第3弾「6v6から5v5への移行」
ここまでに記載した問題(特に長すぎる待機時間)に対処するため、次に実施された対戦フォーマットの大規模変更は、オーバーウォッチ2のリリースと同時に行われた「6v6から5v5への移行」。
5v5に移行した理由:6v6で生じていたストレスの緩和
チームプレイの重要度の高いオーバーウォッチにおいて、プレイヤー同士の協力は不可欠。この協力や連携が上手くいかないと、大きなストレスとなってしまうだけでなく、どちらかのチームのアルティメットが貯まるまで試合が膠着し続けるというケースも見られた。
これについて「厳密には役割上、常に高出力の回復・ダメージ低減のサポートを受ける傾向にあるタンク、それも2名を突破するに十分なアルティメットのコンボを発動できるようになるまで膠着し続ける」と記載されている。
こういったゲーム性は上手くいったときの楽しさは非常に大きい反面、上手くいかなかったときのストレスも同じく激しいものになってしまう。こういった6v6の激しいストレスを、高揚感の上限を少し下げつつ緩和することが、5v5の導入時に掲げた目標の1つであった。
5v5に移行した理由:FPS要素の重視
2への移行にあわせて「FPS要素」を重視したバランス調整も実施。ダメージの緩和やクラウド・コントロール(CC)系アビリティの減少、敵を撃ちやすくすることが重視された。
また6v6の頃は、ダメージヒーローのプレイヤー間で「コンビネーション技が強力なタンクと、高い回復力でせっかく与えたダメージを無効化してしまうサポートヒーローの前では手も足も出ない」という不満が出ていた。
これは「役割上、アビリティのクールダウンやアルティメットのチャージ率を厳密に管理する必要がある」「相手を撃ってもバリアに阻まれる」「相手にダメージを与えられたとしても、キルを取るタイミングがシビア」というストレス要素がからんだ結果生まれた感情と考えられている。
サポートヒーローのプレイヤーもまた敵へのダメージや単体での戦闘にある程度時間を割ける今の5v5と異なり、タンクがもう1人いるので回復する必要のあるライフの総量が多く、ほぼ常時回復に徹する必要があった。
5v5に移行した理由:タンクシナジーの脅威
タンク2名が織りなすコンビネーション、いわゆる「タンクシナジー」も楽しさばかりではなかった。2人の高耐久ヒーローの存在は、ゲームのスピードを遅くすると同時に展開を変える余地を狭め、時には完全に膠着させる要因になってしまっていた。この元凶としてよく「ダブル・シールド構成」が挙げられるが、膠着の原因はマップやモードとの相性といった別要素にも及ぶという。
特にチョーク・ポイントのような狭い場所の突破が求められるゲーム・モードでは、アビリティの相乗効果で守りが分厚くなるだけで、流れが完全に止まったかのような状況に陥ることが多くあった。ゲームの展開が早く、ゲームの展開が停止することも、特殊な例を除けば皆無な現環境とは大きな違いである。
また6v6の当時は互いの背を向き合わせるように一団で移動しながら戦うことが重要視されていたが、5v5移行後はチームメイトから離れて敵チームの脇から攻めたり、敵ヒーローとの一騎討ちに挑んだりするFPS的なプレイを展開できる余地が増えた。
さらに6v6には「状況の把握が難しい」という難点もあったという。チーム戦の規模が大きくなるにつれて、少ないビジュアル・エフェクトゆえに状況がわかりづらくなるという問題も加味すれば「オーバーウォッチ」はかなり要求度の高いゲーム。マッチの他の参加者が11人の6v6と9人の5v5を比較し、9人の方がマッチの状況を把握しやすいのは当然と言える。
5v5移行後の待ち時間「データと背景情報」
ここまで5v5に移行した理由がいくつか紹介されたが、5v5への移行が生んだ特に大きなメリットとして「待ち時間の大幅な減少」が挙げられている。
上のグラフは「2019年にロールキューを導入した際のライバル・プレイにおける待ち時間」と「5v5へ移行した後のライバル・プレイにおける待ち時間」をロール別に比較したもの。ロールを問わず5v5への移行で待機時間が短縮されていることがわかる(特に1番人気のダメージで顕著)。
「待ち時間が長い=プレイヤー数が少ない」という考えは間違っており、実際には3つのロールそれぞれの待機プレイヤー数に偏りが生じるほど、待機時間は増加する。5v5への移行に伴い最も人気が伸び悩んでいるタンクが1名減少したことで、各ロールの需要が満たされやすくなり、マッチング待機時間が大幅に短縮された。この現象は「オーバーウォッチ 2」がリリースされた2022年10月の時点で確認されている。
