報としては、ランクマッチ報酬として限定のコスメティック報酬も追加されることが明かされた。また、一度展開したガジェットを回収しやすくするゲームプレイへの改善も行われる。
アンチチートを強化、機械学習でより効率よくBAN
「シージのようなゲームに、ハッカーやチーターの居場所はない」とKarpazis氏は宣言。今回の公開パネルでは、予定している新機能の紹介よりも先に、アンチチートへのアップデートが強調された点が印象的だった。開発サイドとしても、チーター対策にはさらに力を入れたいようだ。
発表済みだが、イヤー9シーズン1では早速アンチチート機能が強化。ゲーム内のトラッキングデータやゲームプレイデータをもとに、アンチチートが機械学習をしていく。
シーズン2以降もアンチチートは進化していく。もしBANされたチーターがサブアカに切り替えても、素早くそれを検知・BANできるようになるとのこと。
シーズン2
- 「新兵」のリマスター
- バトルパス特典「オペレーターバウチャー」
- シーズンイベント
- 主な新機能:
- プレイヤー評価システムの完全リリース
- シージマーケットプレースの正式リリース
- スタンダードプレイリストにマップフィルター機能
- プレイヤー保護:
- Steam版のチーターBAN強化
- バランス調整:
- Fenrir(フェンリル)弱体化
- Solis(ソリス)弱体化・パート1
- ゲームプレイの快適性アップデート:
- アフターアクションレポート2.0
- ドローンのジャンプ軌道にガイド表示
- 練習・新規プレイヤー向け機能:
- マップ訓練:ターゲットドリルにマップ追加
- VS AIにオペレーターとマップを追加
新オペレーターはナシ、新兵をリマスター
シーズン2では新オペレーターなし。臨時アップデートだった「オペレーションヘルス」を除けば、これが初の試みだ。
代わりに「新兵」がリマスターされる。新兵は2種類になり、4つのオペレーターステータスを所持。また、すべてのプレイリストでピック可能になる。
また、新兵にも今後は装飾アイテムが追加され、ユニフォームやヘッドギアなどがカスタマイズ可能になる。
基本的には新規プレイヤー向けのアプローチと思われるが、ランクマッチで既存オペレーターたちの代わりにピックされる機会も増えるのだろうか。さらなる詳細発表が待たれる。
新アイテム「オペレーターバウチャー」
新オペレーターがいない代わりに、バトルパスには新たに「オペレーターバウチャー(引換券)」というものが登場。
このバウチャーを使って、最大2名のオペレーターを無料アンロック可能。既に全オペレーターを持っている場合、600 R6クレジットに変わる。
評価システムアップデート
プレイヤー評価システムがさらにアップデート。評価が低いと、入れるプレイリストに制限がかかるようになる。
マップフィルター機能
プリセットアップがリリースされたことでマップが制限されていた「クイックマッチ」だが、シーズン2でようやく全マップがプレイ可能に。
一方、スタンダードでは「マップフィルター」機能を使えるようになる。フィルターは、「全マップ」、「ランク用マップ」、「ランク以外のマップ」の3択から選べる。
FenrirとSolisの弱体化
シーズン2ではFenrir(フェンリル)をアップデート。具体的には弱体化を意味する。
- F-NATTマインから防弾機能を完全に削除
- F-NATTの所持数も1つ減る
また、Solis(ソリス)はシーズン2とシーズン3にわたり、2段階でアップデートされる。
- パート1(シーズン2):
- 準備フェーズ中にSPEC-IOが使えなくなる
- ガジェットが見える距離が短くなる
- バッテリーの時間が短くなる
