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Bungieに常軌を逸したオンラインハラスメントを行った男、賠償金約6,774万円支払い命令

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長年『Destiny 2』のコミュニティと開発スタジオBungieの橋渡し役を担っていたシニア・コミュニティマネージャーのDylan Gafner氏が、想像を絶する陰湿な嫌がらせと脅迫にあっていたことが裁判で明らかになり、加害者がGafner氏とBungieに賠償金を支払う判決が下った。

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オンラインハラスメント問題

オンラインゲームは人と人を繋ぐ楽しい遊びのツールだ。 人気ゲームタイトルには人が多く集まり多彩な遊びと感動が生まれる。 しかし、中には悪意を持った人間が近寄ってきて凶行に走ることもある。

今回は一人の熱心な『Destiny 2』プレイヤーだった加害者Jesse James Comerが、当時シニア・コミュニティマネージャーだったdmg04ことDylan Gafner氏とその家族に凶悪な牙を向けた。

事件のきっかけとその犯行内容

2022年6月2日、Bungieがファンとの共同企画として”My D2 Story”を実施し、黒人ストリーマーUhmaayyze氏とのコラボ動画を公開。 同日、黒人ストリーマーを起用したことが不服だった人種差別主義者Comerの嫌がらせと脅迫が始まる。

Dylan氏の個人電話番号を入手したComerは、複数のVOIPサービスを利用して架空の電話番号と偽名を用意。Dylan氏の留守電に「有色人種のプレイヤーのみキルできるオプションの追加」を要求するなど、醜悪極まりないメッセージを幾度も残した。 それから45分後、今度はGafner氏の妻のK氏に人種差別の留守電とテキストメッセージを送りつけた。

このような行為を数日にわたり続けていたComerは、さらにGafner氏の自宅にピザのオンラインデリバリーを注文するという犯罪も重ねた。 Gafner氏の住所は非公開にもかかわらず、Comerは情報を握っていたことになる。 そしてピザ屋のオンラインサービス経由で配達員に「ドアを少なくとも強く5回叩く」ように指示。ピザ代は現金で代引させるという嫌がらせ付きだ。

Comerはピザの注文も脅迫電話で使用した偽名を用い、ピザの到着を確認したら「ピザを楽しむように」とK氏の留守電に残す。 このとき初めてGafner夫妻は、電話番号も自宅住所も悪意ある人物に握られていると自覚し恐怖した。

その2時間後、Comerは自身の犯行をSteamのハラスメントグループ”terr0rgang”で自慢。さらに”terr0rgang”が共有している「耳レイプ」という特大ボリュームの音声ファイルを、大音量でK氏の留守電に残した。

Bungie側は素早く対応

Bungieは即座に対応を進めた

Gafner氏は事件の1時間以内にBungieに報告。Bungieは即座に地元警察と協力して警戒態勢を敷き、Gafner夫妻の安全を守った。さらにカナダの司法機関に申し出て、Comerがアメリカのウエストバージニアに在住していることを突き止め、Comerに接近禁止命令が下される。架空の電話番号も偽名も意味はなかったようだ。

実はオンラインハラスメントには共通のパターンがあるらしい。 まずは電話やネットでのハラスメントから始まり、エスカレートすると今回のように自宅への嫌がらせやSWATを突入させるスワッティングに発展。最終的には、実際に本人に直接的なコンタクトをはかり暴力事件となる危険性があるとのこと。

Bungieの迅速な行動はこういった知識があったからかもしれない。報告からわずか数日以内にこれらの行動を終えたBungieだが、Gafner夫妻だけでなく他の従業員の安全も守るために多大な資金を費やすことになった。

ベテランコミュニティーマネージャーが退職

今回の事件で計り知れない恐怖を覚えたGafner氏は、2022年12月をもってBungieを退職。で、Twitterフォロワー数が20万を超える人気のコミュニティマネージャーの退職の突然の退職報告は、当時ファンに衝撃をもたらした。 筆者も当時の発表を読んだ瞬間の衝撃を覚えているが、退職の理由を知った今は非常に腹立たしい思いだ。

裁判で勝利

BungieはComerに対し、Gafner氏や他従業員の安全対策へのコストや、Gafner氏の退職や度重なるハラスメントによる営業妨害を理由に、賠償金として380,189.22ドル(約5,200万円)を訴え、西太平洋時間7月11日に賠償金$489,435.52(約6,774万円)勝訴。 ここから裁判費用や必要経費を抜いた分がGafner氏に振り込まれるはずだ。

勝訴の報告に感謝するGafner氏

『Destiny 2』は2019年のThe Game Awardsでベストコミュニティ賞を受賞するなど、ファンとのコミュニケーションは他タイトルよりも積極的だった。 こういった姿勢や運営ノウハウが2022年のソニーによる約5,000億円の大型買収につながったはずだ。 その立役者の一人のGafner氏を失ったことはBungieとしてもコミュニティとしても損失が大きかった。

記録的な判決、被害者が圧倒的に有利に

Bungieの弁護を務めたKathryn Tewson弁護士によると、テクノロジーや文化の進化に比べて法整備の速度は比較にならないほど遅いが、今回の判決によりそのギャップを大きく埋められたとのこと。

例えば「オンラインハラスメントのパターンがエスカレートしてもたらす脅威と被害は、スワッティングやその他の現実世界での暴力につながり悲劇に至る可能性がある」と文書化された。今後似たような裁判でも今回の判例のおかげで被害者が圧倒的に有利になる。

また、「従業員が雇用を理由とするハラスメントを受けた場合、そのハラスメントは雇用主にも損害を与えるものであり、雇用主は民事裁判でその損害の回復を強制できる」という判決により、諸々のコストを全て請求できるおかげで会社が裁判を起こしやすくなったのだ。

ハラスメントはBungieやゲーム業界だけの問題ではなく、全ての人間に降りかかる問題だ。 どのような理由であろうと嫌がらせや脅迫といったハラスメント行為は絶対に許されない。

もしハラスメント行為に苦しめられているなら、すぐに最寄りの相談所に連絡しよう。

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Source: @A_dmg04, @KathrynTewson

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