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開発期間8年のヒーローシューター『CONCORD』が発売2週間でサービス中止&返金へ、歴史的失敗の3つの理由

SIEが8月23日にリリースしたばかりのヒーロー対戦シューター『CONCORD』の販売中止を発表、購入者には全額返金
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8月24日に発売されたばかりの新作シューター『CONCORD(コンコード)』だが、本日2024年9月4日、Sony Interactive Entertainmentが9月6日にオンラインサービスを中止すること発表。購入者には全額返金し、プレイヤーにより良いものを届けられるように別の方法を模索するとしている。

すでに『CONCORD』はPlayStation Storeから削除され、Steamでも購入できなくなっている。当記事ではSIEからの発表と返金方法、そして『CONCORD』がなぜ失敗したのか解説する。

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開発8年の期待作『CONCORD』がサービス中止

CONCORD

そもそも『CONCORD』は、元BungieやRespawn Entertainment、Activisionなどのベテラン開発者たちが集まって2018年に創設されたばかりの新規スタジオFirewalkによって開発。 Firewalkは昨年2023年にPlayStation Studiosに買収され、スタジオ初タイトルとなる5vs5のアリーナ型ヒーローシューター『CONCORD』を発表した。

そして今年2024年8月24日にリリースしたばかりだが、セールス不振であまりにもプレイ人口が少ないことが話題となった。そして本日2024年9月4日、2日後の9月6日にオンラインサービスを中止するという異例の速度での決断を発表した。

PlayStation 5とPC版『Concord』の発売以来、皆様からのフィードバックに真摯に耳を傾けてきました。 皆様からのご支援と、このゲームを取り巻く情熱的なコミュニティは、私たちにとって大きな意味を持っています。

しかしながら、ゲーム体験の多くのクオリティがプレイヤーの皆様の心に響いた一方で、ゲームや最初のローンチの他の側面が、私たちが意図した通りに着地しなかったことも認識しています。 そのため、現時点では2024年9月6日からゲームをオフラインにし、プレイヤーの皆様により良いものをお届けできる方法を含む様々な選択肢を検討することにしました。

また、PS5版およびPC版をご購入いただいたお客様には、全額返金させていただきます。

PlayStation. blog
  • 返金方法:
    • PlayStation StoreとPlayStation Direct:自動で返金処理
    • SteamかEpic Games Store:今後数日以内に返金処理が行われ、完了次第通知
    • 実店舗:ディスク版を購入した方は、実際に店頭に赴いて返金申請が必要

返金処理の完了後は、『CONCORD』をプレイできなくなる。

『CONCORD』が失敗した3つの理由を推察

『CONCORD』の開発期間は実に8年にも及ぶ。しかし結果的には2週間で実質的なサービス終了という他に類を見ない結末となってしまった。

Steam版の発売初日の最大同時接続数はわずか700人にも及ばず、これは「2023年にもっとも期待外れだったゲーム」の一つとして悪名を馳せてしまった『The Lord of the Rings: Gollum™(ザ・ロード・オブ・ザ・リング:ゴラム)』よりも少ないとして話題に上ったほど。

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1. 宣伝不足

『CONCORD』の失敗は主に3つの理由が考えられる。 まずはマーケティングだ。

筆者はアメリカに在住しているので日本での広告活動は分からないが、SIEとFirewalkの本拠地であるアメリカでは全くと言っても過言ではないほど『CONCORD』の広告を目にしなかった(日本編集部より:やってないわけではないと思うが日本でもあまり見かけず、最低限の大手メディア程度しか確認できていない)。

近所のバス停には4月26日にSIEからリリースされた『Stellar Blade(ステラーブレイド)』のポスターが未だに貼られている。 オンラインでも『CONCORD』のCMを観た覚えは全くない。

ブースサイズの問題もあるだろうが、6月に開催されたSummer Game Festでも、SIEは9月6日発売の『ASTROBOT(アストロボット)』と、レゴ版ホライゾン『LEGO Horizon Adventures』の試遊しか展示しなかった。

SIEが8月23日にリリースしたばかりのヒーロー対戦シューター『CONCORD』の販売中止を発表、購入者には全額返金
今年6月に開催されたSummer Game Festにて撮影

クローズドやオープンベータでプレイヤー数が伸びず、失敗を予測していたのでマーケティング費用をかけなかった可能性も高い。そうであれば、プレイヤーからも寄せられていた「発売延期」を検討しても良かったのかもしれない。

2. 行き過ぎたポリコレ

次の問題は行き過ぎたポリコレ・多様性から来たらしきキャラクターデザインだろう。 ヒーローシュータージャンルは「魅力的なキャラクター」がゲーム人気に大きく影響するが、『CONCORD』はトレーラー公開時から「キャラクターデザインがポリコレを意識しすぎている」と批判されていた。