パート2では「さらなるシステム変更」が行われるが、詳細不明。時間がかかる作業となるため、シーズン3でのリリースが見込まれている。
バランス調整の方針:チームデスマッチメタ改善へ
バランス調整について、Mills氏から興味深い発言を聞くことができた。
「チームデスマッチメタは、私たちの意図したものではありません」
「ランクマッチのすべての人々に、このステージ(で戦っているプロ選手たち)のようにプレイして欲しいのです」
現在のランクマッチでは、「チームデスマッチメタ(ガンファイトメタとも)」が蔓延。ガジェットを使って戦術的なエリアの駆け引きをするよりも、ラッシュしたり、飛び出したりするプレイヤーが増えたことがコミュニティでの議論になっている。
しかし今回のパネルでは、このメタがはっきりと否定された。シージをタクティカルシューターへと整え直し、「無謀なゲームプレイをしても報われないように」調整を行うとのこと。
上述したように、Azami、FenrirやSolisら強力な防衛側オペレーターの弱体化もこの一環。攻撃側を強化したいそうだ。また、ユーザーに説明しやすくするために、バランス調整が3種類のアプローチへと整理された。
- アップデート:分かりやすい調整。「フラグをフラバンと入れ替える」といった種類の調整
- シテムアップデート:やや複雑な調整。ショットガンやライトマシンガンなど、武器の仕様を変更するタイプの調整
- リマスター:最も複雑な調整。オペレーターのリマスター
Y9S1でも、サイトの構成が見直され、ライトマシンガンが再調整される。また、Y9S1でリリースされるシールドリワークについては、今後のシーズンで「ヒートチャージ」も安全に貼れるようにするとのこと。Thermite(テルミット)がシールドを獲得するという意味かどうかは不明だが、今後の発表を待ちたい。
アフターアクションレポート2.0
対戦終了後に表示されるアフターアクションレポートの画面が、シーズン2で一新。既に実装されているコメンデーションシステムとの連動性が高まる。
個人のリザルト画面も一新。ランクやバトルパスなどの進行度が統合され、どのチャレンジが進んでいるかも確認できるようだ。
また、今回の対戦のスタッツだけでなく、自分の命中率の全体平均値や、前回の対戦のキル数なども同時に表示されている。自分の成長ぶりを容易に確認できるだろう。
ドローンのジャンプ軌道
シーズン1では投げもののガイド軌道が表示されるようになるが、シーズン2ではドローンにもガイドが出るようになる。ドローンには、マップ構造を利用してさまざまな場所に隠すテクニックがあるが、これがさらに使いやすくなりそうだ。
このガイド軌道は、シーズン3以降も拡張予定。投げもの以外の展開型ガジェット(シールドや、Muteのシグナルジャマーなど)も、設置する際にガイドが表示されて分かりやすくなっていく。
練習機能のアップデート
マップ訓練の「ターゲットドリル」にもアップデート。すべての部屋で60分以上練習ができるようになったり、マップの一部を最初から破壊された状態にできるなど、かつてのテロハントの代わりとしての機能が強化されていく。
また、ダミーから受けたダメージが表示可能に。エリアのクリアリンクが効率的だったか、自分で確認しやすい。
シーズン3
- 新オペレーター:ギリシャ出身
- 新武器あり
- シーズンバトルパス
- シーズンイベント
- 主な新機能:
- 「シージカップ」
- 「バッジ」と「キャリア」機能
- マッチメイキング中に射撃練習場にアクセス可能に
- VS AIプレイリストに「攻撃側AI」登場
- プレイヤー保護:
- マウストラップにさらなる機能向上
- バランス調整:
- Solis弱体化・パート2
- Dokkaebi(トッケビ)にアップデート
