20年の歴史を持つ『Call of Duty(CoD)』シリーズでは、昔のタイトルにもそれぞれコミュニティが残っています。しかしゲームの安定性やセキュリティの問題などから、これら旧作の中には有志が開発したMODを適用したうえで、専用サーバーでプレイされているものもあります。
こうした旧作用のMODのうち、特に名の知られていたMODや、期待が集まっていたMODが、販売元であるActivision(アクティビジョン)から立て続けに知的財産権の侵害を主張されました。Activisionのこの動きに、海外コミュニティは怒りの声を上げています。
次々に消されていく旧作用CoD:MOD
以下の映像の「sm2」は、2019年版『Call of Duty: Modern Warfare』『Call of Duty: Modern Warfare Remastered』のエンジンを使って開発していた無料のMODです。このMODは、過去作を含む100種類以上の武器や、24種のPERK、独自の進行システムなどを備えていることで期待を集めていました。
(追記:使用エンジンに関する誤表記を訂正しました)
CoDシリーズは毎年大型タイトルをリリースしていますが、新作の登場は旧作の人口がおのずと減っていくことを意味します。しかし旧作のコンテンツが好きだったプレイヤーたちは、懐かしい武器を現代エンジンで使えるこの「sm2」に大きな期待を寄せていました。
ところが5月17日、「sm2」の開発チームはActivisionから知的財産権の侵害を訴えられたことを報告。Activisionの主張に従い、「sm2」の開発を恒久的にシャットダウンすることを発表しました。
「sm2」はそもそもActivisionの開発したエンジンを利用するMODであり、「無料」を謳っていたものの、やはり見逃してはもらえなかったようです。ゲームプレイ映像を見れば分かるように、完全にコピーだったことは間違いありません。
別の大型CoD:MODサービスも消滅
「sm2」のプロジェクトが立ち消えになったことは海外コミュニティの人々を動揺させましたが、5月22日にはさらなる動きが見られました。
X Labsは、「IW4x」などCoDシリーズ旧作用のMODを提供していた有志プロジェクトです。2009年版の『CoD:モダン・ウォーフェア2』や『CoD:ゴースト』、『CoD:アドバンスド・ウォーフェア』、『CoD:ブラックオプス3』などのゲーム用に、アンチチート・セキュリティを強化する機能などを追加したMODを作成し、それぞれのタイトルがプレイ可能な専用サーバーも提供していました。
しかしこのX Labsも、「sm2」と同様にActivisionから知的財産権の侵害を主張され、サービスを終了したことを発表しました。現在は公式サイトにもアクセスできなくなっています。
X Labが提供していたMODは、無料でプレイできてしまっていた「sm2」とは異なり、対象のゲームそのものを購入していなければ適用できないもの。そうは言ってもゲームを改造したうえで専用サーバーまで提供してしまえば、Activisionにとって見過ごすことはできなかったものと思われます。
まだ生き残っているプロジェクトも
旧作のプレイ環境を提供している有志MODとしては、他にもPlutonium Projectが知られています。
こちらは今のところActivisionからの連絡はないそうですが、やはり「次は自分たちかも…」と感じているようです。
海外コミュニティは怒りの声
そもそも有志のMOD開発を支持しているのは、旧作をプレイしたいものの「公式サーバーがチーターだらけで何もできない」と嘆いている人々です。
中には、最新作である『CoD:MWll』や『ウォーゾーン2.0』など最近のCoDにはついていけなくなったという懐古派のプレイヤーも含まれますが、いずれにせよプレイの動機は単純に、「アップデートの終わった旧作を安定した環境で楽しみたいから」がほとんどでしょう。
今回のActivisionの行動に対し、彼らは「チーターは放置して有志のMODは削除させるのか(最近のチート)」、「イノベーションのない強欲企業の新作は買わない」など怒りの声をあげています。
もちろんActivisionはチーターを放置しているわけではなく、10万以上のアカウントBANや新たなチーター対策など積極的な対策を行っているものの、長年イタチごっこが続いている状況です。
同じゲーマーとして気持ちはそれはもう充分に分かりますが、残念ながら知的財産権を侵害している点については許されるべきではありません。
今回の判断が覆る可能性はなさそうですが、CoDシリーズの各作品にはそれぞれにファンのコミュニティがあり、そこで育まれてきたコミュニティの歴史があります。旧作を楽しんでいる人々が、何らかの形で報われることを祈りたいところです。
- タイトル:Call of Duty: Modern Warfare ll(コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア Ⅱ)
- 発売日:2022年10月28日
- 対象機種:PS5/PS4, Xbox X|S/Xbox One, PC(Battle.net / Steam)
Source: Twitter
コメント
コメント一覧 (14件)
裏で金稼いでたからだろActivitionはアセット使用自体はかなり寛容だわ
FO, GMOD, RON, BO3で一切金稼いでないのは全部生きとるし金稼ぎ&メインのマルチ層取り込んでるから目が付けられただけ
Xlabsの開発者が作ってるBO3のModクライアントを使うのに金払わないと使えないとか、Xlabsの公式サイトにクラックされたゲームファイル置いてたとかがActivisionの怒りに触れたんやろな。
sm2の開発は旧MW2で使われてたIWエンジンが大本。今後を考えてエンジンをMWRの物に切り替えると言ってた矢先の停止措置。MWRエンジンによるsm2はお披露目も出来てない