『GTA6』の未公開映像を流出させ続けてきた「Cyberleek」は、自分は消費者の側に立っていると主張してきた。独自の仮想通貨$CYBERLEEKで集めた資金は「ストライキに必要なインフラ」と「避けられない企業側の反撃に耐えるためのセキュリティと保護」に充てる「秘密のプロジェクト」のためであり、暗号通貨を使うのが唯一の方法だ、と繰り返していた。
その「秘密のプロジェクト」の中身が、日本時間8月27日に見えた。Cyberleek本人とみられるウォレット保有者が、自ら発行したそのトークンから20万ドル超(約3,200万円)を抜き取り、即座に換金していた。事実上のラグプル(出資金持ち逃げ)だ。支援を呼びかけていた人物の、あまりに予想通りの幕引きだった。
- 3行まとめ
- 『GTA6』リーカーCyberleekが独自トークンで20万ドル超を抜きラグプルを実行か
- Solana上の$CYBERLEEKはRaydiumの流動性プール手数料で稼ぐ仕組みだった
- 換金直後の時点で、トークン価値は保有者向けに約40%下落した
「秘密のプロジェクト」の正体は、20万ドル超の換金だった
8月18日から『Grand Theft Auto VI(グランド・セフト・オートVI)』のゲームプレイ映像を流出させてきたCyberleekは、そのリーク映像を舞台に$CYBERLEEKという仮想通貨の売買を視聴者に促していた。Solana(ソラナ)ブロックチェーン上で発行されたトークンだ。
やがてCyberleekは、このトークンで「次にどのリーク映像を出すか」を投票できる仕組みまで用意した。リークを見に来た視聴者がそのままトークンの買い手になり、次のリークの投票権も得る。流出と資金集めが一本の導線でつながっていた。
Take-Twoの法的追及が激しさを増すにつれ、Cyberleekの支援要請は次第に必死さと寒々しさを帯びていった。そして懐疑論が的中する形で、日本時間8月27日の午後(現地時間同日午前3時27分頃/EDT)から一連の取引が始まり、ある$CYBERLEEKトレーダーが推定27万ドルを手にし、他の保有者のトークン価値を暴落させた。GTAForums.comのユーザーVice Citが最初に指摘したものだ。
仕組みを解剖する:流動性プールで手数料を吸い上げていた
何が起きたのかを理解するには、トークンそのものの構造を押さえておく必要がある。$CYBERLEEKはSolana上で8月15日ごろ、あるウォレット保有者によって発行された。最初の流出が始まる3日前のことだ。発行後、その保有者(おそらくCyberleek本人)は初期供給分と別の仮想通貨をRaydiumというプラットフォームの「流動性プール」に投入し、いわゆる「流動性提供者(LP)」になっていた。
類例で言うなら、2021年のNFTブームで「アーティストが作品を出す→トークン発行→回収」をやった連中と完全に同型。新しいのは「素材にAAAタイトルの未公開映像を使った」という一点だけで、手口には何の新規性もない。
2022年の流出犯には金銭的な出口設計がほとんど無かった。同じ「GTA6リーカー」でも、4年で動機が承認欲求から収益設計に置き換わってる感じだ。
Raydiumの流動性プールを通じて通貨が取引されると取引手数料が発生し、それがLPに分配される。つまりCyberleekは、視聴者にプールからのトークン売買を促すことで、自ら提供者として利益を生み出し続けていた計算になる。
そして案の定、$CYBERLEEKを最初に発行したのと同じウォレット保有者が、この取引でRaydiumの流動性プールから手数料回収を実行。手数料として溜め込んでいた20万ドル超の$CYBERLEEKを受け取った。先に触れた推定27万ドルはこの一連の取引で動いた額の見積もりで、20万ドル超はそのうち手数料として積み上がっていた分にあたる。保有者はそれを即座に他の通貨へ換金し、複数のウォレットへ素早く分散させたという。ブロックチェーン上の取引記録はSolscanで公開されている。
Cyberleek騒動、ここまでの流れと開発元の対応
今回の換金は、8月中旬から続く一連の騒動の一部でしかない。ロックスターは8月27日に初の公式ゲームプレイ映像を公開しており(詳細記事)、流出はその直前まで続いていた。流出とTake-Two側の対応を並べると以下のとおり(日付は米国時間)。
