本日2024年5月24日、海外掲示板Redditにて『Overwatch 2(オーバーウォッチ 2 )』の開発チームによるQ&A(AMA)が実施された。今回のQ&Aテーマは「シーズン10のミッドシーズンアップデートに関して」となっており、S10ミッドシーズンアップデート後の環境や今後の調整方針などについて質疑応答が行われた。
ミッドシーズンアップデートQ&A
- 回答を行った開発チームのメンバー
- Alec Dawson氏(リードゲームプレイデザイナー)
- Josh Noh氏(リードバランスデザイナー)
- Kenny Hudson氏(シニアヒーロープロデューサー)
以下は、Reddit上での質問と回答を和訳・要約したものとなっている。
アップデート以降のパフォーマンス変動
質問:先週リリースされた主要なタンクの変更で、タンクの勝率と選択率に目立った即時の変化はありましたか?
多くのヒーローは比較的似たパフォーマンスを維持しているが、以下のヒーローには大きめの変化が見られた(タンク変更以外の影響もあり)。
- パッチでパフォーマンスの向上が見られたヒーロー
- アナ
- ジャンクラット
- ファラ
- ロードホッグ
- シグマ
- レッキング・ボール
- ザリア
- パッチでパフォーマンスの低下が見られたヒーロー
- バスティオン
- D.Va
- マウガ
- オリーサ
- リーパー
ヒーローのパワーバランスに関して
キャスディ
- 質問:過去にリワークについて言及していたダメージヒーロー(キャスディとリーパー)の調整進捗は?
キャスディに関しては、シーズン9の前にアップデートの検討を開始。当時のキャスディの状況に対して、所持しているアビリティの複数を変更対象として検討していたが、シーズン9での大規模な変更は彼の活躍に大きく貢献したことが確認できている。そのため、アップデートの計画は“マグネティック・グレネード”やその他のプレイの質(特にUlt)に重点を置いたものに変更された。
シーズン11では“マグネティック・グレネード”に調整を行う。これは初代オーバーウォッチの“フラッシュ・バン”に近い挙動(近距離用でホーミング効果なし)に変更し、ターゲットの行動を妨害する。これにより、他のスキルセットとの相性が改善され、“マグネティック・グレネード”に対する不満の一部が解消されると考えている。
リーパー
- 質問:過去にリワークについて言及していたダメージヒーロー(キャスディとリーパー)の調整進捗は?
リーパーについても初期段階では、幅広い調整に取り組んでいたが、現在は“シャドウ・ステップ”のアップデートに重点を置いている。変更後の仕様として現在好評なものが存在するが、実装には大きな技術的課題があるため、作業の計画と実現可能な範囲を検討している。
“シャドウ・ステップ”の変更までの期間中も、シーズン10のミッドシーズンアップデートで彼が受けた大幅な能力削減を補填するため、アンチタンク以外の方向性で強化する可能性がある。
シンメトラ
シンメトラは弱体化後も一部強化を維持しているが、現在の彼女のパワーレベルに関するフィードバックは届いている。確かに同じタイミングで急増したマウガ軸構築に対する開発の反応は少しオーバーだったかもしれない。しかし、事実マウガへの調整は過剰であり開発としてはそれを確認する必要があった。
現時点では、最前線における彼女の「存在感」について特に議論を行っている。シンメトラが持つ生存能力やビームダメージという個性をさらに活かせるようにしたいと考えている。
ライフウィーバー
- 質問:ライフウィーバーは受動的過ぎるように思えるが調整の予定はありますか?
ライフウィーバーについて現在まで長らく議論している問題の1つとして「射撃切り替え(回復と攻撃)の不和」が存在する。この部分に柔軟性を与えることができれば、チーム戦における彼のパフォーマンスに大きな恩恵(主に攻撃面)が現れると考えている。
加えて“ペタル・プラットフォーム”についても多くのテストを行ってきた。個人(Alec Dawson氏)的には、プラットフォーム上がもっと魅力的な場所(バフ付与など)になってほしいと考えている。しかし、味方がプラットフォームから落下してしまう事も頻繁にあるため、収集したデータをもとに改善を行う必要がある。
ハンゾー
- 質問:(ワンショットキルができなくなった)ハンゾーの新しい役割は何ですか?
