オーバーウォッチ2：インベージョン編後を舞台にした短編小説「命の証」公開、ルーチェン社とジュノを中心に描く新章の幕開け

2025年11月6日、Blizzard Entertainmentは『Overwatch 2（オーバーウォッチ2）』の公式コミック最新短編小説「命の証」を公開した。本作はジュノを主人公に、“ヌルセクター侵攻（Invasion）編”完結後の物語を描き、一時的に平穏を取り戻した地球でのオーバーウォッチの活動を追っている。

短編小説「命の証」

“ヌルセクター侵攻（Invasion）編”完結後の地球で、ジュノはオーバーウォッチのウィンストンやメイらの支援を受けながら、火星で何が起きたのか、その原因となった通信障害や資源枯渇の真相を探り、生存者救出のために奔走する。

しかし、協力を仰いだ巨大企業ルーチェン・インターステラーのCEO・チャオ博士との会合では、「生存を示す証拠が存在しない」「救助に成功する可能性は3％未満」という冷たい宣告が下される。ジュノは「私は地球に帰ってきたんじゃない。故郷を置いてここに来たの」と反発するが、ルーチェン社は機密を盾に、火星救出を優先しない姿勢を明確にする。

冷徹な企業論理の前に打ちひしがれるジュノ。同席していたシン博士は、彼女に「大きなロケットの模型」をおみやげとして手渡し、「この会社は、計画のためなら犠牲もいとわない」と密かに忠告する。

帰り道、ドロップシップの揺れで落下した模型が故障し、修理のために緩んだフタを開けると、中からデータチップとメモが見つかる。メモには音声出力の方法とデータチップのインストール手順、そして最後に「何かわかったら連絡します　希望を捨てないで—S」と走り書きされていた。

部屋にこもり、指示通りの作業を終えたジュノが音声を再生すると、聞こえてきたのは「こちらジャイー・テオ。プロジェクト『レッド・プロミス』のもと火星コロニーに駐在する研究者です。誰かこれを聞いていたら応答してください。物資が足りません。至急、ルーチェン・インターステラーによる支援が必要です」という、脱出前に送信された母のメッセージだった。

母の声に涙があふれそうになるも、既に知っている自身の脱出時の音声であったため落胆するジュノだったが、その後聞き覚えのない音声が再生される。

コロニーの無事を報告するメッセージや母（と父）の励ましの声、そして「この通信を聞いている人、私たちのことは諦めたってかまわない。だけど……せめてあの子を、私たちの命の証を、どうか見捨てないで」という決意を込めた真剣な口調のメッセージが再生され音声はノイズに変わり、ホログラムもかすれて消える。静寂の中、ジュノは模型を抱きしめ、母の声から希望を拾い集めるように、何度も何度も再生を繰り返すのだった。

オーバーウォッチに登場する大企業

先日の“ヌルセクター侵攻（Invasion）編”完結から、早くも次なる展開が描かれた本作。作中では、ルーチェン・インターステラー（特にチャオ博士）が相対的な悪役として描かれており、シーズン20から始まる新章とも深く関わってくる可能性が高そうだ。

ルーチェン・インターステラーと縁のあるヒーローといえば、ホライゾン・ルナ・コロニー出身のウィンストンとレッキング・ボール（ハモンド）、シグマが挙げられる。特にレッキング・ボールに関しては、過去にチャオ博士と直接対峙している。

現在、レッキング・ボールはジャンカー・クイーンらと共にジャンカー・タウン勢力として活動しているが、ルーチェン・インターステラーという共通の敵を前に、彼らとオーバーウォッチとの共闘が実現すれば、大きな盛り上がりを見せるだろう。その際には、未だ果たされていないウィンストンとの再会がどのように描かれるのかも注目される。

また、ルーチェン・インターステラーと同じく、頻繁に登場する大企業としてヴィシュカー・コーポレーションも存在する。こちらには、タロンとの関係を示唆されている人物が在籍しており、ルーチェンと並ぶ闇を抱えた大企業として描かれている。

もしも“ヌルセクター侵攻編”に続く次の物語が、人間社会と巨大企業の闇を描くものになるとすれば、それはラマットラが語った「人間がいる限り、我らに平和はない」という思想とも自然に接続されるテーマとなるだろう。

Source: Overwatch