- 8月15日ごろ:$CYBERLEEKがSolana上で発行。最初の流出の3日前にあたり、トークンと流動性プールを先に用意してから流出を始めた形になる
- 8月18日:Cyberleekが未公開のゲームプレイ映像を流出させ始める。以降ほぼ毎日続き、次にどの映像を出すかをトークン保有者の投票で決める仕組みを追加
- 8月20日:Take-Twoがニューヨーク南部地区連邦地方裁判所にDMCA召喚令状(発信者情報の開示を求めるやつ)を2件申請。MicrosoftとDiscordに対し、Cyberleekの身元特定につながる記録の提出を求めた。申請書に記載された回答期限は9月4日
- 8月21日:XとGoogleを対象とする分も追加で申請される
- 8月22日ごろ:「ロックスターが手を引かなければフルビルドを公開する」という脅迫が各所で報じられるが、根拠が捏造された画像だと判明し、報じた媒体が撤回した
- 8月27日:ロックスターが『GTA6』初の公式ゲームプレイ映像をNetflixで公開(日本時間28日4時)。同じ日、Cyberleekは流動性プールから20万ドル超(約3,200万円)を回収し換金した
Take-Twoが求めている情報は細かい。Tom's Hardwareが報じた申請書の中身によれば、対象は3つのDiscordサーバー参加者の識別情報に加え、WindowsのMachineGuidやMicrosoftアカウントのデバイスID、IPアドレス、電話番号、GoogleやXboxとの連携情報、さらにOneDriveの中身にまで及ぶ。
ここで注意が要るのは、4件の令状はいずれもまだ発行されていない点だ。2名の判事が書記官に発行を指示する命令へ署名した段階で、書記官による発行はまだ行われておらず、MicrosoftもDiscordもユーザーデータを1件も引き渡していない。「認められた」「捜査が進んでいる」と報じられることがあるが、手続き上はその手前にある。
追加申請の中身にも留保が付く。TorrentFreakによれば、Take-Twoが名指ししたXアカウント3件は、コミュニティが以前から偽物だと指摘していたものだった。Cyberleek自身も後期の流出動画に「CYBERLEEK DOES NOT HAVE TWITTER」というウォーターマークを入れている。3件はいずれも現在凍結されているが、追っている先が本人とは限らない。
目を引くのは、ロックスターとTake-Twoが一貫して公の場でコメントを出していない点だ。取材にも応じておらず、動いているのは法務だけ。流出そのものへの反応で騒ぎを大きくせず、身元特定の手続きを淡々と進める構えに見える。
残されたのは値崩れしたトークンだけ
この結果、$CYBERLEEKを手に入れてしまった人々にとって、その価値は換金直後の時点でおよそ40%下落した。もっとも、それはもうCyberleekの問題ではない。身元は今も分かっておらず、手にした資金はこのまま逃げ切るための費用になるか、捕まったあとの弁護士費用になるかのどちらかだ。弁護士費用も「秘密のプロジェクト」のうちに入るなら、の話だが。

ちなみに騒動に便乗して、Cyberleek本人を名乗るサイトや、ただの便乗サイトも量産されている。中には検索に引っ掛けるためだけに作られた広告まみれのページや、投票結果に最初から運営側の設定値が入っているものもあった。「cyberleek」で検索して出てきたサイトを不用意に開くと何を踏むか分からないので、気をつけよう。
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Source: pcgamer.com, torrentfreak.com, tomshardware.com
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コメント
コメント一覧 (4件)
まさかこの犯罪者を正義の味方だと思って支持してたアホなんていないはず…いないよね…?
csアンチのpc信者か乞食位じゃ無いか?
愚か者はいずれ川に沈む
取引は全部ブロックチェーンで追えるし、現金化とかするならCEXのウォレット通すから、普通に身元特定されそうだけどそうでもないんだろうか
まぁいずれにせよこのトークンに群がった方もリーク目的のア◯達だから、別に同情はできんな…