- ゲームプレイの快適性:
- 展開系ガジェットの設置範囲ガイド表示
- カスタムゲームに「1v1」用プリセット
- 練習・新規プレイヤー向け機能:
- 射撃練習場にダミー用遮蔽物を出す機能
- マップ訓練の「ドローンドリル」
- マップ訓練用のマップ追加
- VS AIプレイリストにオペレーターとマップを追加
シーズン3の新オペレーターはギリシャ出身。Deimosと同じく、これまでのシージには無い能力を持っているとのこと。また、新武器も持って登場する。
新機能「シージカップ」
注目の新機能は「シージカップ」。これはゲーム内で行うトーナメントモードで、フレンドとパーティーを組んで参加。オンライン上で他のチームと勝負できる。
「シージカップ」は2週間に1回ずつ開催され、参加者には限定報酬も贈られる。
開発中画面の説明を見てみると、各チームにはプレイヤーのランクと、過去のシージカップの履歴に基づいた「ティア」が設定されるようだ。ティアの決定は、チーム内で最もティアの高いプレイヤーが重視される。このティアに基づいてトーナメントの相手を決める仕組みと思われる。
新機能「バッジ」と「キャリア」
プレイヤーの「やり込み要素」を補う機能として、「バッジ」と「キャリア」機能が追加。自分の経験値の高さを、バッジを通して他のプレイヤーにアピールできる。
バッジ獲得条件は、たとえば「ディフューザー設置後のラウンド勝利を10回」といったチャレンジが用意されている。これまで何百、何千時間とシージをプレイしてきたプレイヤーは、クリアランスレベル以外でも自分のガチ勢ぶりを表現できるようになるだろう。
さらに新たな「キャリア」メニューで、これまでの自分のスタッツをゲーム内で確認できるようになる。画面は開発中のものだが、プレイヤー評価機能やマッチリプレイもここに統合されている。「バッジ」もこのメニューからアクセスできる。
射撃練習場にアクセスしやすく
シーズン3では、マッチメイキング中も「射撃練習場」にアクセス可能に。「シージカップ」参加中でも可能になる。さらに、練習場に遮蔽物を追加させられるようになる。
マップ訓練については、シーズン3で「ドローンドリル」が追加。ドローン練習用メニューと思われる。
1v1専用プリセット
カスタムゲームに「1v1」専用のプリセットが登場。1v1は、日本国内リーグのミニコーナーで開催されたり、最近ストリーマー界隈でも人気を博していた対戦形式だが、今後は即席の1v1イベントを開催しやすくなるだろう。
攻撃側AIプレイリスト
AIプレイリストでは、AIのアタッカーたちと対戦するプレイリストが登場。AIもドローンを使って索敵し、遊撃つぶしや、ディフューザー設置を狙ってくる。
マウストラップ強化
マウストラップにも新機能が追加。マウサーとして検知されるとプレイヤー評価が下がり、やがて特定のプレイリストに入れなくなる。
その後のシーズンではさらなるペナルティとして、コンソール版のマウサーはPC版サーバーに放り込まれる。マウストラップに引っかかったプレイヤーはマウスの反応が劇的に悪くなるので、戦うならコントローラーでPC版の「マウサー」たちと勝負しなければならない。まさに因果応報なペナルティだ。
Dokkaebiにアップデート
シーズン3では、攻撃オペレーターDokkaebi(トッケビ)にアップデート。具体的には明かされなかったが、「彼女のガジェットに関するフラストレーションを取り除く」とのことで、やはり弱体化と思われる。
彼女の「ロジックボム」は、ノーリスクで防衛オペレーター全員の位置を音情報として知ることができる強力なガジェット。さらにカメラハックもできる。果たしてどのように変更されるのだろうか。
シーズン4
- オペレーターリマスター(Blackbeard?)