ハンゾーはワンショットキルがなくなっても、中距離のバーストダメージが効果的なヒーローとして活躍している。
シーズン9の弾丸サイズ変更以降ハンゾーのパフォーマンスは向上しており、S10ミッドシーズンアップデートでのアーマーの仕様変更も彼の特徴とかみ合い恩恵を受けている。ワンショットキルがなくなった喪失感は理解しているが、シーズン9の総合的な目標の1つとして「高いバーストダメージを受けた際のストレス軽減」があった。
まだ初期段階ではあるが「回避能力が高い」または「高いダメージ出力を持つ」ヒーローの体力を調整するテストを行っている。これによりハンゾーのヘッドショットや他ヒーローのコンボが再び確定キルに繋がるようになる可能性がある。
ただし、これはヒーロー間の相互作用に興味深い要素をもたらす一方で、それを実現するまでに解決しなければならない問題が多く存在している。
レッキング・ボール
- 質問:リワークを行ったタンクヒーロー(ロードホッグとレッキング・ボール)について、どう感じていますか?
レッキング・ボールのリワークにおける開発チームの目標は「移動およびエンゲージにおけるオプションの柔軟性向上」と「チームに与えるメリットの増加」であり、レッキング・ボールをプレイする試合の質を高める事であった。
実際に適用された調整は、すべてこれらの目標に対応したものであったと考えているが、強化の余地があると考えられているのは「チームに与えるメリットの増加」部分である。
シーズン10開幕時に行った“アダプティブ・シールド”の変更は、少し保守的なものであった(適用時点では、オーバーヘルスの評価が高かった)。そのため、ゲームプレイ内外のフィードバックを通じ、その効果をより目立つ物に変更するかもしれない。
しかし全体的に見るとレッキング・ボールはミッドシーズンアップデート以降、はるかに良いヒーローとなっており、基盤として素晴らしいものに仕上がったと信じている。
ロードホッグ
- 質問:リワークを行ったタンクヒーロー(ロードホッグとレッキング・ボール)について、どう感じていますか?
ロードホッグについては、現在の生存能力に関する話題(後述)とは別に、“チェイン・フック”コンボの頻度に関して検討すべき点がいくつか存在する。
最近議論を行ったものの1つとして「“ピックペン”とのクールタイム」に関するものが挙げられる。“ピックペン”は現在、投てき時点でクールタイムの消化が開始される。そのため事前に設置しておいたトラップが破壊された場合は、すぐに再度トラップを設置することが可能になっている。
今後はコンボ以外での“ピッグペン”の価値や、コンボに組込み可能な時間の長さを減少させる方法について、取り組む必要があると考えている。
生存能力について
質問:ロードホッグの耐久性が高すぎて対戦が楽しくない。生存能力の低下についての議論は行われているのか?
はい、近日中にロードホッグの生存能力を低下させる予定。今後のパッチで“テイク・ア・ブリーザー”と“ホール・ホッグ”への調整を予定しており、明日(25日)にはリリースできると考えている。
マーシー
- 質問:過去ダメージパッシブの弱体化を理由に強化が行われなかったマーシーは、今後強化されますか?
開発としてはダメージヒーローのパッシブ「回復妨害」の効果は、15%の環境よりも20%の環境の方が満足できるものと考えている。そしてその環境が定着するとなればマーシーの強化に注目されるのは必然的だが、実際にそれを行うかどうかには考える余地がある。
その理由は、マーシーが依然としてトップクラスのピック率(上位1/4あたり)を維持しているため。特にCS版ではグランドマスター/トップ500でもその傾向が続いている。また、ピック率だけでなくパフォーマンス自体も同様の傾向を示しており、ほとんどのランク帯で上位帯に位置。最高ランク帯であっても平均以上のパフォーマンスを維持している。
これらのデータはマーシーが調整(強化)を必要としていないことを意味しているわけではないが、現在の彼女は「その位置である」というのは、事実として考える必要がある。
「ミラーウォッチ」等の特殊環境について
- 質問:「ミラーウォッチ」イベントは、今後登場するヒーローを秘密裏にテストしていた?
直近で採用されるものはないが、将来的に「ミラーウォッチ」や「エイプリルフール」の奇抜な変更が、実際に採用される可能性は考えられる。
特にバスティオンのアルティメット・アビリティ(スライサー召喚)は、技術的な限界の境界線上ではあったものの、非常に派手でかなりユニークなものであった。
コメント