Ubisoftの『Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)』競技シーンでは、デンマーク・コペンハーゲンにて世界大会「BLAST R6 Major Copenhagen 2023(以下、コペンハーゲンメジャー)」が開催中。この記事では大会の「フェーズ2」におけるDAY4とDAY5の結果をお届けします。
「コペンハーゲンメジャー」フェーズ2 DAY4&5の結果
4月24日に開幕したコペンハーゲンメジャーでは、「フェーズ2」の全日程が終了。これにより世界ベスト8が出そろい、その中には日本チームKAWASAKI SCARZも名を連ねました。
日本チームの世界大会ベスト8は、2019年に行われた「シックスインビテーショナル2019」で野良連合が残したベスト4という成績以来のもので、実に4年ぶりの成果となりました。
その他のチームを見ていくと、一国で巨大なシージコミュニティを有するブラジル勢は、2023年も快調に4チームをベスト8に送り出すことに成功。メジャーリージョンの1つである北米では、Soniqsのみが生存。ヨーロッパ勢としては、直近の世界大会「シックスインビテーショナル2023」チャンピオンであるG2と、地域予選を突破し、フェーズ1の各試合もタフに戦ってきたMNMが勝ち残っています。
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NiPの堅実な立ち回りに屈する
フェーズ2のDAY4で、ベスト8を目指すSCARZのの前に立ちはだかったのは、「シックスインビテーショナル2021」で世界チャンピオンの実績を有するブラジルチームNiP(Ninjas in Pyjamas)でした。「高層ビル」を舞台に、SCARZはNiPからの攻めを迎撃する形からスタートします。
NiPの攻撃スタイルには派手な部分がなく、丁寧に手順を踏んでSCARZの拠点を囲い込んでいきます。制限時間を使い切る形になりますが、重要なガンファイトをしっかり勝つことで作戦のデメリットを埋め合わせるという巧さが光り、序盤はNiP1が3-1とリードします。
一旦タイムアウトを挟んだSCARZは、自らラインを上げつつ、単独行動している相手選手をキルしようと試みます。しかし逆にその遊撃を狩られる図となり、4-2とリードされて攻防を交代します。
攻撃に回ってからのSCARZは、Rec選手が多くのキルを計上して奮起しましたが、ガジェットを使って要所を手堅く守るNiPを動揺させられるような手段がついに見つからず、最終スコアは7-2。SCARZは2勝2敗となり、一時撤退を余儀なくされました。
SSGとの試練が始まる
フェーズ2の最終日であるDAY5でSCARZと対戦することになったのは、北米チームSSG(Spacestation Gaming)でした。メジャーも後半に差し掛かると、勝ち残っているのは世界の大御所チームばかり。SSGもまた、「シックスインビテーショナル2020」で優勝経験のあるチャンピオンチームの1つです。
このSSGは、DAY4で韓国チームDplusをBO3で破り、大会敗退を決定させたばかり。日本チームであり、最後まで生き残ったアジアチームとなったSCARZは試練の時を迎えました。
SCARZが勝てばベスト8進出、負ければ大会敗退となるこの試合は、まずSSGがピックした第1マップ「オレゴン」からスタート。防衛から入ったSCARZは、NiPと同じく堅実な攻め方をしてくるSSGに力で押されて0-2とリードされますが、その後どうにか耐え抜き、3-3という悪くはないスコアで攻防交代に成功します。
しかしSSGは防衛での立ち回りに定評のあるチームで、マップ後半戦からはSSGの一方的な展開に。SCARZはラウンドを連取され、結局攻撃を一度も通せないまま、3-7で「オレゴン」から撤退することとなりました。
第2マップはSCARZピックの「山荘」でした。第1ラウンドからTaiyo選手がクラッチを決めて幸先の良いスタートを切り、2-0としましたが、ここでSSGはすかさずタイムアウトを入れて調整を試みます。
SSGはBrava(ブラバ)でガジェットを奪いつつ、要注意なフラッガーであるForrest選手が拠点に突入してカバーごと破壊する大胆な動きを見せるなど、SCARZのメンバーを脅かし続けます。対する日本チームも動揺することなくプレイに取り組み、第2マップは3-3と拮抗して攻防交代します。
しかし第9ラウンドでは、Forrest選手から痛恨のプレイミスが発生し、チャンスにうまく乗じたSCARZは5-4とリードに成功します。ここで潮目が変わったのか、SCARZは続く第10ラウンドでも、2階を省略しながらの1階攻撃を完結させ、6-4で先にマッチポイントを獲得。さらに最後はせん滅で7-4。ピックマップで無事に勝利を掴みます。
これでマップスコアは1-1となり、SCARZはSSGとの決着をつけるべく、ディサイダーマップの「ヴィラ」へと向かいます。