- バトルパス特典「オペレーターバウチャー」
- シーズンイベント
- 主な新機能:
- クロスプレイ新機能:コンソール版プレイヤーがPC版フレンドとプレイ可能に
- マッチキャンセル3.0:チーターの自動キック機能
- プレイヤー保護:
- 自動テキストチャット・モデレーション
- バランス調整:
- 各オペレーターにさらなるバランス調整
- ゲームプレイの快適性:
- 新たなダイナミックマッチメイキング
- 練習・新規プレイヤー向け:
- マップ訓練にマップ追加
オペレーターリマスター(Blackbeard)
シーズン4でも新オペレーターなし。代わりに、新兵に次ぐ「オペレーターリマスター」が実施される。
リマスターされるオペレーターはここでは明かされなかったが、ヒントは「アメリカ出身」、「昔からシージにいた」、「変更が期待されていた」。さらに「Mills氏がコスプレできる」とのことで、ほぼBlackbeard(ブラックビアード)で間違いない。
リマスターとは恐らく、過去のTachanka(タチャンカ)リワークのような、根本的な性能変化と思われる。実質的な新オペレーターとなり、ゲームプレイの幅が広がることに期待。
新オペレーターがいないので、新規・修行中のプレイヤーにうれしい「オペレーターバウチャー」も再び獲得可能。
クロスプレイ新機能
対戦では、クロスプレイに新機能が登場。コンソール版プレイヤーがPC版フレンドと一緒にプレイできるようになる。
ただしこれは一方通行型で、PC版プレイヤーがコンソール側に行くことはできない。
対戦中にチーターをBAN、グリッチ使用者も排除
コンソール版マウストラップと、PC版のアンチチートである「QB」により、イヤー9ではシージをより安全にプレイできるようになる。
チーター対策としては、「マッチキャンセル3.0」として「ライブBAN」機能が実装。これは対戦中にリアルタイムでチーターを監視し、発見したら即BAN。その対戦をキャンセルしてくれる。
シーズン4ということでまだまだ先の話だが、期待したい新機能だ。
また、テキストチャットで差別用語や暴力的な言葉遣いをした場合、ゲーム側で自動的に消される「オートモデレーション」が導入される。英語以外の、たとえばローマ字表記された日本語にも対応可能かは気になるところだ。
さらに今後のアップデートでは、グリッチ使用者もより素早く特定し、排除するとのこと。悪気はなくても、普段から怪しい裏技を使っている自覚のあるプレイヤーはくれぐれも注意して欲しい。
チーターはプレイヤーの大きな不満の1つでもある。開発者はこれを緩和するため、2ヵ月に一度アンチチートの状況をコミュニティに共有することを約束。これまでは不定期だったものが、定期報告になる。
ダイナミックマッチメイキング
こちらは、マッチングがよりスムーズになることを目指した改善。たとえば朝のオーストラリアでマッチングをかけても、快適かつバランスのとれた対戦ができるようになるという。
シージeスポーツ2024年度
w7mが1年すべての世界大会を制した2023年のシージeスポーツ。戦いは2024年へと続く。
春はイギリス・マンチェスターでのシックスメジャー開催が発表済み。その後のカレンダーは以下のようになる。
- 2024年秋:カナダ・モントリオールメジャー。シージ開発スタジオのある土地へと再び戻る
- 2025年冬:インビテーショナル2025。アメリカ東海岸で開催
- 2026年冬:インビテーショナル2026。Ubisoft本社のあるフランスにて開催
一方、インビテーショナル2024も大いに盛り上がったブラジルへの言及は今のところナシ。これについて会場からは、歓声にいくらかブーイングも混じって聞こえた。
振り返ると、過去のフォーマットでも「ブラジルメジャー」だけカレンダーに無かったという因縁がある。一方で、現在のブラジルはシージ界における最強地域と呼んで間違いない。現地シージファンたちの不満の声はもっともだ。2025年度こそ、ブラジルメジャー開催に期待したい。また、アジア開催のメジャーも見てみたい。
イヤー9ロードマップを振り返ると、「新オペレーター2名」という発表が1つ残念に映っただろう。しかしオペレーターを定期的に追加し続けると、1人ひとりを個性的にするのが徐々に難しくなっていく。さらに、覚えることが増え、新規プレイヤーがいっそう入りにくくなるというマイナス面もある。
アンチチートのアップデートも合わせて、開発スタッフが下した今回の大きな決断が、最終的にプレイヤー人口の増加につながることを望みたい。
- タイトル:Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)
- 発売日:2015年12月10日
- 対象機種:PS5, PS4, Xbox Series X|S, Xbox One, PC(Steam)
Source: YouTube
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コメント
コメント一覧 (11件)
盾をピックするだけで嫌がらせ行為の点数伸びていく
FPSで敵プレイヤーに向けた評価が出来るとやっぱりそうなる