[速報] マイクロソフト勝訴、アクティビジョン・ブリザード買収が大きく前進

Microsoft（マイクロソフト）によるActivision Blizzard（アクティビジョン・ブリザード）グループ買収の仮差し止めを訴えていた連邦取引委員会（FTC）だが、本日2023年7月12日、サンフランシスコ連邦地裁はこの訴えを退ける判断を下した。

マイクロソフトによるアクティビジョン買収が実現に近づく

1年半以上前の2022年1月、Xbox事業を手がけるマイクロソフトは、アクティビジョン・ブリザードグループの買収を発表。これに対しアメリカの規制当局である連邦取引委員会（FTC）は「合併はゲーム業界の競争阻害につながる」として、合併の期限である7月18日までに買収を完了させられないよう仮差し止め命令を求めていた。

しかし日本時間7月12日、サンフランシスコ連邦地裁のジャクリーン・スコット・コーリー判事はFTCの訴えを棄却。イギリスを除く世界での期限内の買収が可能となった形だ。

FTCは連邦地裁の判決に「失望」を表明。数日以内に消費者を守る次の対策を発表するとしている。とはいえ、期限内の買収完了に向けて一気に進展することが予想される。

合併が実現すると、『Call of Duty（コールオブデューティー）』や『Overwatch（オーバーウォッチ）』、『キャンディークラッシュ』などを擁するアクティビジョン・ブリザードグループが傘下に加わることとなり、マイクロソフトはSonyやTencentに続く世界３位の巨大ゲーム企業となる見込み。

このニュースが報じられた後、アクティビジョン・ブリザードの株価は一時12％の急伸。マイクロソフトの株価はわずかに減少している。

イギリスでは懸念残る

イギリスの規制当局CMAは4月にマイクロソフトによる買収計画を差し止める結論を下している。こちらは7月24日から行われる競争控訴審判所で審理にかけられる予定。

ロイターによると、イギリス規制当局も今回の判決を受けて「懸念解消に向けた提案を検討する用意がある」とのこと。

マイクロソフトの反応

Xbox事業を統括するフィル・スペンサー氏は、裁判所の迅速な判断への感謝をツイート。今回の判決は「買収がゲーム業界にとって良いものであることを示しており、FTCの主張はゲーム市場の現実を反映していない」としている。

また、「この件を世界中のプレイヤーが注視していることは承知しており、プレイヤーのアクセスと選択肢を拡大するための我々の努力を誇りに思う」と締めくくった。

我々としては、マイクロソフトが主張し今回の判断材料のひとつともなった「Nintendo Switchへのコールオブデューティー提供」がどのように実現されるのかも気になるところだ。

MicrosoftによるActivision買収の流れ

• 2022年
  • 1月：MicrosoftがActivision Blizzard買収を発表
  • 1月：CoDシリーズの行方をめぐってコミュニティで物議
  • 7月：英競争・市場庁による調査が開始
  • 9月：SIEのジム・ライアンCEOがMicrosoft批判
  • 11月：CoDシリーズをPSへ今後10年間提供し続ける契約提案
  • 12月：米連邦取引委員会が買収阻止に乗り出す
  • 12月：CoDシリーズ任天堂でもリリースへ、10年の契約締結
• 2023年
  • 1月：GoogleとNVIDIAが買収に懸念
  • 2月：MicrosoftがNVIDIAとの新たな契約
  • 3月：ソニーに対し、10年間のCoDライセンス契約を提案
  • 3月：MicrosoftがBoosteroidと10年間の契約
  • 3月：英国CMAが暫定判断、「競争を著しく後退させない」
  • 3月：日本の公正取引委員会が買収を容認
  • 4月：英国CMAが買収を差し止めする結論
  • 5月：欧州委員会が買収を承認
  • 6月：Microsoftスミス氏が訪英。イギリス抜きで買収完了の可能性示唆
  • 6月：FTCが連邦裁判所に買収の仮差し止め申請
  • 7月：FTCの仮差し止め請求棄却。期限までの買収が可能に（現在）
  • 7月24日より：イギリス競争控訴審判所（CAT）による審理（予定）

Source: Bloomberg, Reuters