戦いの中で成長したSCARZ、ベスト8進出
「ヴィラ」で防衛から入ったSCARZは、全員でしっかり互いをカバーしつつ、単独行動でのかく乱を目論むSSGのHotancold選手の存在感を緩和させるなどして、序盤を2-0とリードします。
ここでSSGが一旦タイムアウトを取るのは「山荘」でも見られた光景で、前半はまたしても拮抗した展開になることが懸念されました。しかし、今回はRec選手がフラッガーとしての本分をフルに発揮したことで、SCARZのストーリーが始まります。射線が重なった敵をKaid(カイド)のTCSGで貫き3-0とすると、第5ラウンドではAruni(アルニ)を使って相手の逆攻めをしっかりおさえ、5-1という大差でSSGからリードをとって攻防交代に成功します。
防衛に回ってからのSSGはやはり手堅く、SCARZは先にマッチポイントを取れたものの、そこから6-3、6-4とじりじり寄せられる形に。緊張の展開となりましたが、最後に打開したのはPyon選手がMontagne(モンターニュ)を投入して拠点に強行する作戦でした。Rec選手も近距離での敵との対面を計算してSledge(スレッジ)にショットガンを持たせ、相手の裏取りを完封します。
1人ずつSSGの選手を退け、せん滅によって最後のラウンドポイントを取得。撃ち合いの強さと、理に適った選択がとれるSCARZの強みが存分に発揮され、最終スコアは7-4。マップスコア2-1で日本チームの勝利が決定。日本シージ界としては4年ぶりのベスト8入りを決定しました。
SCARZのメンバーは、元々Zeptoの名で長らく戦ってきたチームでした。しかし巡り合わせの悪さもあってか、国内トーナメントで戦う姿はよく目撃されてきたのに対し、プロリーグには縁の無い期間が続いていました。
しかし2021年の「Japan Championship 2021」でオフラインの舞台に登場し、プロチームを下して大会を3位で終えたことで一気に注目の的に。その後、2022年3月に行われた「昇格戦 v2.0」で優勝したことで、国内リーグRJLへの出場を決めました(配信ログ)。
プロチームSCARZシージ部門の新ロースターとなった彼らは、2022年のリーグ戦も圧倒的な強さで優勝。2023年はいよいよAPACリーグに参戦かと思われました。しかし、ここでまたしても巡り合わせの悪さがあり、シージ競技シーンの構成全体が改変されて旧APACリーグそのものが無くなってしまうという困難に見舞われました。
そんな中でも、国内リーグで引き続き高いパフォーマンスを継続した彼らは、コペンハーゲンメジャーにもフェーズ2から出場。そして今回SSGを破ったことで、日本チームとして4年ぶりのベスト8進出を達成。限られたチャンスを掴み、ついにシージ界の歴史にその名を残すこととなりました。
メジャー終盤戦「フェーズ3」は5月5日スタート
- コペンハーゲンメジャー・ベスト8チーム
- W7M(ブラジル)
- MNM Gaming(ヨーロッパ)
- Soniqs(北米)
- Ninjas in Pyjamas(ブラジル)
- FaZe Clan(ブラジル)
- SCARZ(日本)
- G2(ヨーロッパ)
- Team Liquid(ブラジル)
- ※カッコ内は所属リーグ
4月から16+8チームで始まったコペンハーゲンメジャーも、残り8チームとなりました。ベスト8進出を決めたSCARZですが、彼らの戦いはまだまだ続きます。
メジャーの最終盤「フェーズ3」は、シンプルなシングルイリミネーション形式で争われます。グランドファイナルはBO5。他の各試合はBO3で実施されます。
日本チームSCARZの対戦相手となったのは、ブラジルチームFaZe Clanです。2022年のベルリンメジャー優勝チームであり、2023年はブラジルリーグ首位のチームとしてコペンハーゲンにやって来ました。試合は日本時間5月5日からスタートしますが、正確な時間はシージeスポーツ北米公式Twitterからの発表をチェックしておきましょう。
いよいよ春のメジャーもクライマックス。TwitchまたはYouTubeのシージ公式チャンネルで、SCARZ vs FaZeをはじめシージ界最高レベルの戦いをお楽しみください。
- タイトル:Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)
- 発売日:2015年12月10日
- 対象機種:PS5, PS4, Xbox Series X|S, Xbox One, PC(Steam)
Source: YouTube, Twitter
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コメント
コメント一覧 (2件)
個人的には山荘の第8ラウンドでSZが2-5クラッチ決めてから流れ変わったとは思う
その後の9ラウンド目のForestのニトロ自爆で決定的になった感じ
文字通りのAPAC LAST HOPE
もうここまで来たら好きにやってくれ