これまでの記述やグラフのとおり、タンク・プレイヤーが他のロールのプレイヤーよりも少ないという状況は5v5に移行した現在も変わっていない。そのため、仮に5v5から6v6への切り替えを現在行うと待ち時間が当時の6v6レベルかそれ以上の水準に伸びてしまう可能性が考えられる。
チームの6v6に対する考え
これまで6v6から離れた理由(欠点)についての記載が続いたが、6v6には良い点がなかったというわけではない。当該記事には、6v6の楽しさについて以下のように記載されている。
12人のプレイヤーが集まって生まれるあの狂気と白熱の空間を、今の10人マッチで再現することは、なかなかできないでしょう。12人もいると、マッチがわけのわからない状況に(ときどき)陥りますが、それもまた6v6の魅力の1つでした。今の「オーバーウォッチ 2」も楽しさに溢れています。ですが、あの際限なくハチャメチャで、感情が乱高下する世界は6v6にしかなかったのも確かです。
その他、6v6ならではの利点として以下の内容も紹介されていた。
- ハチャメチャであった分、プレイヤーが感じるプレッシャーが小さくなっていた
- +1人分苦戦しているプレイヤーをカバーする余地があった
- その+1自体もタンクであるため、影響力が非常に大きかった
- 「総合的な耐久力(ライフ総量+防御アビリティ)」ゆえに、簡単な逆転が発生しにくい
- 現在の5人構成に比べて、どっしりとした試合作りが可能であった
先述したタンクシナジーの問題点に関しても「片方のタンクが敵チームを抑えたり押したりしている一方で、もう片方が後方の守備に回れる」という面白さに繋がっている。タンク同士のチームワークは、複雑で習得までに時間を要するが、その分奥が深く本作の大きな魅力であった。
また、タンクの調整が難しいのは6v6でも5v5でも同様。この1年半、試行錯誤を繰り返しながら調整が進められた結果、現在のタンクのバランスは高い水準に上がったという。それでも、一時期のマウガのように1人でも能力が飛び抜けたタンクヒーローが登場すると、タンクが1名に限られている現状ではかなりの脅威になってしまう。
おわりに
当該記事の最後には「今後も5v5と6v6に関する話題に触れていくとともに、チーム内で現在練っている計画の詳細をお伝えできればと思います」と記載されている。以前から定期的に話題に上がっている「6v6」の対戦フォーマットの話題だが、今回で決着とはならなかった。
ひとまず、現状の5v5ではない対戦フォーマットを最初に体験できるのは、シーズン13で予定されている「クイック・プレイ:HACKED」になりそうだ。この「クイック・プレイ:HACKED」でのアイデアにも欠点があると紹介されているが、ここまでの大型アップデートの結果を見れば、メリットしか存在しない調整というのがほぼ不可能であることは容易に想像できる。
より良いゲームになるよう、開発チームとコミュニティで議論が続けられているオーバーウォッチ2。6v6の復活に関する賛否や追加してほしい制限、撤廃してほしい制限があれば皆さんの意見もぜひ聞かせてほしい。
- タイトル:Overwatch 2(オーバーウォッチ2 )
- 発売日:2022年10月5日
- 対象機種:PC / Xbox Series X|S, Xbox One / PS5, PS4 / Nintendo Switch
Source: Overwatch
コメント
コメント一覧 (5件)
Switchがマルチに入っちゃったからねぇ
6vs6に戻すとかありえないでしょ
エンジニアの人が言ってる通りで「誰もタンクをやりたがらない」問題はなにをしても解決しないよ。
そりゃ競技性では6vs6のほうが間違いなく優れてたけど、
サービスとして考えるならどう考えてもマッチング時間を短くするほうが重要。
今更?
大会の視聴を考えて5vs5にしたんだろうけど、ゲームの面白さが損なわれちゃったよな
今戻すと5v5は失敗だったってことを認めることになるからそういう点でも難しいんじゃないかな。
てかパフォーマンスは絶対6v6実装に関係ないでしょ。OW1の時GTX970とかだったぞ、未だにHaswellとかで開発してんの?
6vs6は今でもカスタムゲームでできるけど、カスタムゲーの設定弄りまくりとかでなければPS4でも処理落ちが酷くなったとかは特にないな
ただ開発者が言ってるならそうなんだろうね