特にヒーローシューターではキャラクターの外観は重要で、ゲームへの入口は「誰を使いたいか」「誰になりたいか」で決める人が多いだろう。

ポリコレ云々を抜きにしても、以下を見てもわかるだろう。あまりかっこいいとは感じないモンスターたち、老人、肥満体2~3人、そしておもしろメガネや奇抜な色とデザインのキャラクターなどが目につき、「憧れるキャラ」は少ないように感じる。これに反発された形だ。

コンコードのキャラクター

海外のコメント

  • 「こんなキャラでプレイしたくなる人はいないだろう」
  • 「デザインの敗北」
  • 「才能あるアーティストが、どうしてこんなにも魅力のないものを作ることができるのか」
  • 「これらのキャラクターは、奇妙な装備や鮮やかな色彩でユニークであろうと懸命になっている。でも、どこかユニークさがない」
  • 「いくつかのキャラは間違った色を選んだと思う。でも、ここにあるほとんどのアイデアはとてもクールだよ」
  • 「醜いキャラクターデザインがゲームを終わらせた」

なお、人気ヒーローシューター『Apex legends』や『オーバーウォッチ2』には、多くの有色人種や性的マイノリティ、特性を持ったキャラクターが登場する。最近登場したキャラクター「ベンチャー」も『オーバーウォッチ』初のノンバイナリー(男でも女でもない性自認)設定だ。厭忌の声も一定数あるものの、デザインはそこまで悪くないためか大きな話題とはなっていない印象だ。

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時に誹謗の対象となってしまうポリコレ・多様性の思想は決して軽視していいものではない。しかし過剰に配慮しすぎた結果、誰にも届くことがない作品となってしまっては本末転倒だ。

3. 有料販売というハンデ

そして最後の問題は「有料」だったという点。日本での販売価格は希望小売価格:4,480円(税込)となっている。

筆者はSIEにコードを提供していただき『CONCORD』をプレイしてみたが、ゲーム性そのものは決して悪いものではなく、高く評価する声も多かった。 しかし、「有料」というハンデを背負って他のタイトルと戦っても勝てるほどの魅力もない

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『CONCORD』のジャンルであるアリーナ対戦型ヒーローシューター系は、『Overwatch 2(オーバーウォッチ 2)』や『VALORANT(ヴァロラント)』といったタイトルが人気。そのどちらもが基本プレイ無料だ。

他にも『Call of Duty: Warzone(コール・オブ・デューティ: ウォーゾーン)』や『Apex Legends(エーペックスレジェンズ)』といった強豪タイトルも基本プレイ無料の世界にひしめいている。

まだ終わったわけではない?

これら3つの理由から、販売不振のニュースを目にしたときに遠からず基本プレイ無料に移行するのだろうと思っていた。しかしそれを上回る速さで、実質的なサービス終了を宣言したのは驚愕だ。

有名FPSを手掛けてきたベテラン開発者による対戦シューターが、こんな形で終ってしまうのはなんとも残念な結果。

今年2月には『Helldivers 2』で大成功を収めたSIEが、今度は『CONCORD』で異例の大失敗をしてしまうほど、ライブサービス型ゲームの運用は難しいという事が改めて実感させられるニュースとなった。

ただし今回の発表は「より良いものをお届けできる方法を含む様々な選択肢を模索」としているので、『CONCORD』プロジェクトが完全に終了したわけではないのかもしれない。

繰り返しになるが決してゲーム性は悪いわけではなく、レビュワーからは高い評価も見られた。デザインを刷新しタイトルも変更、不満点を解消して再ローンチすれば、復活の可能性もあるかもしれない。歴史的な失敗の次は奇跡の復活を見てみたい。続報に期待しよう。

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Source: PlayStation

SIEが8月23日にリリースしたばかりのヒーロー対戦シューター『CONCORD』の販売中止を発表、購入者には全額返金

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コメント

コメント一覧 (38件)

  • 大事なのは中身だ(中身もしょぼいもよう)
    個性を勘違いした平凡で興味も持たれなかった童貞のような作品

  • 多様性という癖に多様性を感じないからポリコレは誹謗の対象になるんだよ
    「今後も広めるべき」とか本気で思っているような知恵遅れはそもそもゲーム業界に居座るべきじゃない

  • ヒーローシュータージャンルとかインターステラーの海の惑星張りに過酷な市場にこれはキツいと薄々感じてた

  • ポリコレどうこうよりも、シンプルにキャラデザがキツイに尽きる。

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